地図を読むのが苦手でよかった
地図を読むのが苦手だ。
知らない道に出ると、つい左に曲がりたくなる癖がある。
東西南北が苦手だ。
南東の方で待っているよと方角で場所を指定されると結構困る。
どこだよ、目印になるものを教えてくれよと思う。
最近は地図アプリを見ながら目的地までたどり着けるようになった。
ただし、iPhoneのマップ限定。Googleマップは苦手。
地図を読むのに慣れるまでは、地図をぐるぐる回してみたり、位置情報を示す青色のやつが動く方向を確認してから歩いていた。
そんなことしなくても、当たり前に読める人が羨ましかった。
碁盤の目の街、さっぽろ
高校生まで札幌市で過ごした。
札幌の中心部エリアは「碁盤の目」状の街だ。
もし、道をうっかり間違えてしまっても、迷わずに目的地までたどり着くことができた。たどり着けるから、あまり地図を見なくてもやってこれたし、不便を感じなかった。自分のことを方向音痴だとも思っていなかったし、友達に言われるまで気にしていなかった。
大学生になり神奈川へ引っ越した。
約1ヶ月経ち、そろそろ土地にも慣れてきたかなと自信がついてきた頃。
ちょっとした冒険心でいつもは通らない横道に入ってみた。
迷子になった。
家はすぐそこのはずなのに、戻るに戻れない状態になってしまった。
地図を見てみたけど、碁盤の目のような街ではなく、入り組んでいる道が多く、札幌と同じような感覚で歩けないことを知った。
家へ帰るときは、あまり寄り道せずに、普段歩き慣れた道を歩くことにした。
一緒に悩んで、一緒に歩いてみる。
地図を読むのが苦手だ。
だけど、よく人に道を聞かれる。
地図は読めないけど、一緒に今いる場所と目的地を地図で確認してみる。
質問してきた人と、いっしょに地図を眺めてみる。
(助けたい意思表示をしてみる。地図アプリを開く姿勢で。)
自分もよく道に迷ってしまうから、声をかけられると、放っておけない。
自分でもわかる道は、一緒に歩いて案内した。(地図関係ない)
お手上げのときは、近くに交番があったので一緒に交番まで行って道を聞いたこともある。(無理をしない。できる人に頼るの大事。)
迷子の外人マダムを助け、ほっぺにキスされる
渋谷から新宿に乗り換えようと歩いていると、白髪の外人マダムに声をかけられた。
「新宿に行きたいけどどの電車に乗ればいいのか。切符を買ってほしい。」と言われ200円を渡された。
ちょうど電車の乗り換えで新宿には行く予定だったから、
一緒に山手線の電車に乗った。
渋谷から新宿までの3駅分の間、マダムのスピード英語が止まらない。
途中興奮して英語じゃない言語(ヨーロッパ系?)も混じり、聞き取れない部分も多かった。
あまりにも速いスピードで次から次へと話すから、翻訳機能を使うことを諦めた。単語とジェスチャーで意外となんとかなるものだ。
ハチ公を見たくて渋谷に来たけど迷子になってしまったことをクレイジーと言っているのか、昨日まで和歌山にいたけどハチ公を見たくて東京に移動してきたことを言っているのか。
聞き取れなくてよくわからなかったけど、渋谷にたどり着くまでのマダムの話を聞いているのは楽しかった。
大変そうなのに、それも含めてなんだか楽しそうなのがいいなと思った。
コロコロ変わる表情の豊かさに惹き込まれていた。
新宿に着き、電車を降りる。
てんきゅーてんきゅーといいながらハグとほっぺにキスされた。(テンキュー)
迷子も旅の醍醐味。楽しんだもん勝ち。
迷子になっても人との出会いやその状況も思い出として、まるっと全部楽しんじゃう。
外人マダムとの出会いで、そんなことを思った。
無事にチェックインできていることを願う。
こだわりすぎない、決めない。ジャズる。
散歩がすきだ。
地図を見ないで歩くのがすきだ。
だいたいの目的地は決めるけど、
そこにたどり着くまでは、最短ルートじゃなくてもいい。
地図ばっかり見て道を歩くより、その街にあるものを見て歩きたい。
最終的に全然違う場所にいるのもOK。
目的地も行き方も、こだわりすぎない、決めすぎない。
一人で歩くときは、地図を見ない。
たどり着くまでの道中も楽しむようになった。
迷ったら地図をみる。地図が読めなかったら人に聞いてみる。
たどり着く方法だけじゃない情報を得ることがある。
地図を読めないことを逆手に、開き直ってみたら意外と楽しい。
自分ひとりのときは、思う存分寄り道を楽しむようになった。
その街のおすすめのお店を教えてもらったり、
道を尋ねる会話のきっかけから、自分次第で広がりがつくれることを知る。
寄り道さんぽで出会ったいろいろ
どんなときでも、どんな場所でも、楽しみ上手になりたい。
