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キリン

そこそこキリンみたいな木のところにそこそこ木っぽいキリンが立っていて、日中は反芻したりしていて、じっと見てるとこっちの視線を感じたふうに体全部をこっちに向けて眠たそうな目で我々の様子をうかがったりする。

そんなキリンが見つめているのは本当は我々ではなくて、我々のずっと後方にあるここよりも木が密集してる場所で、ここから見るとキリンの頭と同じくらいの高さに青緑色の葉が茂っている。

キリンが何を考えているのか我々にはわからないが、とにかくキリンは日がな一日口をもぐもぐさせて、おそらくは昨日食べた葉っぱを噛み潰している。キリンはきっと夜までに昨日の分を消化してしまおうとあれで必死なんだろう。

夕方、キリンはゆっくりと歩きだした。青緑色の葉が茂る木のあるところまで大股で向かうキリンの口はまだもぐもぐと動いている。

やがてキリンは木と見分けがつかなくなったから、我々も夕食を食べにキャンプに帰った。

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