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【ウイスキー】スコッチ⑦ アイランズ 〜西〜

ウイスキーを飲み始めると、わからない言葉が色々と出てきますよね。
その中でも外せないのが、「アイランズ」という単語。

スコットランドに浮かぶ様々な島々でウイスキー造りが行われていますが
どんな島で造られているのかは意外と説明ができないものですよね・・・
より楽しくウイスキーを嗜めるように、しっかりと解説していきます。

1.   そもそもアイランズとは?おさらい

近年特に注目が高いアラン

「アイランズ」とは言葉通りスコットランドの島々のことを言います。
しかし、全ての島のことを指しているわけではなく、
ウイスキー造りが行われている島々を一括りにそう呼んでいます。

具体的には、2つの区域の島々+αのことを指します。
①スコットランド北端 オークニー諸島
②スコットランド西端 ヘブリディーズ諸島+α

前回、①のオークニー諸島について解説いたしましたので
https://note.com/bar_studio_tv/n/nf78230e12f19
今回は②のヘブリディーズ諸島+αについて解説していきましょう。

2.   ヘブリディーズ諸島とは?

タリスカー/トラベイグのあるスカイ島

ヘブリディーズとはヴァイキングの言葉で「地の果て」を意味します。
その名の通りスコットランドの西端に連なる島々で、
その数100島を超えていますが、8割以上は無人島です。

人口が少ないということは開発などが手付かずであり
美しい自然や旧文明の遺跡がそのまま残っているため、
観光シーズンか否かで人口増減が激しい地域でもあります。

ウイスキーの蒸溜所ができることは島民にとっては
とても大きな出来事であり、
観光資源として、また、地元民の雇用先として重要な役割を担います。

国の中でも辺境で人口100人程度の島々が、
遠く隔たる日本でも一定の人に認知されていると思えば
その効果は絶大ですよね。

3.   〜インナーへブリディズ諸島+α〜

トバモリーの沿岸部

さて、
この西側の島々にはいったいいくつの蒸溜所が存在するのでしょうか?

まずは
本土に近い島々の中でも比較的大きく人口が多い島において
ウイスキーがつくられている、インナーヘブリディーズ諸島に
存在する蒸溜所を挙げていきましょう。

・Isle of Rassay
 ラッセイ島 
 人口120〜150人程度の小さな島
 2016年設立
 ラッセイ島初の"合法"蒸溜所

・Talisker
 スカイ島
 スコットランドで2番目に大きな島で人口も1万人弱と多い
 1830年設立
 ディアジオ社クラシックモルトシリーズにも選ばれる老舗

・Torabhaig
 スカイ島
 2017年設立
 スコットランド歴史遺産の外観を保全しながら再利用した蒸溜所
 
・Tobermory
 マル島
 1798年設立
 ピートを焚かないトバモリーとしっかりとピートを焚くレダイグを生産

・Isle of Jura
 ジュラ島 
 小説家ジョージ・オーウェルが『1984年』を執筆した時に住んでいた島
 1798年設立
 お隣のアイラ島とは対照的にライトピートのウイスキーを製造

★ヘブリディーズ諸島には含まれないがアイランズに含まれるもの

 地理的にはクライド湾の南側の島であり諸島に属してはいませんが
 ウイスキーにおける区分ではアイランズに含まれ、
 他の島々と並列で扱われることが多いアラン島についても紹介します。

・Lochranza
 1995年設立
 もともとは"Isle of Arran"だったが後述のLaggができたことで
 所在する地名を冠する蒸溜所に

・Lagg
 2017年設立
 ヘビリーピーテッドウイスキーを生産
 こちらもも所在する地名を冠する蒸溜所

※アイラ島も地理の上ではインナーへブリディーズ諸島に含まれますが、
 歴史的にも蒸溜所の数としても特別なので
 ウイスキーの分類の上では別途取り扱うことがほとんどです。

4.   〜アウターヘブリディーズ諸島〜

アビンジャラック蒸溜所があるルイス島

 続いて
 アウターヘブリディーズ諸島に現存する蒸溜所は
 新興のものが3つ。これからの発展に期待します。
 ※2022年時点の情報です。

・Abhainn Dearg  
 ルイス島 
 作家イアン・クリチトン・スミスが生まれた島
 2008年設立
 10年表記のウイスキーが少数だが日本にも流通

・Isle of Harris
 ハリス島 
 ハリス・ツイード発祥の島 
 2014年設立
 キーボタニカルに昆布を使ったジンを先行販売
 
・Isle of Barra
 バラ島 
 小説家コンプトン・マッケンジーが住んでいた島
 2019年クラウドファンディングにより資金調達
 Barra Ginを先行販売 ※ロンドンで製造


5.   まとめ

・スコッチウイスキーにおいてアイランズと呼ばれるのは主に2区域

・西の果てヘブリディーズ諸島+アランで様々なウイスキーが展開

・島ごとにそれぞれの個性を活かしたウイスキー造りがされる

・新興ウイスキーメーカーも多数存在する

・今後さらなる展開が楽しみな地域

※地域区分に関しては諸説ございますので、
 あくまでも大まかな分類の一例と捉えていただけますと幸いです。



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