村上春樹は日本のお札になるだろうか、と、はあちゅうさんの『「自分」を仕事にする生き方』が面白かったこと
100年、200年後、村上春樹が日本のお札の肖像になると思いますか?
夏目漱石がなっているわけだから十分ありえますよね。司馬遼太郎や宮崎駿よりは可能性が高そうです。
僕、18歳の頃に『ノルウェイの森』が大ヒットしたんですね。その頃、まあとにかく周りの全員が読んでいたんです。
で、その当時を思い出しますと、「村上春樹が好き」ってあまり大声では言えない雰囲気だったんです。
フィッツジェラルドやサリンジャーを読むけど、村上春樹も読むかなって感じで、すごく遠回しに言う必要があったんです。
わかりますよね。
でも村上春樹がずっと最前線で活躍して、海外でも評価されたりすると、堂々と好きって言っても大丈夫という雰囲気になります。
あるいは渋谷系って今みんな普通に語っていますが、当時、僕くらいのちょっと上の世代だと「大好き!」って言えない雰囲気があったんです。
イギリスのネオアコとかアシッド・ジャズが好きなんだけど、渋谷系もなかなか良いよね、みたいに遠回しで言う必要があったんです。
それが今では渋谷系ってもう複数の研究本が出て「語り継がれる伝説の時代」みたいな雰囲気になっていますよね。
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そういう風に考えてみて、僕はある確信がありまして、「はあちゅうは日本のインターネット黎明期に飛び出してきたジャンヌ・ダルク的な作家」として、日本の文化史に必ず残るだろうなって思うんです。
例えば、日本の大正や昭和に大流行した作家や作品で、今は全く残っていないのってすごくたくさんあるんですよね。
そういう感じで、今、日本で流通してベストセラーになってる本が100年後には全く残っていない可能性ってあると思うのですが、「はあちゅう」という存在は間違いなく残ると思うんです。
やっぱり将来、ツイッターやインスタグラムやブログという現象が語られるとき、必ず何度も何度も「はあちゅう」という人物が紹介されるだろうし、彼女の言葉が引用されると思います。
そして寺山修司や宮沢賢治の研究本が何冊もでているように「はあちゅう研究本」も何冊も出ると思うんです。
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以前、ある女性が「私、はあちゅうさんが大好きなんです」って言うので、「どうして好きなんですか?」って聞いたんですね。
そしたら「だってすごく頑張ってるじゃないですか。いろんな批判をあびてもちゃんと反論するし。彼女がそうやっていると、私も頑張らなきゃなって思うんです」と答えました。
そう教えてくれた彼女もすごく頑張りやさんで、ある男性中心の社会の中でひとつひとつキャリアを積んでいて、ああ、この女性も職場でいろんなイヤなことがあっても、「はあちゅうさんが頑張ってるんだから私も頑張ろう」って感じで心のより所にしているんだなあってわかりました。
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そんなはあちゅうさんの新刊『「自分」を仕事にする生き方』を読みました。 https://goo.gl/KMcnLh
そういう頑張りやさんたちに向けたすごく良い本です。
あまりネタバレ過ぎにならないようにしながら何カ所か紹介します。
今回のすごい名言。
「他者評価が高いよりも自己評価が高い方が幸せなんです。自分に自信のない美人より、自信のあるブスの方が幸せなんです。自分の「自信」は自分で守ってあげてください」
最後の「自分で守ってあげて」がすごいですよね。この文章の前半は僕も思いつくのですが、最後の言葉の箇所に女性たちが「グッ」とくるんだろうなあと思いました。すごいです。
あと、「人見知りを自称する女の子」のことを、バッサリと切り捨てているんです。
「自分大好き人間」と切り捨てているんです。この思考の展開が素晴らしくて、「ああ、そうかあ、人見知りなんですっていう人は、そういうことだったんだ」と納得しました。
「自分のことを人見知りだと思っているあなた」は是非読んでみてください。
「人を動かす人はSNSも人のために使っています」という言葉にも痺れました。
常々、「拡散希望と書く人で、その人が誰かの投稿をシェアやRTしているのを見たことない」と思ってまして、そうだなあと納得しました。
あと「質問・注文が多い人はお客さんじゃない」というのも名言です。
たまにbar bossaに電話があって「どんなお店なんですか? いくらくらいですか? どんな客層なんですか?」って感じですごく質問する方がいるのですが、まず来店してくれないんです。
他にもすごく面白い文章ばかりで是非、オススメですよ。
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ところで、はあちゅうさんは「自分について書かれた文章」は必ず目を通しているそうなので、はあちゅうさんにメッセージです。
はあちゅうさん、「悪い人」がたくさん登場する小説を書いたらいいのに、と思います。
僕は「悪い人」を描く才能はないのですが、はあちゅうさんはすごくうまく書くと思います。
ある野望をもった若い女性が、いろんな悪い男性や悪い女性に、いろいろとイヤなことをされるのですが、それを乗り越えて、ついに成功するという「成長小説」はどうでしょうか。
たぶん、多くの女性たちの共感を得ると思います。
はあちゅうさん、未来の5千円札の肖像になる日を期待しております。
色んな質問に答えた本が出来ました。『ちょっと困っている貴女へ バーのマスターからの47の返信』 https://goo.gl/dZ32IW 立ち読みできます!
https://goo.gl/Q6mRvL
bar bossaに行ってみたいと思ってくれている方に「bar bossaってこんなお店です」という文章を書きました。→ https://note.mu/bar_bossa/n/n1fd988c2dfeb
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