そう思うようになった。
その練習場所が、散歩の時間だった。
日常の中で歩く時間も、楽しむ視点で歩けば、切り替え上手になれるかもしれないと考えた。
ひとつの事実に対して、解釈は人それぞれ。
自分の機嫌を自分でとるために、解釈の引き出しを増やす練習をした。
楽しもうと決めると、視点が変わるのか、面白いと感じる出来事が増えた。
いつもと違う帰り道、脱走中のすっぽんに出会う
久しぶりに1駅分歩こうと思った日。
少し先で何人か足を止めて、カメラを向けて過ぎ去っていく様子を見た。
何がいるんだろう?と思い通ろうとすると、すっぽんが脱走していた。
はじめは見て見ぬふりをしようと思い、通り過ぎたが
翌日車に轢かれてたらやだな…という思いから、すっぽんのいた場所に戻り
警察に通報した。
通報した瞬間に、人が集まってくるもんだから、ナンダカナとも思った。
警察が到着するまで、はじめましての女性2人とすっぽんの安全を見守った。
通報した場所から300mくらい移動していて、意外と活発なすっぽんに驚いた。パトカーが到着し、すっぽんは鳥かごに入れられて、無事に捕獲された。
その帰り道、薬局前に長ネギが落ちていた。
すっぽん鍋をしろってことかなと思い、面白い帰り道だった。
キャッチボール兄弟とわらしべ長者
コロナの自粛期間中、隣駅まで散歩をしていたらキャッチボールをしている兄弟とお父さんに出会った。キャッチボールに混ぜてもらい、仲良くなった。
コーヒーを淹れて活動していることを話すと、
ベンチを用意するからそこでコーヒーを淹れてよとお願いされた。
お父さんは大工さんで、手作りのベンチをつくるという。
1週間後、家の前に行くと、本当にベンチが出来上がっていた。
兄弟に豆を挽いてもらい、カフェオレをつくった。
ベンチに座ってみんなでコーヒーを飲んだ。
この話は過去のnoteに書いているので、もしよかったらどうぞ。
予定外、予想外が楽しい。
散歩で身についた思考は、
仕事や人との関わりの中でも活きている気がする。
散歩であったエピソードではないが、
まさかそんな話になるなんてと、予想外の発展になることもある。
一瞬ひるみそうになることもあるが、会話も楽しむ。ジャズる。
82歳のマスターから教わる自家製マヨネーズ
墨田区にある喫茶店ホリ。マスターは82歳。
お店は60年以上続けているという。
初めて訪れた時「また来ますね」というと、
「どうせこれっきりこないんでしょ」と言われた。
約束は守るタイプと伝え、ヤッチャバ帰りに豆腐やみかんのお土産を持ってホリに顔を出すようになった。
気づいたらマスターと仲良くなり、家族のアルバムを見せてくれたり、
昔話を教えてくれるようになった。
気づいたら、自家製マヨネーズを教えてもらった。
秘伝のタレを受け継ぐような気持ちでワクワクした。
紫蘇ジュースの作り方も教わった。
これからどんな展開になるのかわからないけど、マスターとしゃべる時間を楽しみたいなと思う。
近所に住むおじちゃんの終活を手伝う
昼の時間帯、せっせと家具を家の前に並べているおじちゃんがいた。
「あげます」という看板と、肘掛け椅子が気になり足を止めた。
もらうつもりはなかったのに、「終活してるんだ〜」ニカッと笑う笑顔に惹かれて、「この椅子いいですね〜」とつい話してしまい、椅子を譲ってもらうことになった。
「せっかくだから運ぶよ〜」と椅子を両手で頭の上に担ぎ、家の前まで運んでくれた。
「20年後のために今から終活してるんだ〜、奥さんに怒られちゃうからさ〜」「筋トレ、ウォーキング、軽めのストレッチしてるんだ〜」など健康の話もしてくれた。
おじちゃんの家の前に戻ると、テレビとか他にもいろいろあったのに、花瓶だけになっていた。
「わぁ〜もうなくなってる〜!うれしい〜!」とおじちゃんは喜んでいた。
10分も経っていない間の出来事で、幻だったんじゃないかと思ってしまう。すごいスピードだな。
家に帰り椅子に座ってみた。くるくる回る椅子で気に入った。
地図を読むのが苦手でよかった
地図を読むのが苦手なおかげで、予想外の出来事を楽しめるようになった。
その場を楽しめるかどうかは、自分次第だなと思うようになった。
こうじゃなきゃいけないという思考や制限は捨てて、
なるべく、たのしく、おもしろい方向に進んでいくために、
「こだわりすぎない、決めない」やり方もあることを知った。
その時々で、バランスよく、いろんな方法を試しながら過ごしていきたいと思う。
日常に、おもしろいは沢山転がっているはず。
気づいて、面白がれる自分でありたい。
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