社内でデザインスプリントのワークショップを開催してみたデザイナーたちの座談会
こんにちは。BASEのデザインチームです。
今日はBASEの社内勉強会「BDI」で少し前に行ったデザインスプリントの社内ワークショップの取り組みについて、運営や設計に関わったメンバーの座談会形式でご紹介します。
社内勉強会の「BDI」とは
今回のワークショップとは別にBASE BANKチームが実務でデザインスプリントを実践した記事もあるので、よければこちらも合わせて参考にしてもらえればと思います!
デザインスプリントワークショップについて
今回「BDI」の枠組みのなかで、「デザインスプリントの概要を初心者でも理解できる」を目標に全3回のワークショップを行いました。
テーマに取り上げたのは「BASEの全く新しい機能をデザイン視点で考える」こと。
BASEの社内には、プライベートで「BASE」ショップを持つショップオーナー社員も在籍しています。今回はそんなショップオーナー社員にインタビューをし、課題の特定から新しい施策のコンセプトシートの作成まで一貫して行い、デザインスプリントを一通り実践しました。
実施期間:2023年11月〜2024年1月(全3回、各120分のワークショップ)
実施内容:
Day 1 : ユーザーインタビュー&ユーザーインサイトの特定
Day2 : 解決のためのアイデアブレスト
Day3 :コンセプトシートの作成
なぜデザインスプリントを選んだか
「UIデザイン」にくらべて「UXデザイン」のプロセスは組織のなかで体系化されていなかった
2023年のはじめ頃、BASEのプロダクトデザイナーでオフサイトを行い、私たちデザインチームがプロダクトの発展のため担う役割について議論しました。
その議論の中で、今のプロダクトデザインチームは「良いUIデザインのつくりかた」についての認識はある程度揃っているものの、「良いUXデザインのつくりかた」については人によって認識の差がありそうなことが判明。
そこで、BASEにおける「良いUXデザインの実践方法」を見出すべく「BDI」で読書会を開催し、「UXデザインの教科書」などの書籍を読んで、UXデザインの基礎知識をあらためて学びました。
読書会から、実践ワークショップへ
とはいえ本に書かれた内容を実務で即実行するのは難しいものです。そこで、実際に本に書かれていたことを実践してみよう!と、知見のあるメンバーがカリキュラムを組み、ユーザーのインサイトを導きプロダクトに起こすまでの手法のひとつ、デザインスプリントをやってみることにしました。
ワークショップ運営メンバーの座談会
ここからは、デザインスプリントワークショップの主催をした3名のデザイナー(obr、munechika、fuki)の座談会形式で感想をお伝えしたいと思います。
ーーデザインスプリントを実際にやってみてよかった点は?
obr
今回のワークショップのプランニングとファシリテーションを担当しました。途中紆余曲折ありましたが、今回の勉強会のゴールであった「デザインスプリントの概要が初心者でもざっくりとわかる」が達成でき、BASEデザイナーと交流がとれたことで組織や自分の新しい部分が見えたことがよかったです。
今回は参加者のほとんどが未経験者でしたが、デザインスプリントを丁寧に教えることは目的としませんでした。BDIはあくまで社内勉強会なので、時間を長く確保するのは難しく、参加者は固定メンバーもいれば途中から入ってくる参加者もいたからです。
今回は2時間の勉強会を3ヶ月にわたって合計6時間分のプランを計画しました。初心者でもざっくりわかる内容にするとはいえ、Day1〜Day5の中でもどれを抽出するかに苦労しましたが、勉強会後の参加者アンケートでは満足感や学びがあったと意見がもらえてよかったです。今回の勉強会を参考に実案件に活かすデザイナーもいて、ざっくりとした内容でもBASEデザイナーに貢献できて良かったと思います。
また、前職からワークショップのファシリテーションは業務で行ってきましたが、今回は交流が少ないメンバーもいたので、それぞれデザイン開発のどこに課題を持っているかが手探り状態でした。そして誰だって新しいことには躊躇する気持ちはある。教えながらファシリテーションをする立場でありましたが、コミュニケーションに配慮しながらリードしました。
