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読書備忘録

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2022年3月の記事一覧

悲しみの秘儀

今日は読んだ本の紹介です。 読んだ本の紹介 この本を読んだ理由 年齢のせいにしたくないけれど、私の周りで起こること、私の体調を考えると、こういう本を読みたくなります。 あらすじ 感想 私も身内の死を経験してきてはいますが、元気な時、仕事に没頭している時はそれほど私に関して思い悩んだりすることはありませんでした。 しかし今の病を得てから、死、孤独ということがどんどん迫ってくる恐怖を感じます。 母も超高齢なのでいついなくなるかわからないし、夫がいつまで元気でいてくれる

「九十八歳。戦いやまず日は暮れず」

姑は私の母よりかなり若いのですが、最近認知症状が著しく、目が離せない状態になっています。 私も持病から年齢的に早くから認知症の症状が出てきているので、少しでもnote更新は続けていきたいのですが、もしかすると更新が止まることがあるかもしれません。 こんな時期にこんな本を読んでみました。 読んだ本の紹介 この本を読んだ理由 実母の姉が佐藤愛子さんと同年齢なので、本を手に取らない母も著者の作品は読んでいます。 今回Kindleのキャンペーンをきっかけに私も読んでみました。

獅子文六「コーヒーと恋愛」

昨日はKindle本を1冊読み終えました。 読んだ本の紹介 この本を読んだ理由 選書サービス「5冊だけの本屋@5satsudake」さんがWeb上で月1度開催しておられる読書会「ブッククラブ紅茶はアールグレイで@bookclubbookandearlgrey」の課題本でした。 あらすじ 感想 本作は1962年から1963年にかけて読売新聞に連載された「可否道」という題名で連載さたものを単行本化、のちに「コーヒーと恋愛」と改題されて、各社が発行されてきたものです。

「黒牢城」米澤穂信

今まで何回と候補に挙げられていた直木賞を米澤氏が受賞したので、期待大で読みました。 読んだ本の紹介 この本を読んだ理由 第166回直木賞と第12回山田風太郎賞をWで受賞した作品ということ、歴史ミステリーということに刺激されました。 あらすじ 感想 「満願」「王とサーカス」といった著者の作品は長さに関係なく、期待通りのミステリーを展開してくれました。 今回は時代小説のミステリー、それも荒木村重と黒田官兵衛を扱っていると聞き、期待が大きかったです。 しかし、私の歴

川村元気 著「神曲」

川村元気氏の新作がかなり衝撃的な文章で宣伝されていたので、図書館から借りて読みました。 読んだ本の紹介 著者2年半ぶりの最新長編です。 この本を読んだ理由 これまで著者の作品を数々読んできて、とても共感できる作品が多かったからです。 あらすじ 感想 実際に読んでみなければ、その作品の良さはわからないものですが、今回のこの作品はテーマ(信仰)が大きいだけに、物語に入り込むことが難しく、最後まで理解できませんでした。 通り魔によって、自分の子どもが殺されるという不

新名智 著「虚魚(そらざかな)」

このところ気分がすぐれないので、読書に逃げています。 読んだ本の紹介 第41回横溝正史ミステリ&ホラー大賞<大賞>受賞作です。 この本を読んだ理由 図書館で初めて目にしたのですが、横溝正史大賞の審査員が皆絶賛していたこと、怪談師という言葉に惹かれました。 あらすじ 感想 主人公もその周りの人たちも本当に怪談を信じているかのようで、実は違ったものを追いかけているという、まさにそこがミステリーであり、怪談自体はホラーです。 人は、自分の不幸を何かとすり替えなくては幸

「オン・ザ・プラネット」島口大樹

久しぶりに若い作家の作品を読みました。 読んだ本の紹介 1998年生まれ、「島がぼくらは祈り」で第64回群像新人賞を受賞した新進気鋭作家の作品。 この本を読んだ理由 本作が第43回野間文芸新人賞、および第166回芥川賞の候補作となっていたからです。 あらすじ 感想 23歳という若さで、こんなにも哲学的なものの考えをするなんて、著者自身がとても優秀なのだろうと思いました。ロード・ムービー物語で映画を撮影に行くというあたりは、どこかの映画のワンシーンでもあるけれど、

