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えすろくろくまる

そんなサリーちゃん似の彼女と、サンリオピューロランドもまだ出来てなかった多摩ニュータウンを散歩し続けた。
秋もいつの間にか深まろうとしていた。
その年は確か夏に手持ちの花火をサリーとやったが、その時私達は水を用意しなかった。
夏草なんか燃えるものなら燃えてしまえと思っていた。夏草は焦げさえしなかった。
私達のような読書好きは、バブル期の中、その輪の中に入れずジュリアナにも行かず、501の左後ろのポケットに、何かしらの文庫本を突っ込んで夜の街を散歩するしかなかった。

まだ本当にニュータウンな感じだったので野良猫も少なかったが、秋風の冷たさに耐えかねたのか、白い猫が散歩中のサリーの足にまとわりついてきた。サリーはその白猫を抱き上げ、撫で、そして、飼おうよ、と言った。
あまりにも唐突な提案ではあったけれど、その流れに逆らう気力は私には無かった。
名前つけてよ。うーん、メスだね。とサリーは猫の股を見て言った。
路上駐車のピンク色のホンダ シティーカブリオレが見えた。私はピンクと言いかけて、白猫なのを確認し、シティーにしようと言った。
その夜私とサリーは白猫シティー推定?10歳をアパートへ連れて帰った

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