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父記録 2023/4/25

4/25
車で犬たちを予防注射に連れて行き、仕事場に犬を預けて父の病院に行こうとしたら急にエンスト。
ディーラーに電話をして指示を仰ぐが埒が明かず、幸い近所だったので来てもらう。
面会時間は迫っているが、車を道端に放置する訳にもいかない。
紆余曲折の末バッテリーを交換して車は復活した。よかった。今車が壊れたらめちゃくちゃ困る。

待っていた母と合流し、病室に入った。
今日は遅くなったので40分しか時間がない。
父は眠っていた。
看護師さんが来て「今日から管を通して栄養を入れています。」と言った。
よかった。順調。
父の足を揉む。
父の足や耳を触るたびに自分のそれらとあまりにそっくりでいつもじんわりと驚く。
人の身体のパーツって触ってみるとかなりそれぞれに違うものだ。

父のベッド越しに母とわちゃわちゃ喋っていると時折微かな声で父が何か言う。
どうにも聞き取れないくらい微かだけれど、会話に参加しているのかもしれない。
特養から持って来た父の若い頃の写真を見て母が「この写真、いいわよね自然で。お母さんが撮ったの。」と言った。
「お父さんとお母さんがともちゃんをおばあちゃんに預けてニューヨーク行った時、帰って来たら留守中に宅配便届けてくれたヤマトの人が『娘さん、すごくむくれた顔してましたよ〜』って、わざわざ教えてくれたのよね」
もう何十回と聞いた話をまた聞いた。

帰り際、「また明日ね」と声をかけると僅かに目を開いて青みがかった灰色の瞳がゆらりと揺れてまた閉じた。
また明日ね、また明日ねといつまで言い続けられるだろうか。

夫と夕食を食べながらぽつぽつ話す。
「人生の残り、うんと楽しまなくちゃね」
という話になって、夫が
「毎日病院通って大変だけど、これもある意味楽しみの時間なんだよね」と言った。
今日も思い切り楽しんだ。

予防注射後のイヌ

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