Tobiuo

飛び出した馬鹿なトビウオみたいに
焼けてしまったマッチ棒は
自業自得と処分された
船の上に落ちたトビウオみたいに
その空を知る魚は
私の一部であり貴方の記憶を持っていた

貴方が望んだこの国の終わり
本当に心が不細工でした
飼っていたペットが死んだように
一種類の感情しかありませんでした

図々しく飲んだ朝露の満たされなさ
想像した戦争の始まりとは
最終回みたいに綺麗じゃない
あのトビウオは
そんな死に方をしたかったのか

水生動物が肺を獲得した時
あれほど苦しかったことはなかった
始まりは誕生は進化は燃えるように
死はおしまいは停滞は滑り落ちるように
翼を持つ魚は地中を這う土竜のように

レディオアクティヴィティー
マダムキュリーがポロニウムに光らされ
やあやあ沢山のジャガイモを蒸して
ブレードランナーに宇宙線の貫通と共に
今いる世界から飛び出す魚へ
こんな時代でも満腹になるから
満たされてしまったから
レベル1から始める行為を飛ばす

チェレンコフ光がふわふわりと
次の次元に持っていくものを選んでいる
意地を張っていた理由は思い出せない
馬鹿だと言われても我等トビウオ
水面から弾けてしまった
船の上で鳥を見上げた

相対して対峙して
もっと前に違う形で逢えたなら
こんな事故みたいな出会いはと
トビウオのくせに

青い海から出て
青い空を見上げた
僕等が望んだ世界の終わりは
息苦しく
それでもそれは何処にいても
同じだから火を点けた
陽もラドンも分かつべき夕凪も朝露も
オゾンを焼き尽くして
次に行くから旅が始まる

海面から飛び出した時
若さ故に希望が勝っていた
新しい苦しさを獲得した時
認知を壊すことを覚えた
それから月日を重ねた
まだ晴れ間の差す海中に居た
より高く飛ぶ為に
脅威をかすめながら速度を上げた

トビウオのヒレには放射能
前の世界の汚れをまとい
苦しくてもおかしくても
次の世界に行く一匹が居る