88 星の王子様
大学生の時、バイトしていた時の話です。
バイト先の同じ年のある女の子と仲良くさせてもらってたのですが、ある日、その子が大学の同じゼミの男に付きまとわれていてしつこくて困っているという話を聞いた。最初は大学も違うし知らない男なのであまり干渉するのもどうかと思い、そのうち無くなるだろうと軽く考えていたのだがどうやら1ヶ月くらいその状態で続いているらしく、本気で悩んでいるようだった。
優しい子なのだがどうやらいくら言われても付き合う気は無いようで、あまり強く言えないタイプだろうなと思っていた。
そんなある日、僕のバイトが26時に終わって帰ろうとしたとき女の子から「ほんとに悩んでいてどうしよう」と助けを求めるラインがきていた。
自称ジェントルマンの僕は愛車の真っ黄色の原付(ジョグ)で法定速度ギリギリまでぶっ飛ばしてすぐにその子の家に向かった。
すると団地の下まで出てきてくれたので話を聞くと、夜なのにめっちゃ電話がかかってくるらしい。その子は僕の颯爽と登場した姿を見て泣いていた。
男という生き物は、女性の涙を見ればなんでもできる!と猪木寛至も言っていたような気もするのだが、ここで何もしなきゃ男じゃない、否、漢じゃない。
すぐさま電話を貸してもらい、例の男に電話をかける。丑三つ時に意中の女の子から電話がかかってくるなんてさぞ嬉しいだろう!案の定すぐに男は電話に出た。逆ハニートラップだよ~ん
男「もしもし?」
僕「●●と同じバイトの者やけど」
↑ 世界一カッコイイ 同じバイトの者やけど を言い放った。
男「え?え?誰?」
僕「連絡しつこくて困っているから。●●今泣いてるで…ほんまに好きなら…女の子泣かすなよ(キリッ)」
心の中の僕「俺、かっちょエエ…」
男「…」
僕「…」
男「…」
僕「それだけ。もうやめときや」
そう言って電話を切った。
もう大丈夫やと思う。またなんかあったらすぐ言うて。と彼女に言ってまた愛車である真っ黄色の原付(ジョグ)に跨り法定速度ギリギリで帰路についた。
帰りながら、自分がカッコよすぎてニヤニヤしていたと思う。その姿はもはやどこぞの星からやってきた王子様ではないだろうか。とても大学4年間の間に2回も浮気された男の挙動とは思えない!
どこからともなく黄色のマシンに乗ってきて女性を助けるその姿はまさに、イエローマン~星の王子様~(サザンオールスターズが絶頂期の1999年に発売したにも関わらず売り上げが10万枚と思いのほかコケてしまった桑田佳祐お気に入りのシングル曲)である。
桑田さん…この曲の歌詞は何言ってるかぶっちゃけ分からないけど、やっと分かりました。
イエローマンって僕のことだったんですね。
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