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読書備忘録

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#毎日note

ひとりで暮らす、ひとりを支える

北欧というと、幸せな国とか福祉国家などとイメージが先行、食器や雑貨の流行、以前は北欧で描かれた日本人監督による映画も人気があったりして、特に女性には人気が高いように感じます。 私たち夫婦も高齢となり、お互いの親を介護する老老介護真っ只中です。 そんな時「この本をお守りのように読んでいます」という記事を見かけて、すぐに図書館蔵書を検索、幸いに私の通う図書館にあったので借りました。 本書は2019年4月23日に青土社から256ページのソフトカバー単行本として出版されていまし

終わりなき夜に少女は

久々に翻訳本を読み終えました。それがこちら 「われら闇より天を見る」で2023年の本屋大賞翻訳小説部門1位となった、クリス・ウィタカーの2024年5月22日に翻訳が発売された最新刊です。 前作の翻訳は未読ですが、私が通う図書館は、割とミステリーが蔵書となることが多く、この作品も新刊蔵書と紹介されていたので、手に取りました。 いつもながら、登場人物の名前が頭に入るまで苦労し、また作品の流れが、失踪したサマーの双子の妹レインの視点、連続少女誘拐事件を担当する警察署長ブラック

六月のぶりぶりぎっちょう

2006年第4回ボイルドエッグズ新人賞を受賞した『鴨川ホルモー』でデビューされたこの著者の作品たちは、万城目ワールドと紹介されるほど、独特で面白く、多くが映像化されるのも頷けます。 しかしデビュー作以降、賞レースになぜか縁がなく、満を持してというか、やっと前回直木賞を受賞され、東野圭吾さんが直木賞を受賞された時同様に嬉しかったです。 そして直木賞受賞後の作品として、著者が選んだのは まさかの「本能寺の変」の真相、女子寮に14年も学生としているその正体に臨むというものです

一切なりゆき〜樹木希林のことば

9月に入って最初の本は、樹木希林さんが、対談等で話され、雑誌等で掲載された言葉を収録した「一切なりゆき〜樹木希林のことば」 テレビ番組全盛期に活躍された俳優というイメージの強い樹木希林さん。 2018年9月に癌によって75歳で亡くなって、6年が経ちます。 私にとっては先輩だと思っていた歌手や俳優が亡くなって、どんどんとその年齢に近づく、当たり前だけれど寂しさが込み上げてきます。 この文章どおり表紙の笑顔は、さすが俳優さんと言わんばかりだし、題名の「一切なりゆき」という言

多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ

題名に惹かれて、手に取ると監修が精神科医の名越康文さん、帯には第1回メンタル本大賞受賞とあって、類は類を呼ぶなと苦笑してしまいました。 著者のJamさんは、ゲームグラフィックデザイナー、イラストレーター。 そして日常で起こる人間関係の悩みを描いたマンガ「パフェねこシリーズ」が、Twitterで累計50万以上リツイートされるほど話題になるほどの漫画家でもあります。 SNS・会社・友達…ここにいない誰かからココロを守る64の考え方が、漫画と共にエッセイ風に処世術が書かれていま

天使と悪魔のシネマ

今年の夏は本当に異常な暑さが続きました。その余韻は残っているけれど、季節は移ろい、台風の季節へとやってきました。台風10号は、どれくらい被害が出るのか心配です。 8月も終わりに近づいて、まだ暑さが残るのでこの作品を読んでみました。 紹介に書かれている「ひと」は私も好きだった作品です。その著者が傾向の違った作品を書いているのを知って手に取りました。 印象的だった短編は2編 物語は理路整然値していますが、どこか暗く、影があり、背中がゾクゾクっとするものばかりです。そんな物

みしのたくかにと

題名を読んで、いやはやバーバもボケてなのを書いているのやらと思われた方も多いと思います。普段の私を振り返れば、そうなってもおかしくはないけれど、これは昨夜読んだ絵本の題名です。 小学校に勤務していた頃、月に1度全職員が持ち回りで朝読書の時間に読み聞かせをする必要がありました。上学年には興味がありそうなフィクションを読むことが多かったけれど、下学年にはやはり絵本が主流。司書さんにも選書を手伝ってもらい、子どもたちの前で読むのは、緊張の連続でした。 退職してから、愚息たちの絵

