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学生インターン東南アジアでホテル経営#Ep.6 死にかけたホテルを救え!? 〜スタッフの闇〜

味方がいない。
一人では何もできない。

まずはコミュニケーションだ。
信頼がなくては、いくら言っても続かない。
マネージャーとして来たと説明しているが、所詮アウトサイダーだ。

が、彼らは英語があまり得意ではない。
初めは、こっちから話しかけ、向こうがそれに答える。
会話のキャッチボールになっていない。

毎日毎日、
スタッフと一緒に汗を流して働き、
時にはジョークを言って笑いあい、
少しずつ距離を縮めていった。

そんなこんなで数日を過ごしてきたある日、
スタッフの一人が来てこう言った。
「Mr. Kaito!なんでマネージャーがそんなに働くんだい?マネージャーなのによく働くね、
 “ボス”!」
認めてくれた!ようやく認めてくれた!
嬉しかった。

一人、また一人と
だんだん向こうから話しかけてくれるようになってきた。
一人一人、彼らの話に耳を傾ける。

"なぜここにきたのか"
"どんな状況なのか"
"ここはどんなところか"

彼らはたどたどしい英語で一生懸命説明する。

「ここは、最悪だ。
 元々、4ヶ月800ドルの契約でここに来たのに、もらったのは最初の手付金200ドルだけ、
 俺には故郷に両親も妻も子供もいる!仕送りがなかったら家族はどうやって生活してい
 けばいいんだ!」

 「俺にも妻と子供が!!」

(え、おまえら奥さんも子供もいたの…???)

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以前、勇者カイトが希望の光を灯したおデブコンビだ(※Ep.2 死にかけたホテルを救え!? 〜暗黒世界〜を参照)

「いつも入口のところで座ってるアイツだ!!俺をここに連れて来たアイツがポケットマネーにしている!」

アイツか…

いつも入口のソファーに座って、仕事をさせてもしない、スマホばっかりいじって、飽きたら話しかけに来たり、自分は絶対に動かないくせにあれこれ言ってきたりするバングラディッシュ人のアイツだ。(スタッフかと思っていたら、実はオーナーの親戚だった。。自由にフロントやバックヤードに出入りしているのに区別つくカーーーイ👊)
おまけに客室に住んでいる。

負のオーラが漂うスタッフに光を灯し、モチベーションを上げて、チームとして頑張っていこうという時に、
オーナーの信頼は厚いがスタッフからの評価は最悪なこの厄介な男の存在。

目の上のタンコブだ。

チームのモチベーションを下げないためにも、早急に追い出すべきだ。
だが、目的は、この厄介者を追い出すことではない。ホテルを立て直すことだ。
人は攻撃されれば必ず反撃に出てくる。
今の自分には力がない。
道半ばにして倒れてしまっては、元も子もない。
まだ結果を出していないこの時に、余計なさざ波を立てるのは得策ではない。
今は悔しいが耐える。


が、彼の存在は悪いことばかりではなかった。

“仕事の邪魔をする敵”
“スタッフから搾取する敵”

共通の敵がいれば、チームとしての結束がより強くなるようだ。
学んだ。
しばらくはそれを利用させてもらおう。😈


それはさておき、今日ようやくエアコンを入れた3部屋がalmost完成した。
壁や窓はゴシゴシ拭いて黒ずみやへばり付いた汚れを落とし、空いた穴には詰め物を、そのあと壁にはペンキを塗った。

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初めは、壁なんて拭いて綺麗にしなくても、ペンキを塗れば一発だよ!と言ってきた。

確かにそのほうが簡単だろう。

でも違う。隠すだけじゃ意味がないんだ。

一度トイレ掃除をやり遂げている彼らに説明するのは簡単だった。
すんなり理解してくれた。ほっ😌

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こんなに汚かった部屋が



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こんなに綺麗になった。

ボス!終わったよ!!
そう言って嬉しそうに完成した作品を見せる彼を心の底から褒めた。
そんな喜ぶ彼を見てめちゃめちゃ嬉しかった。

“これは君がやったんだ。最初、部屋を変えると言ったとき、君は不可能だと言った。一気に全てを変えるのは確かに時間がかかる。一つ一つやっていこう。一つ一つ、少しずつ…”


行動に移すために、
これからすることを一回一回、スタッフにも、オーナーにも、オーナーと同じ地位にいる動かない者にも、説明し、わかってもらい、実行する。

掃除とペンキ。
正直、たったこれだけのことなのにこんなに時間がかかるのはもどかしい。ツライ。
だがようやくスタンダードの綺麗さにもっていくところまできた。

頑張ってやり遂げた彼らと喜びをともにし、
祝杯を上げに彼らをメコン川沿いに連れ出す。


たくさん話した。
彼らが何をしたいか。
どうありたいか。
自分がどうホテルを変えていくつもりなのか。

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これからの変貌に胸を躍らせながら部屋に戻る。

今日はなんて素晴らしい1日だったんだ!

to be conti…


が、実はこの話はここでは終わらない。
これから吹き荒れる嵐が来ることをこの時はまだ誰も知らない…
to be continue.

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