「独立記念日」原田マハ著

私は毎日が日曜日ですが、毎日のルーティンを決めています。 その中の一つがアンケートサイトです。そこで貯めたポイントをApple Musicのサブスク料金に当てたり、AmazonでKindle本を購入しています。 読んだ本の紹介 原田マハ氏の独立記念日。寄り道したり、つまずいたりしながらも、独立していく女性たちの姿を鮮やかに描いた、24の心温まる短篇集です。 この本を読んだ理由 大きなきっかけは、Amazonのポイントが貯まったこと、ポイント還元率が高かったことですが

道尾秀介著「N」

著者のSNSで面白い仕掛けがしてあると紹介があったので、図書館で借りて読みました。 1.読んだ本の紹介 2.この本を読んだ理由 読む順番で、世界が変わる。自身がつくる720通りの物語。 3.あらすじ 4.感想 それぞれの章の冒頭部分だけが最初にあって、そこから次へと読み進めるのですが、驚いたのはその章ごとに文章が逆さまになっていること、読み進めていくと各々が独立した物語のようで、微妙につながっていることです。 ただ1度読んだだけではこの作品の魅力を読みきれない、

高田郁著「あきない世傳金と銀12 出帆篇」

高田郁さんの時代劇小説シリーズは欠かさず読んでいます。本作も早12巻が出ました。予約していた順番が回ってきたので早速読みました。 1.読んだ本の紹介 9歳で大阪呉服商五鈴屋に奉公に上がった幸も40歳。江戸浅草田原店で店を開いて10年経ちますが、藍染浴衣地で江戸中にその名を知られるも再び呉服を扱えるようにと、いう願いが本作で徐々に道筋が見えてきます。 2.この本を読んだ理由高田さんの作品の中で描かれる女性たちが特に魅力があります。主人公の幸はもとより、彼女を精神面で助ける

寺地はるな著「タイムマシンに乗れないぼくたち」

図書館から借りてきた本は5冊でしたが、2週間で読みきれないかもと思いましたが、ここにきて順調に読み終えています。 1.読んだ本の紹介 人知れず抱える居心地の悪さや寂しさ。 そんな感情に寄り添い、ふと心を軽くする物語。 2.この本を読んだ理由著者の作品「水を縫う」がとても印象的で好きでした。あちこちの書店さんがこの作品を推しておられるのをSNSで拝見し、読んでみたくなりました。 3.あらすじ「コードネームは保留」 楽器店で働く優香は、人知れず“殺し屋”の設定を生きること

「月の光が届く距離」宇佐美まこと著

ここ数日昼間太陽が顔を出す時間が増えてきて、気持ちも落ち着いた気がします。そんな時にこんな作品に出会いました。 1.読んだ本の紹介 養子縁組、里親制度など小さな命に光を当てる、書き下ろし長編。 2.この本を読んだ理由帯に 「それは、血のつながりより深い愛」 とあり、昨今過酷な運命をもって生まれた幼い子どもの事件をよく耳にするので手に取りました。 3.あらすじ女子高生、美優は予期しない妊娠をしてしまう。堕胎するには遅すぎると、福祉の手によって奥多摩にあるゲストハウス

「天国からの宅配便」柊サナカ

昨夜は一昨日の気持ちを払拭するかのような温かい物語を読みました。 1.読んだ本の紹介 (目次) 私たちの小さなお家 オセロの女王 午後十時のかくれんぼ 最後の課外授業 エピローグ 親友、祖母、初恋の人、先生から小包が想いを繋ぎ、心揺さぶる、救われるストーリーが描かれています。 2.この本を読んだ理由「大切な人へ、あなたが最後に贈りたいものはなんですか?」 このキャッチコピーに強く惹かれたからです。 3.あらすじ友人に先立たれた孤独な老女、祖母と喧嘩別れした女子高生

「ミシンと金魚」永井みみ

昨日久しぶりに紙の本を読み終えました。 1.読んだ本の紹介 暴力と愛情、幸福と絶望、諦念と悔悟……絡まりあう記憶の中から語られる、凄絶な「女の一生」。 2.この本を読んだ理由 第45回すばる文学賞を受賞した作品であること、そして著者が今一番身近な問題である介護・認知症と向き合うケアマネージャーであるということから興味を持ちました。 3.あらすじ認知症を患うカケイは、「みっちゃん」たちから介護を受けて暮らしてきた。ある時、病院の帰りに「今までの人生をふり返って、しあわせ