一番の恋人

不思議な題名だなと思いました。帯には著書の作品が映画化されると書かれています。私にとっては初読みの作家さん、ドキドキして手に取りました。 初めて知った言葉「アロマンティック・アセクシャル(他人に恋愛感情も性的欲求も抱くことがない性質)」 そして印象的なのが、一番というのが主人公の男性の方の名で、父親が男性らしく、力強く一番であれ、との思いでつけられた名前だという点です。 その彼が、強引な言い方をすれば女性らしくなく、男性に寄り添う女性ではない人を好きになってしまう、皮肉

檸檬のころ

「檸檬」から、あなたは何を浮かべますか? もちろんあの黄色いレモンを思い浮かべる方が多いと思います。この記事を読んでくださる方なら本好きで、梶井基次郎の短編小説を思い浮かべるかもしれません。 今日紹介するのは、豊島ミホさんの「檸檬のころ」 梶井基次郎の「檸檬」は得体の知れぬ憂鬱な心情や、ふと抱いたいたずらな感情を、色彩豊かな事物や心象と共に詩的に描いた作品ですが(「檸檬」の作品案内より)本作は山と田んぼに囲まれた、田舎の県立高校の四季を舞台に、高校時代という「あの頃」の

皆さんは「噂」にどんな思いをお持ちでしょうか?性的に女性の方が噂好きのようにも思えますが、実際は個人差でしょう。 最近では、実際に口伝えというよりネットを介して広まるものと、特に若者には理解されているのではないかと思います。 先日この作品を読みました。 書店員が経験された、本屋での小さくも温かいドラマのようなお話が収められた作品でしたが、実際に書店で紹介され、購入された本が1話ごとの末に紹介されていて、私も未読の作品があり、図書館の蔵書を調べ、この週末に読むためにしっか

惑いの森

毎回公言していますが、芥川賞作家 中村文則さんの文章に惹かれ、著者の名が話題に上がっていると、その作品を読みたくなります。 今日読んだのもSNSでどなたかが話題にしておられ、記録を確認して、未読がわかり、地元の図書館にはなく、県立の図書館に希望して送ってもらいました。 2012年9月21日イースト・プレスから248ページの単行本が発売、2018年に、文春文庫から208ページの文庫が発売されています。 作品の28編が2010年11月〜2011年12月にかけてWeb文芸誌に

ちょっと踊ったり すぐかけだす

2018年10月はてなブログで日記の毎日更新を開始し、2019年からは同人誌としての頒布も、現在もnoteに不定期で更新されている古賀及子の書き下ろしを含む2018年から2022年までの日記より、103日分を集めた母・息子・娘、3人暮らしの愉快で多感な日記エッセイです。 noteでも日記を書かれていて、岸本佐知子さんも推薦されているので、手に取り、ここ2日少しづつ読ませていただいているのですが、どうもしっくりきません。 日々の暮らし、特にコロナ流行時の生活は、今までと大き

あなたの言葉を

図書館といえば、あなたは何を思い出されるでしょうか? 図書館と言っても、通学された学校の図書室、地域にある図書館、そして今流行りのカフェと併設された図書館など、利用された頻度や思い出によって人によって大きく違うことでしょう。また学生さんにとっては、学習される場としても貴重な場だと思います。 図書館の役割として、現在発行されている新聞を蔵書としている点も大きいと思いますが、そんな中、今日紹介するのは毎日小学生新聞に辻村深月さんが掲載されたエッセイです。 毎日小学生新聞もま

キャント・バイ・ミー・ラブ

朝から暑くて、朝仕事の後シャワーを浴びました。朝シャンです。今年の夏は本当に多いです。いつまで続くのかしら。 今回図書館から借りてきた本は軽めのものが多く、エッセイ、日記、そして今日紹介する「東京バンドワゴン」シリーズです。 シリーズも今回で第19弾です。「続いていますね、よ!小路幸也さん!」と声かけたくなるほどです。 2024年4月26日に集英社から312ページの単行本として発売されています。 古本屋「東京バンドワゴン」3代目当主の堀田勘一を筆頭とした、堀田家のある