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【配球論】これも捕手のリードの問題なのか?阪神-巨人6回戦ウォーカー選手の3ランホームランの配球ー2022年4月17日

はじめに 

プロ野球2022年シーズンは、新庄監督が話題の中で、阪神は4月16日時点で3勝14敗1分と出遅れていた。ヤクルトファンの私もついつい阪神は今日こそ勝てるのだろうか?と阪神の試合を見てしまうほどである。
今日は2022年4月17日阪神-巨人6回戦を見たので私なりの考察を書きたい。

試合内容

本日は2022年4月17日阪神-巨人6回戦は、甲子園で行われた。阪神はガンケル投手、巨人は赤星投手の先発で始まり、2回裏6番糸井選手がセンターバックスクリーンにホームランで先制する。4回表巨人は2アウト1,2塁でウォーカー選手が3ランホームランを放つ。試合はそのまま両者得点を奪えず、3-1で巨人が勝利した。ここまで打線がなかなか得点を奪えない阪神にとってはこの3点がとても重いゲームになった。この3ランホームランについて、ネットでは、なぜインコースを投げたのか?という疑問を多く聞かれたので、このシーンを考察していきたい。

引用:ウォーカー選手のホームランシーン

ウォーカー選手への配球

ウォーカー選手に対しての配球はどのようなものだったかを振り返りたい。
1球目:スプリット - 空振りでストライク
2球目:ストレート   - ボール
3球目:スライダー  128キロ ボール
4球目:ツーシーム 143キロ ホームラン

引用:スポーツナビ

配球の評価

この配球の結果はホームランとなったので、評価としては失敗となる。
では、この配球は結果論で失敗なのだろうか?それともこの配球は結果論ではなく、考え方として間違ってると言えるのだろうか?
結論だけ書くと、私は少なくとも4球目のツーシームがリードとして間違っているとは思わない。これが梅野捕手の責任だとすると少し可哀想だと感じた。

配球の考察の前提

配球のことについて話をすると選手を批判していると捉えられかねないことは重々承知している。そして、私は梅野捕手も素晴らしい捕手だと思うし、阪神も大好きである。当然ホームランを打ったウォーカー選手も素晴らしいし、巨人というチームも大好きである。
そして配球に100点はない。その中で私なりに最善の配球だったのか、策だったのかを考察しているものであり、この1回の配球によって他の素晴らしいプレーが消えるものではない。私のような素人の配球論として、各選手にリスペクトの気持ちを持ちながら書いていることをご理解いただきたい。

試合後の評価コメント

試合中に解説の鳥谷氏が下記のようなコメントを出した。
「ウォーカー選手はスライダーとスプリットの打率.000であることから、インコースに行った理由を梅野捕手に聞いてみたい」
それに続く形で、インターネット上では下記のような配球ミスの指摘があった。


佐藤義則氏もこのようにコメントしている。
「なぜ1ストライク2ボールというカウントでインコースに投げたのか。・・・この3連戦外のボールはまるっきり前に飛んでいない。インコースを投げる必要がないと思える。この配球は疑問に思う。」

梅野捕手の狙いは?

