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【西武】複数年と外国人と整理【2024年への提言】

 どの球団のファンでもない筆者が、なるべくフラットな目線で、来季への展望を好き勝手提言する恒例企画。今回は埼玉西武ライオンズ編。

2023年の振り返り

 昨年の提言で「捕手で中心打者の森友哉が抜けたのに、なぜA.マルティネスを獲りに行かないのか? 最下位になってもいいのか?」と書いたが、ほぼその通りの展開になってしまった。得点は断トツのリーグ最下位。編成の怠慢と言われても仕方ないと思う。
 投手陣については平良海馬が先発に定着し、隅田知一郎も一本立ちするなど良いニュースが多かった。それだけに野手の迫力不足が目立つ結果となってしまった。

提言①:主力に複数年契約するのをやめよう

 かつて西武といえば、毎年のようにFAで選手が流出する時代があった。しかし渡辺久信氏がGMになってからは球団の姿勢も改まり、多くの主力選手が西武残留を選んでくれるようになった。良かった良かったと胸を撫で下ろすファンも多い事と思うが、私はむしろ、その姿勢にこそ疑問を呈したい。
 以下の表は、年俸が高い選手を順に並べたものだ。赤字の選手は複数年契約を結んでいる。彼らの多くはFA権を獲る少し前に、長期の契約を打診されている。

赤字の選手だけで総年俸の約4割

 よく考えて欲しい。この中のどれだけの選手が、コスパに見合った活躍をしているだろうか? あまり個人名は出したくないが、例えば金子侑司を昨年の段階で自由契約にして、中村剛也と栗山巧を年俸2割減にしていたら、2億円強の予算を捻出する事が出来た。2億円あれば理論上ペルドモが買える。金子OUTペルドモINの方が、チームの勝率は間違いなく上がっていただろう。
 今の西武はFA流出というトラウマに怯えるあまり、あるいはファンの世論を気にしすぎるあまり、選手に甘い契約を結びすぎていると思う。その結果、自由に動かせるお金が減り、補強のスケールが下がり、チームの課題を解決しきれないままシーズンを始める羽目になっているのなら、それは本末転倒ではないだろうか。

 ちなみに私見を述べるなら、先発とセンターラインに関しては「防御率が悪くてもイニングを稼いでくれる」「打てなくても守備で貢献してくれる」というリスクヘッジが効くが、リリーフとコーナー野手(一塁・三塁・左翼・右翼)にはそれがないので、高額の複数年契約は慎重になるべきだと思う。裕福でない球団なら尚更だ。

提言②:外国人野手3人体制を取ろう

 資金が捻出できたと仮定して話を進める。
 当面の課題は打線の迫力不足なので、マキノンを残留させた上で新規の外国人野手を2人雇い、野手3人体制で開幕を迎えたい。

 まずリードオフマンだが、ブレット・フィリップスを推したい。守備の上手い控え外野手で、明るくて献身的な性格も高く評価されている。10月中頃にリリースされ、本人も日本球界に興味があるとの事なので、今季から微増の150万ドル(2億2500万円)ぐらいで良ければ西武にも出せるだろう。打率は低いが選球眼は良く、打率.240/出塁率.340で15盗塁ぐらいは期待できる。

 主軸候補はジェイク・ケイブでどうか。スラッガーというよりは低めの弾道でスタンドに突き刺すタイプだが、今季はAAAでOPS1.116と充分に長打も期待できる。ここ何年かはMLBでも50~70試合程度出場しているが定着には至らず、今季もノンテンダーになりそうな気配があるので、こちらも150万ドル(2億2500万円)くらいで誘えば来てくれるかも知れない。来季32歳と油の乗った時期で、外野両翼は無難に守れるのも大きい。

(中)△フィリップス
(遊)△源田壮亮
(二) 外崎修汰
(指) 山川穂高
(一) マキノン
(左)△ケイブ
(三) (若手の誰か or 茂木?)
(右) (若手の誰か)
(捕) (柘植 or 古賀 or 炭谷?)

 理想はこんなイメージか。このメンバーが年間通して揃うなら、得点最下位になる事はまずないだろう。

提言③:日本人外野手を整理しよう

 これも去年と同じだが、西武は20代の外野手が渋滞している。

主な20代外野手の一軍/二軍成績

 確かに今の西武に外野のレギュラーはいない。だからこそ去年ペイトンと蛭間を獲得し、今年も①で書いた通り外国人を補強したらどうかと思っているが、それはあくまで"質"が足りないという話であって、量が足りないわけではない。なのに新規獲得だけ進め、既存のメンバーを減らさずにいれば、渋滞が起こってしまうのは当然の話だ。
 なので20代の外野手を何名かリリースして、世代のバランスを整えたい。名前を挙げた選手の中で絶対に残したいのは蛭間・長谷川くらいで、他は条件によって全然リリースして良いと思う。

 たとえばトレードなら、外野手が足りないDeNAあたりはどうか。関根大気の対抗馬として愛斗、二軍の主砲として高木渉を差し出し、代わりに坂本裕哉・三浦銀二の両投手を獲得したい。坂本は剛球タイプの左腕で、佐々木健の穴埋めが期待できる。三浦はファームでも迷走している感が強いので環境を変えてあげたい。これにプラスして現役ドラフトで誰か差し出せば、世代の詰まりはだいぶ解消されると思う。

 重ねてになるが、別に彼らが不要だからリリースしろと言っているわけではない。選手には年齢によって「身体作りをする時期」「二軍で成果をあげる時期」など段階があり、それらをベルトコンベアのように進んでいった先に一軍のレギュラーがある。しかもこのコンベアには一度に乗せられる製品の数に限界がある。外野手の支配下登録の相場は12~13人だ。その状態で同じ段階の選手が大量に詰まると、次の製品を乗せることすら出来なくなる。であれば他の球団を見渡して、コンベアに余裕がありそうなところに移した方が、全員のためになるはずだ。

まとめ

 西武の歴史は才能ある若手に支えられてきた。松井稼頭央がいなくなっても中島裕之が、浅村栄斗がいなくなっても外崎修汰がレギュラーを掴み、幾度となく栄冠を手にして来た。そういった過去を忘れ、ちょっと実績を残した選手に「出ていかないで!何でもするから!」とメンヘラ彼女のように追いすがる姿は、百獣の王に相応しい振る舞いなのだろうか。パ・リーグの盟主は自分たちであるという誇りを失い、複数年契約という檻の中でお昼寝する様を垂れ流し、あまつさえそれをチームの和のように語る事は、獅子の王道と呼べるのだろうか。金がないなら尚更、厳しい目線でコストカット・人員整理を進めるべきだ。

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