3回の勉強会をやってみてBASEでは色んなタイプの強みを持つデザイナーがいると感じました。それぞれの強みを観察しながらも、実案件での課題やデザイナー課題をこの回でどう解消するか常に工夫しながら行ったので、組織を俯瞰して見る力とファシリテーターとしての臨機応変スキルが今回で身についたと思います。また、普段BASEデザイナー同士でなかなか交流をとることがないので勉強会を通して横軸のつながりの強化を感じられました。
fuki
私は今までUIデザイナーとしての仕事が多くて、デザインスプリントを私は全然知らない状態だったので、いち参加者視点で感じた良かったことを話しますね。
デザインスプリントについては聞いたことはありましたが、読書会でやっとを概要を知ったぐらいでした。UXデザインをするためのフレームワークの方法は、最近ではネットでも丁寧に解説れていて情報を得やすくはなっているんですが、実践の機会って普段の業務では急に作れなくて…。
今回のBDIでは簡易的でしたが実際にデザインスプリントに参加することができて、具体的なディスカッションの流れや、こういうメリットが得られるんだ!と身をもって体験できたことが一番良かったです。
ユーザーインタビューの分解→アイデア発散→リーンキャンバス→9コマシナリオ、と駆け足だったのに教え通りにデザインスプリントの手法を使っていくことで、インタビューログを眺めるだけでは得られないインサイトやプロダクトのタネを見出せた時はちょっと興奮しました…!
本やネットだけではイメージできなかったところをたくさん学べるワークショップ形式に感謝です。
munechika
普段の業務において、デザイナーがゼロイチで何かを創る機会は中々ないので、インタビューから課題を見つけて、解決策を考えて、形にするところまで全部やれたのが良かったと思います。
obrさんがデザインスプリントをめちゃくちゃ凝縮したパッケージを作ってくれたおかげで、重要な視点をおさえながら短時間で体験するということができました。
ーーデザインスプリントを実際にやってみて改善点は?
obr
自分の中でも計画は入念にしていたものの、勉強会内でワークを走り切ることに少し意識が向きすぎて不慣れな参加者のサポートが一部弱くなってしまい、一部のメンバーが混乱してしまったことに後から気づいたことが反省点としてありました。
Day1〜Day5の中でもそれぞれのポイントを広く浅く触れるよう意識しましたが、今回のケースでは参加者によってはアイディア発散と収束のフェーズが難しそうに感じられました。
さらに1回の勉強会につき1~2ヶ月期間が空いてしまうので、ワークをする前に前回の振り返りを行う際に「これって何だったんだっけ?」と引っ掛かり、それが次の行動に移せなくなってしまったり思い出す作業が必要だったり。
そこで、途中で思考整理が必要だと感じ、ワークの一部でリーンキャンパスを用いながら1枚の紙に要点を書きサービスを俯瞰して振り返るという取り組みを全員で行いました。勉強会でワークを通してアウトプットは残していましたが、情報が足りないことが原因だと感じたからです。
デザインスプリントは短いスパンの中で素早さや生産性を目的としていますが、スピードを重視しすぎても生産性が落ちることが今回のケースでわかりました。
スピード感持ってデザイン開発を行うためには、素早く取り組むからこそ着実に一歩一歩進むためにアウトプットや議論の場をしっかり設ける大事さが身を持ってわかりましたので今後の実案件ではその点を考慮しながら開発を行いたいです。
fuki
参加者視点での改善点としては、obrさんも話していたように、期間がやっぱり開いちゃったことですね…。
期間が開くと、丁寧にやっていたはずなのに「あれ?私たちは今なんのの課題を解決しようとしてたんだっけ?」というレベルでまるごと忘れていたこともあったので、「デザインスプリントは連続してやるから価値のあるもの」は本当なんだな、と勉強になりました(笑)
あとは、当たり前のことだとは思うんですが、デザインスプリントをやったことない私にとっては、ディスカッションのレベルが高くてついていくのが大変だったなと思います。
このフレームワークでは、このように意見をまとめていくといいと思いますよ〜という丁寧なレクチャーはあったものの、どう落とし込んでいくかみたいなところは、けっこう試行錯誤していましたね。結局うまくまとまらないまま時間が来てしまったこともありましたね。
1回目でスムーズにできないのは当たり前なので、次のBDIでは参加者がある程度トライ & エラーを繰り返せる、余裕のある体験設計だとより「できた!」という感触を得られやすいのかなと思いました!
