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忘却は記憶の消失か、想起不能か?

一度あったことは忘れないものさ、思い出せないだけで

『千と千尋の神隠し』より、銭婆

千と千尋の神隠しでは、千尋が名前を奪われてそれを思い出せなくなってしまったり、ハクと昔会ったことを思い出せなくなってしまったりと、忘却が一つの重要なテーマである。

これはジブリ映画の中での話だが、実際の動物では忘却は記憶の永久的消失を意味するのだろうか、それとも記憶が存在はするがアクセスできなくなっていることを意味するのだろうか?

以前の記事で、利根川研究室のエングラム実験を紹介した。この研究は、恐怖を経験した際に活性化した海馬のエングラム細胞を光遺伝学の技術を用いて再活性化すると、マウスは恐怖記憶を想起するということを示している。

同様の技術を用いた研究により、一度忘却した記憶もエングラム細胞の活性化により思い出せることが示されている。つまり、記憶はエングラム細胞、または神経細胞間のシナプスのつながりとしては忘却後も残っており、そこにアクセスすれば思い出すことができる。この点で、銭婆の発言は正しいといえる。

ただし、記憶の想起の効率は100%ではなく、これらの実験は記憶の永久な消失が起こることを否定するものではないことに注意する必要がある。また、動物実験はかなり単純化した設計で行っているため、これがどの程度複雑な状況で、どの程度長い間隔をおいても成立するかは検証の余地があると思われる。

『千と千尋の神隠し』では、忘却が重要なテーマとして描かれています。実験によれば、一度忘れた記憶もエングラム細胞の活性化によって思い出せる可能性が示唆されています。ただし、効率や記憶の永久的消失についてはまだ研究が進んでおり、複雑な状況や時間の経過においてどのように成立するかは検証が必要です。

ChatGPTを用いて要約
サムネイル画像はDALL-Eにより生成