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北海道登山旅行①十勝岳

満を持して、夫婦での北海道登山旅行、一座目。

この日、それぞれ飛行機で新潟と東京から新千歳空港に降り立ったわたしたちは、夫の予約してくれたホンダのシャトルに乗り、道央を北上していた。

休暇は8日間、そのうちにできれば4座、天気を見ながら行けそうな山に行くというLet it be な登山旅行。そのため、宿は一切押さえていない。
登山の日は基本的に登山口に車中泊、それ以外は泊まる山に合わせて都度その場で宿を探すという、旅慣れている同士だからできるタフ旅である。

そもそもどうしてそんな難易度高めの旅をすることになったかというと、夫が数年前に一人でまったく同じ(時期も期間も同じくらい!)ことをしていたからだ。
しかし1週間程度の滞在では北海道の百名山を登り切ることは不可能であり、夫にも未踏の山は残っている。というわけで第二弾、のような心持ちで、基本的なプランニングは夫の提案に従い、改めてふたりで赴くこととなった。

初めて自分で運転する北海道の道路はどこへでも長く長く延びていて、皆のスピードが一様に早く、見通しのいい道路で抜きつ抜かれつもざらにあって面白かった。

途中富良野に立ち寄ると、わたしが好きな山梨のワイナリー(まるきワイナリー)がプロデュースしている富良野のワイナリーのアンテナショップがマルシェの中にあり運よく試飲することができた!まだ新設のワイナリーと思えぬほど味は安定して美味しくて、北海道のブドウの話なども聞けて満足であった。

近くのスーパーで行動食などを手に入れ、十勝岳温泉登山口へ。
先行車は3台。思ったより少ない。
二人での車中泊、もっとバンみたいな大きな車を借りると思っていたので、わたしが普段乗っているフィットのお尻が伸びただけのシャトルで大丈夫かしら?と思っていたが、意外と快適だった!夫の見立ては完璧である。

21時くらいに就寝準備を整えて寝床に入る。夜中には驚くことに雨が降り出し、雨音で一度目覚めたくらいの本降りだった。明け方までザーザーと降り続き、これ、まさか一発目から登山できない感じ?と危ぶんだが、出発の6時頃になって急にピタリと降り止んだ!

よかったよかったと言い合いながら、晴れを待っていたため少し遅めの6時半に登山開始。

十勝岳は現在火山レベル2。ザ・火山というような山容で、森林限界がすこぶる低く、早い段階から見晴らしのいい山歩きだった。そう、森歩きではなくてほぼ最初から山歩き。

ルートは上富良野岳〜上ホロカメットク山〜十勝岳を繋いで歩くことができる良いコース。雨上がりの空気は不安定で、雲が低いところを流れていく景色もかっこよかった。
30分もしないうちに、溶岩で削られたであろう谷にたどり着き、窪みを渡っていよいよ山のお腹からテッペンを目指すという感じになってくる。
1時間歩けばもう、富良野や十勝の街が見えるようになってくる。街を見下ろして感じるのは、北海道の広さだ。山の高さでは日本アルプスに敵わないが、なんというか大地のスケール感が全然、違う。

見晴らしの良さと噴煙

近くを歩いている人たちは皆、登山慣れしている感じで安心した。道が開けているだけに、誰かのザックで鳴る熊鈴の音が、あちらこちらから風鈴のように聞こえてくるのが心地よかった。
途中から、わたしたちの少し前を高校生くらいの男の子とお父さんが歩いていて、彼らの姿を少し先に見るのがよかった。先を歩く人や、振り返ってさっきすれ違った人を見て、もうあんなに遠いところに、と人間の小さくも大きい一歩一歩を感じるのが大好きだ。

親子のかっこいい写真が撮れた。突然話しかけてエアドロップで送ってあげたいくらい良い感じ。

とてもお気に入りの写真

十勝岳の山頂直下では噴煙凄まじく、阿蘇山と同じかもしくはそれ以上に火山ガスが濃く立ち込めていた。このご時世(※2022年夏)だからこその常備品、マスクを少し湿らせて装着する。8月頭に行った阿蘇山での学びが生きている。

山頂はちょうど雲が切れていて、ごろごろの火山岩の道を登り切った先に良い景色を拝むことができた。しかしそのまま景色を見ながら休憩しているとたちまち霧が立ち込め、その頃到着した人は「あれ?こんなはずじゃ…」というような顔。
少しすればまた晴れるようなガスかと思ったのだが、その後わたしたちが山頂にいる間に晴れることはなかった。「ほんのちょっとのタイミングでこうも変わるとはねえ」と話しながら下山する。出発直前までは雨だったし、なんだか今日は一瞬の隙をつくような登山だった。

急にガスった

下山時はナキウサギの声をそこかしこで聞くことができた。最初は鳥の鳴き声かと思っていたのだが、行き合ったおばさんに「ここにもナキウサギがいるわねえ」と話しかけられて存在を知ることができたのだ。

十勝岳、辛くもなく簡単すぎもせず、良い山だった!
8時間とそこそこ長丁場だったが、先週の鳥海山がいい練習になったねと話した。
北海道一座目を無事に登頂でき、幸先の良いスタートだ。


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