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【ウイスキー】ピートとは?

 ウイスキーを飲み始めると、わからない言葉が色々と出てきますよね。
 その中でもよく出てくるのが、「ピート」という単語。

 ピートの利いたウイスキーが大好き!って方は数多くいらっしゃいますが
 ピートが何であるのかは意外と説明ができないものですよね・・・
 より楽しくウイスキーを嗜めるように、しっかりと解説していきます。

1.Peat(ピート)とは

ピート1-min

 主に気温の低い涼しい気候の沼地で、
 植物が枯れた後十分に分解されずに積もっていき、
 ゆっくりと炭化していったものです。

 石油・石炭・天然ガスなどの燃料が一般的では無かった時代に、
 Peatを天日干しにして水分を飛ばし、熱源として利用していました。

 特にスコットランドにおいては、
 北部地方や周辺の島々は、広大な土地がピート層で覆われており、
 また、Peat地層は軟らかくかつ湿っているのため、
 細長い鍬で簡単に切り出すことができるといった性質もあり、
 重宝されていました。
 夏に掘り、地上に積み重ねて天日乾燥させておき、
 秋から冬にかけて燃料として使用するという伝統がありました。

2.ウイスキーとPeat(ピート)

ピート2-min

ウイスキーづくりにおいて、
麦芽の成長を止めるために乾燥させる工程で
熱源が必要であり、そこでPeatを利用していました。
このPeatの燃焼時に発せられる独特の香りが麦に付着し、
できあがるウイスキーを複雑で肉厚な香味に

現在では燃料技術の進歩により、
熱源という点においては不純物が多く、湿っていて
燃料として非常に効率が悪いPeatを、
あえて使う理由もなくなったので
燃料としてのPeat需要はウイスキーの麦芽乾燥にほぼ限られます。

他の利用法としては、
繊維質を保ち、保水性や通気性に富むので、
園芸では腐植土として培養土に混入し、
土質を改善させるために肥料として用いられるそうです。

3.Peat(ピート)が利いたウイスキー

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ピート臭は、煙っぽい、病院のような、薬品的、海藻様などと
表現されることが多いです。

ただ、ピートが利いたウイスキーは全て同じ香りがするわけではなく、
ピートを燃やした時に立ち上がる独特の香り
(フェノール化合物に起因する)
については、堆積した植物がなにかにより全く異なります。

例えば ヒース。

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スコットランドの冷涼な気候条件にも耐えうる、強く美しい植物です。
生きている間は荒れた大地を覆い、風化するのを防いでくれる。
生を終えてもウイスキーづくりのアクセントとしてはたらいてくれる。
なんとも素敵な存在ですね。

そして海辺では海藻。

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ワカメや昆布などが堆積してできたピートは
ヨード臭、いわば保健室みたいな独特の香りがしますね・・・
この海藻系のピートは、一度飲んだら忘れられない!
やみつきになってしまう方も多いアイラウイスキーを構成する
とてもとても大きな要素ですね。

4.ちょっとマニアックなピートの話

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さて、ここからはせっかくなのでもう少し踏み込んでみましょう。
ジャパニーズウイスキーでは見られない現象として、
スコッチウイスキーでは、
ノンピート(ピートを焚いて麦芽を乾燥していない)タイプでも、
ピートを感じる場合があります。

例えば、Aultmoreというシングルモルトウイスキーは
麦芽乾燥時に全くPeatを使用しないのですが、
ほんのわずかながらPeatを感じます。
(加水することによりようやくほのかにわかるレベルです。)

これはなぜなのでしょうか?


私たちの住んでいる日本の河川は、
急流なため土壌の成分があまり溶け込むことがないです。
軟水が多いのもこのためです。


対してスコットランドは傾斜幅が少なく河川の流れがゆっくりなことが多く
土壌の成分が溶け込むのに十分な時間があります。
だから、その水が行き着く先の湖の水などには
うっすらピート風味がついているのですね。

5.まとめ

・ピートとは、泥炭
 植物が枯れた後に積もりゆっくりと炭化したもの

・麦芽を乾燥させるために、ピートを燃料として使うときに
 独特のスモーキーフレーバーが麦芽に移る

・ピートの元となる植物により風味が変わる
 内地のピートと沿岸のピートではとても差がある

・ウイスキーの仕込水にもピートの香りが
 染み付いていることもある
 

それではみなさま、今宵も良いウイスキーライフを!



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