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📒ただ『撮る』だけじゃない。

シャッターを切るだけではカメラマンはつとまらない。
そんな当たり前のことを改めて感じた出来事。


撮れば撮るほど深みにはまる。
シャッターを切れば切るほどわからない。

いくつもの正解がある。
様々な答えがある。


だからやめられない。
カメラを。撮ることを。


ある日の現場。
注目選手の特集で、とある強豪校を訪れた。



きっかけはカメラの師匠からの依頼。できるかどうかもわからないのに、気が付いたら「はい、やります」と二つ返事。あまりに怖いもの知らずの様に我ながらドン引きした。


明るく照らす太陽と澄み切った空気。
まるで私が迎えられていると錯覚する。

グラウンドの空気は新鮮だった。
初めての現場にわくわくした。


監督との挨拶を済ませ、取材場所に通された。


今回の流れ。
記者が選手に取材をし、その内容に合わせた写真を撮影する。取材対象者は事前に知らされていたので、どんな選手なのか下調べをしてきた。とはいえ基本的なデータだけで、その人となりは全くわからない。

撮影の準備をしつつ、早速隣では取材が始まっていた。注目選手といえど、どこにでもいる普通の高校生。大人ふたりに囲まれて、少々緊張しているようだった。

やっぱり記者はプロ。こわばっていた選手の表情が徐々に柔和になっていった。野球の話はもちろん、普段の学校での様子など、短時間でプライベートな内容も聴取できている。プロフェッショナルの仕事の流儀なんて番組があったが、まさにその場面に立ち会った。

しかしこちらも(一応なんて言葉置いて逃げたくないが)プロ。ただ取材に耳を傾けるのではなく、どんな誌面を作り上げようとしているのか取材側の意図を汲む。なぜその質問を投げかけたのか先々を考える。そして選手の人柄を観察し、どう撮ったら一番映えるのか、答えを導き出す。様々なシーンが浮かび、私の心が高鳴る。

取材が一段落した。まだ話したりないよという選手の表情が忘れられない。もっと喋りたいと思わせる手法、さすが記者だと感じた(何度いうんだ)。

休憩を取り、今度は撮影に入る。
私のターン。


ここで一つ。
絶対に撮影側が緊張してはならない。

なぜなら、不安や心配事は全て『顔』に出るからだ。それにナーバスは連鎖する。せっかく選手の心を解したのに、再度固まってしまう。それだけは避けたい。

リラックスして撮影に臨めるよう、先ほどの取材の話をもう一度した。聞き足りなかったこと、ちょっとしたオフレコ、数分を楽しんだ。あ、この人は話しても大丈夫なんだと思ってもらう目的だ。

撮られることが苦手な私は、被写体が緊張してしまうポイントがわかる。そうならないために、できる限り『普段の姿』が出るように考えた。そこで気が付いたことがある。


写真って、被写体と作り上げるものなんだ。


シャッターを切れば写真は撮れる。一つの作品になる。しかし、そこに至るまでにはあらゆる過程がある。決して自分だけの力ではない。今回は特に、
会話を通じて相手を知った。そして取材を経て『今回の写真の答え』が導き出された。本当に興味深い。

撮影が終わり、出来上がった写真を見返す。もっとこんなふうにできたんじゃないかとか、こうすればよかったなんて反省点はたくさんあった。また、そのときに『答えが見つかった』とは感じたけれど、本当にそれで良かったのか不安にもなった。

カメラの師匠に「初めての現場は緊張したけれど、なんとか乗り切った」と報告した。撮影現場では、緊張する姿なんてみせるものかと必死だったけっれど、本当は冷や汗かいているのがばれていたかもしれない。相手も気を遣ってくれていただろうなと、優しさを噛みしめる。場数を踏んで、さらに精進しようと誓った。


ただ『撮る』だけじゃない。

シャッターを切れば切るほど、そう感じる。


これからも色々な現場を経験していくだろう。やったことないこと、できるか分からないこと、たくさんあるだろう。それでも私は挑戦していく。もっと上手くなりたい。私は強い思いを抱いている。


まだ、やれる。
やるしかない、と。








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