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【阪神】左翼とスペードと代打【2024年への提言】

 どの球団のファンでもない筆者が、なるべくフラットな目線で、来季への展望を好き勝手提言する恒例企画。今回は阪神タイガース編。

2023年の振り返り

 投手陣は断トツのリーグ1位。先発もリリーフも隙がなかった。昨年の提言で「先発足りなくなるんじゃないの?」と書いたが、村上・大竹が台頭し、才木と伊藤将司も躍動。やや出来すぎの感はあれど完璧な用兵だった。

 野手陣はOPSの割に得点が高く、効率良く点を取っていた印象。こちらも昨年の提言で「6番ライト補強しては?」と書いたが、結果的には森下翔太が定着。こちらも出来すぎの感はあるが、若い才能を見事に見出だしていた。

提言①:打てる左翼手を獲ろう

 ぶっちぎりで優勝した今季、ファンの数少ないストレスポイントの1つがシェルドン・ノイジーだった。中距離打者として期待されるも数字は伸び悩み、成績以上に淡白な内容に批判が集まる事も多かった。日本シリーズの活躍から球団は"消極的残留"を決めたものの、来季どれだけの伸び代があるかはわからない。

 個人的に残留には賛成だが、レギュラーとして使う事には賛成できない。彼は本来二塁/三塁が本職のユーティリティプレーヤーであり、「肩が強くて外野も守れる渡邊諒」みたいな立ち位置の選手だ。ジョーカー的にベンチに置いて、誰かが離脱した時の穴埋めとして使うなら心強い選手だが、本塁打数が12球団中11位のチームでレフトを占有する価値があるかは微妙だ。ミエセスや井上広大の覚醒によほどの自信がない限りは、新規の外国人を探した方が良いと思う。

 候補になるのはコディ・トーマスだろうか。今季AAAで23本塁打/OPS.923を記録し、MLBでも19試合でOPS.685と一定の数字を残した(ノイジーの来日前年のOPSがAAAで1.018、MLBで.561)。盗塁はさほどだが足は速く、外野両翼には充分な守備力を有しており、来季30歳という年齢を考えてもNPB参戦は実に妥当なラインだと思う。

 ちなみにノイジーとはオクラホマ大学の同級生という事で、2人揃えば意外な相乗効果があるかも知れない。

隙あらばノイジー

 如何だろう。あくまで日本人選手を軸としつつ、こんな感じで2人を使い回せば、長丁場のペナントも戦いやすいのではないか。

提言②:右の桐敷を作ろう

 磐石だった投手陣だが、1点だけ不安がある。それが右のロングリリーフ/便利屋である。日本人投手で適役なのは恐らく馬場皐輔だけで、今季は主にビーズリーが賄っていたが、ここに外国人枠を割くのは勿体ない感じもする。岡田監督は事あるごとに桐敷の存在を褒め称えていたので、もう1枚"右の桐敷"を作れると心強い。

 1番オススメしたいのは青柳晃洋だ。今季は執拗に左打者を当てられ、ついぞピリッとしなかったが、対右打者に限れば143打席で被打率.234、被本塁打1本とほぼ完璧に封じている。たとえば伊藤や大竹が早めに降りた試合で青柳が出てくれば、対左用のオーダーを組んでいた他球団はかなり迷惑すると思う。もちろん先発陣が磐石である事が前提ではあるが、投手王国ならではの贅沢な一手だと思う。

 あとは戦力外から元オリックス・中川颯を拾ってくるのも面白いと思う。育成選手ながら今季はファームで21試合投げ、防御率1.38/WHIP0.67/奪三振率9.37と圧倒的な成績を残したアンダースロー投手だ。相手の目線を変えるという意味でも、試合中盤のゲームチェンジャーには適した存在だと思う(追記:横浜DeNAが獲得を発表)

提言③:代打の層を厚くしよう

 今季のスタッツに無理やりケチをつけるなら代打成績の低さが挙げられる。チーム代打打率.179はリーグ5位、代打打点20はリーグ最下位と、接戦に強い印象からすれば少し意外な数字が並ぶ。ここが改善されれば、終盤の試合運びはもっと楽になるはずだ。

 戦力外メンバーの中から獲得するなら元ヤクルト・松本友がオススメだ。今季は一軍出場がなかったが、21年は17試合で打率.353、22年は7試合で同じく.353と、少ない打席で結果を出す胆力がある。代打としての通算打率も3割を越えており、どこでも守れる(守れるとは言ってない)ユーティリティ性も備えている事から、思わぬ掘り出し物になるかも知れない。

 トレードなら楽天・鈴木大地が良いか。今季は101試合で打率.244/OPS.678と低調だが、代打に限っては38回で打率.343/出塁率.395と良好だった。それでもコスパが良いとは言えず、2億円からの大幅減は免れない──というか、FA加入組でなければノンテンダーでもおかしくなかったと思う。なのでトレードを申し込めば、楽天側もむしろ好都合と応じてくれるかも知れない。
 交換相手は渡邊諒でどうか。今季は48回代打起用されて打率.133と適性は示せなかったが、三塁スタメンだと打率.259/OPS.829と躍動していた。右の代打には小野寺暖もノイジーも控えているので、スタメンが狙える球団に移籍させた方が本人のためだと思う。

まとめ

 最初にも書いたが今季の成績は上振れの可能性が高く、投手では大竹・村上、野手では森下が"2年目のジンクス"を迎える可能性は否定できない。岡田監督は「外国人には頼らない」「トレードはしない」と明かしているが、策士策に溺れるというか、妙な慢心になっていないかが心配だ。若手の突き上げにはもちろん期待したいが、補強は可能な限りした方が安心だと思う。

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