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しみこんだけどね

ほんとうに情けないなぁ
虫食いの連続の記憶がこの人生って
笑って終わった筈なのにまだ
食べ散らかしてゴミになったものを
余韻だなんて
主役と思い込んでいるアニメ脳と同等

柿の種の落花生みたいな思い出
缶コーヒーの味がしたくちづけや

世界の終わり後みたいな街灯や
苦瓜を初めて食べた夏休みや
鉄が削られた臭いのような朝焼け

みんな私を小さく圧縮しようと
塵を払う仕草を見せる
おむすびを作る仕草で
その実成り立たない前提で悲しくなる
私は誰かの宝物じゃなかった
そうでしょう?そうでしょう

肩の力を抜いて眉間の皺を緩めて
友よ、私と正義が合わぬ友よ
私達は柘榴の実の様に少ない過食部
しかし唯一の香味を持つから
離れても思い合う

私達は少し道が違ったら
手を繋いでいたかもしれないし
殺し合っていたかもしれない
理解者じゃなくて申し訳ないね
被害者を見たあの時代で
泣いていた子はまだ泣いている
全て忘れてしまうまで
お気に入りの服に染みついた油性ペン

ほんとうに
情けないなぁ
自分を形作ることが一番で
それなのに川面に映る自分の姿は
いつだって波打っている


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