munechika
「デザインスプリントを体験してみる」という取り組みにしては非常に良かったと思います。あえていうなら、ここで出たアイデアを実際の試作化するところまで持っていけたらさらにすごい取り組みになりそうだと思います。
あと今回のワークショップに限らず勉強会コンテンツ共通の課題ですが、有志の取り組みは出席する人が固定化しやすいことがあるかなと思います。みんなが参加できるように、もっとハードルを下げたものにするのか、ある程度ターゲットを絞ってもっと発展的なものにするのか?
そこは今後検討していけると良いですね。
ーー今回の学びを今後どう繋げたいか?
obr
今回の勉強会を通して、チームや開発の状態をしっかりと観察しながらデザイン開発をする重要性を学びました。
今回は勉強会っていうこともあって特殊な条件下の中やってきたっていうのは大前提としてあるものの、デザインスプリントの参考書通りにやってもうまくいかなかったり、逆に参考書通りにしたくてもリソースやさまざまな事情で常に理想のワークはできないもの状態はどの会社でも多々あると思っていて、今回は練習の場であるもののその一例に過ぎないと考えています。
だからこそ基礎を踏まえた上で応用力が必要だと思ってはいますが、どういったところを丁寧にやってどこを素早く意思決定まで持っていくかは開発にもよるので、今後は実案件ではそういった観点をしっかり観察していきたいです。
今回はデザインスプリントを学ぶ会ではありましたが「デザインスプリントをやろう!」と言う名目でそこをゴールにして開発を進める機会は少ないと思っています。あくまでプロダクトが素早く効率的に開発をすることが目的でデザインスプリントはその手法の一部にすぎないので、どういうアクションを起こせばサービスの体験の質を担保できるかを今後も常に考慮していきたいです。そのためにもユーザーさんとビジネスミッションを理解をしてどんどんデザインのブラッシュアップしていきたいと考えています。
デザイナーの役割はデザインをするだけでなくユーザー側とビジネス側のコミュニケーター的な側面も必要だと思います。現場を理解しながら迅速に意思決定をするためにも都度メモや図などのアウトプットを丁寧に残すことが重要という学びを得たのでこれを次に繋げることで素早さと生産性を上げていきたいです。
munechika
obrさんが重要な部分を抽出したワークショップを設計してくれたおかげで、デザインスプリントを行う意義やその効果について本質的な部分に焦点を当てて学ぶことができたかなと思います。
一部のプロジェクトでは今回のワークショップで学んだ手法を取り入れているようで、既に業務活用につながったポイントもあります。
学んだことをすべてのプロジェクトに即応用できるわけではないですが、できる範囲で積極的に普段の業務に取り入れていきたいと思います!
fuki
デザインスプリントはまとまった時間も必要ですし、すぐにやるぞ!ということは難しいのですが、部分的には普段の業務に取り入れたいなと思いました。
特にデザインスプリントで行ったワークのおかげでプロダクトの目的やビジネス面への理解が簡単になった実感が得られたので、ワイヤーや企画段階の時など自分自身が深く理解するために試してみます!
また、本格的にチームを巻き込んでデザインスプリントができるようになるためにも、さらに本を読んだり知見を深めて行こうと思います。
最後に
今回は社内勉強会「BDI」でデザインスプリントのワークショップを実施しての気づきをお伝えしました。これからもメンバーが成長するための様々な取り組みを続けていきます!
今後も社内勉強会や取り組みなどを紹介していきたいと思っているので、興味を持ってくれた方はぜひ「BASE DESIGNER BLOG」(noteマガジン)をフォローしてお待ちいただけるととても嬉しいです!