このウォーカーに対する配球の賛否はは色々とあるが、皆さんはこの配球にどのように考えるのであろうか?
私がこの配球で一番考えたのは、梅野捕手がどう考えた配球なのかをなるべく梅野捕手の気持ちになって考えようとした。
3球目のスライダーに対してウォーカー選手はやや体を踏み込んで追いかけに行った。ここで梅野捕手はアウトコースに意識があるとみたのだと思う。
結果1ストライク2ボールとなり、打者有利なカウントになった。この流れで皆さんがキャッチャーなら何を要求するだろうか?
梅野捕手はこう考えたのではないかと思う。
1ストライク3ボールにしたくはない。ストレート、ツーシーム、スライダー、スプリットなどの球種でどれを選択するか。
ストレート・・・外国人にストレートはこのカウントで投げにくい。打たれるリスクが一番高い球である。
スライダー・・・鳥谷氏が指摘するように打率.000である。しかし、その前の見逃し方からすると外のボールを狙っているように見える。また、ウォーカー選手の打席数はまだ少なく今時点のデータがどこまで当たるか信用に値しない。スライダーが甘くなると外国人なので手が伸びて捉えられる可能性がある。ストライクを取りたいので一球前より確実に甘くなるリスクがあるため、使いにくいと考えたと思う。
スプリット・・・初球空振りしているがボールになる確率が高い。甘いストライクゾーンに来ると危ない球である。また1-2からスプリットを投げて2-2にしたとして決め球は何にするのか?初球の空振りを見る限りスプリットは決め球に使いたい。そのためにもスプリット以外で追い込みたいと考えたと思う。
ツーシーム・・・インコースのツーシームは上の中で一番リスクが低いと考えたのではないだろうか。なぜならその布石は第一打席にある。第一打席4球目にツーシームをインコースに投げて、3塁戦へのファールを打っている。このファールを見たときに、インコースのツーシームはウォーカーは打てないと考えても不思議ではないファールだった。3球目の見送り方からすると4球目にツーシームを使うしかないという状況だったと言える。

引用:スポーツナビ

配球論ー今回の配球が捕手のせいではない理由

第一打席にインコースを中心に攻めているので、1-3球目までアウトコース中心に攻めたという配球の組み立ても素晴らしいと思う。そして、3球目明らかに体を前倒しして、アウトコースのボールを追いかけた。僕もみていてアウトコースに意識が向いたと感じた。ここでならインコースのツーシームを使えると考えるのは自然な配球である。
その中で、インコースのツーシームが甘くなりほぼ真ん中に来たのだ。これは四球を出したくないという投手心理も影響している。
ただ、スライダーが甘くなっていても打たれていた可能性があるし、ストレートを打たれていた可能性もある。結果的に甘いコースに行ってしまったのは投手の責任でもある。
投手の投げミスを含めて捕手が全て責任を負う必要があるのであれば、それは捕手が可哀想だと思う。1-2からストレートを要求してホームランを打たれたらその時の方が批判が大きいのではないだろうか?

配球論ー打たれたら全て捕手のリードのせいではない

今回私はこの配球は捕手だけの責任ではない、リードの問題と一概には言えないと結論づけた。なぜなら合理的にインコースへのツーシームを投げることは第一打席の結果を見ても、状況的にも最適解だったからである。
配球に100点はない。今回の配球でも何を投げたら正解だったかは分からない。ただリードが完璧でも投手が投げミスをすることもあるし、スライダーが打てない打者がスライダー一本に絞って打てば、プロなのだから何回かに1回は打てるだろう。データ主流の野球となり、データがある中で打率.100未満の苦手コースがある打者にそこだけを投げていたらいつか打たれるに決まっている。そこで打ち取るためにそれまでにどういう配球・リードで打ち取るところに持っていくかが難しい。時には得意なコース近辺に投げないといけない時もある。完璧なリードがあるのであれば完全試合がもっと生まれているはずで、リードはより打たれる確率を減らせられることを考えるものだと思う。その中で最適な選択をしても打たれることがあるのが野球である。
近年すぐに捕手のリードの責任を問う声が上がり、捕手は打者としても打てる捕手を求められている。打てない捕手は評価されにくい時代である。その中で打たれた責任も追及されるとてもつらいポジションだ。
投手の投げミスは投手の責任もあるし、打たれたことを全て捕手のせいにするのは本質を見失うリスクもあると思う。その意味でもこの配球論のnoteでは、捕手のせいではない最適な配球が打たれてしまうパターンについてはちゃんと説明していきたいと思う。
全て捕手が悪いという批判になると配球・リードの本質が見失われると思うので、いい配球についても今後は紹介していきたい。

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