見出し画像

転職&移住して考えた僕にとっての「安定」

僕は今年7月に東京から広島・尾道に移住した。
「フルリモート可」「自分の望む職種」の東京の会社に転職し、今は、地域の人と自然と繋がる暮らしを楽しんでいる。

移住後、時々上の世代から「○○(前の会社)の安定を捨てて何で転職・移住したの?」と言われることがあり、そのたびに、「安定」とは何だろう、ともやもやしていた。
こういう時おおよそ経済的な安定を指しているのだと思うが、経済的な安定があったとしても、数年毎の会社都合の異動で、自分の望むキャリアが歩めない、地域に根差した暮らしができないリスクのある状態は果たして「安定」していると言えるのだろうか、という思いがあったからだ。
ここからは、「キャリア」「暮らし」「経済的な」観点から、自分の思う「安定」を考えてみたい。

〈キャリアの観点から〉
キャリアは、特にこれという正解はなく、自身の適性や価値観を踏まえ形作っていくもの。ある地点を目指し逆算的にキャリアを歩むことを山登り型、任された場所で実績を積みながら少しずつ自分の価値観の合う方向性に舵をとっていくことを川下り型のキャリアともいうらしいが、いずれにしても、納得感のあるキャリアを歩むには「主体性」が重要である。
会社都合で部署を転々とさせられ、気づいたらその会社でしか通用しないスキルしか身についておらず、特に自分の仕事や会社に対して愛着もやりがいもない、という状態はなんとも寂しい。

であるならば、会社の異動の辞令を漫然と受け入れるのではなく、主体的に自分の望む仕事が何かを考え、その環境に飛び込み、充実感を得られるよう試行錯誤する(転職、社内公募、希望部署への異動の積極的・継続的なアピール 等)ことが重要だと僕は思う。
それが結果として、将来的に後悔しない自分のキャリアを「安定」して歩むことに繋がるはずだ。

〈暮らしの観点から〉
地域に根差した暮らしは、住む場所の「安定」のみならず、心理的な「安定」にもつながる。
自分も移住後、近所に定期的に遊ぶ多世代の友人が複数できたことで、いざとなったときは助け合えるという安心感を持てるようになった。
これは、大学近くに住んでいた学生時代には普通だったことだが、自分の場合、社会人になると「会いたいけど、緊急性はないから結果会わない」となりがちで、この関係性をすっかり忘れていた。

なぜこうなりがちになったのだろうか。これは仮説だが、移住先では街という空間を身体感覚として他者と共有できていることが、一体感・安心感につながっているからと感じる。
東京だと、移動は電車・地下鉄が中心で、歩き・自転車などの移動と違い、身体感覚として空間が分断されてる感じがあり、友人と会うにも空間を越える心理的ハードルが少なからずあったように思う。

あとは単純に同世代の友人が30代になって、仕事の責任アップや子育てで自由な時間がなくなり、会いづらくなってきたことも大きな理由だ。

東京にいる頃は、プライベート→同世代、会社→20代〜50代と関わることが多かったが、移住先では比較的時間に余裕のある色々な世代の人たちとプライベートでも関わることができ、いざという時に助け合えるコミュニティの中で、心理的な「安定」を得ながら暮らすことができている。

〈経済的な観点から〉
上の世代のいう「経済的な安定」も、コロナにより浸透したフルリモートでの働き方、移住支援金制度の改正、地方の生活コストの低さにより、以前よりかなり得やすくなっている。
これは僕の場合というより、全国的に、だ。

フルリモート求人もコロナ禍前と比べ大きく増加しているし、

移住支援金も今までは東京圏から地方への移住は、単身60万円、世帯で100万円だったが、2023年度から子ども一人につき+100万円もらえるようになるし、

消費者物価地域差指数をみても、やはり土地の値段や家賃を中心に、地方の生活コストは低い。

出典:消費者物価地域差指数(2021年)


〈結論〉
やはり自分の場合は、「フルリモート可」「自分の望む職種」の東京の会社に転職し、自分の好きな地域に移住したことで、自身の「安定」に間違いなく繋がっていた。
だから、今後は上の世代からのいらぬ心配や詮索を受けたら、「僕の場合、移住&転職で、働く・暮らす・食っていくの安定に繋がったんですよ」と言うことにしよう。

〈最後に〉
ここまで書いておいてなんだが、自分は「安定」を求めて移住&転職したわけではない。仕事や暮らしに主体性を取り戻し、より自由に豊かに生きていくためである。
なので「安定」という基盤を得つつある今、今後は地域に貢献すること、地域に貢献できる自分になることにより力を注ぎたい。
移住するだけでも、市民税や買い物などで地域にお金を払うので、貢献していると言えなくもないが、やはり、移住したからには地域の人との関わりの中で、自分らしい新しい価値を生んでいきたい。

来年は、趣味や会社の事業を、地域への貢献に接続していく試みをしよう。そして、その試みが形になったら、またnoteを書こう。

最後は年の瀬だからか、図らずも来年の抱負っぽくなってしまった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?