ビストロで「定食はないの?」というお客様とオーナーの家族に悩んでいるに答えました。

※水曜日は質問に答えています。

【質問】
ビストロで接客をして2ヶ月です。
シェフ兼オーナーは上品で腕もよく、上品なお客様が多いです。
雰囲気を壊したくなく、明るさを保ちつつ、ふるまえるようになってきておりました。
新しくいらしたお客様に、メニューを見ずに、定食が無いのか大声できいてきたりする方が、いらっしゃいます。(勿論ございません。)
話をするの好きなのですが、話をするうちに、他のお客様の、雰囲気をこわしてしまいそうです。そして、レジがまだ苦手で集中してるのですが、
その時に、オーナーの家族が良かれと思いお客のふりできて、「今何人来る」と良い、仕事の最中にアドバイスを、してきてとても混乱するのです。
そのほかにも覚えなければならないことがあるので、頭が整理されず、
まるで嫁に入ったみたいに思えてきて、ブチ切れそうですし、うるさい!と思います。
マスターは始めの頃、どのようにしておられましたか?

【答え】
なるほど。まず悩んでいるのは2カ所ですよね。
①「定食はないのか?」と大きい声できいてくる人がいる。
②オーナーの家族がお客のふりできて、色々とアドバイスをするが、よけい混乱する。

まずこの①の問題はお洒落な雰囲気の良い飲食店ではよくある問題です。

僕はこれを「バーで『牛丼つゆだく』を注文する人問題」と呼んでいまして、いますよね。お洒落な雰囲気の場所で、わざと、そのお店には絶対に置いていないような大衆的なメニューを注文するという冗談を言う人です。

これ、ちなみに言っている本人は「冗談」と思っているんですよね。でも、残念ながら「全く面白くない冗談」なんです。ここが本当に残念なポイントですよね。

さて、どうしてそのお客様がそんな冗談を言うかと、本当に傷つかないでほしいのですが、若い女性であるあなたを、少しなめているからなんです。

これが、例えばあなたが50代後半くらいの落ち着いた雰囲気のある髭をはやした男性でソムリエさんでしたら、その方はそういう冗談は言わないはずなんです。

実は僕も20代の頃はよくこの手の冗談を言われました。でも最近は47だし、髭も髪も少し白いので全く言われなくなりました。

ですので、対処法としましては、毅然とした態度で、でもすごく丁寧に対応するしかありません。

「定食ないの?」と言われたら、全然驚いたりせずに、すごく丁寧に、その方の目をしっかりと見て、「大変申し訳ございません。当店では定食はご用意しておりません。メニューはこちらになりまして、前菜ですと例えば今日はこれがおすすめでして」という感じで返答すべきかと思います。

その時にあなたが一生懸命に丁寧に心から言っているという雰囲気が伝われば伝わるほど、その方は「ああ、なんか俺、場違いな、全然つまんない冗談を言ってしまったなあ」ってわかってくれます。

ポイントは相手の目をちゃんと見て、本当に心から丁寧にお伝えするという箇所です。

 ※

さて、次は「オーナーの家族がお客のふりできてて、何かとアドバイスしてくれるのが混乱する」ですね。いやあ、ほんと、こういうのが一番困りますね。わかります。

これはもうあなたにとって「我慢できないくらいの状況」でしょうか。もしそうでしたら、オーナーにはっきりと、「オーナーのお母さんがフロアで何かと言ってくれるのが、善意で言ってるのはわかるんですけど、ちょっと無理です」とかって感じで伝えるべきです。

オーナーはシェフだから、キッチンの中でいるからそういう状況が見えていないんですよね。それはオーナーもまさか自分の家族がそんなことを言ってて、あなたが混乱しているなんて知らないはずですから、伝えるべきですね。

それでもし、そのオーナーが、「まあまあ、うちの母さんも悪気があって言ってるわけじゃないから、適当に相手してあげてよ」というようなことを言ったら、僕はそのお店もオーナーもちょっとどうかなと思います。

これ、そのまま、そのオーナーに見せていただいても良いのですが、やっぱり、あなたはその「ホール」を任されているわけですから、他の外部の人にとやかくいわれることっておかしいです。

あと、お客様のふりで来店しているのなら、お客様としてご家族はふるまうべきだと僕は思います。他のお客様が見ても、スタッフに色々とアドバイスを言うお客様がいるってちょっと変に感じます。

 ※

さて、上品な雰囲気のお客様も多いビストロで接客を始めて2ヶ月ということですが、どうですか?

まず、僕はあなたが「自分が働いているお店のお客様が上品で、シェフも腕が良い」ということを最初に書いてくれたのがすごく「好印象」です。

あなたが、自分が働いているお店が好きなんだなあ、自信を持っているんだなあっていうのが、とても良いことだなと感じました。

何かで読んだのですが、日本人の多くが、自分が働いている職場をそんなにいいところだと思っていないそうです。

そう考えると、あなたはとても良いお店で働いているわけだし、お話をするのも好きだということなので、とても良い職場なのではないでしょうか。

そして、あなたの文章の雰囲気を見ていると、たぶん明るくて、お客様にも好かれるタイプなのではないでしょうか。

僕はこの飲食店での接客のサービスというのを24年間やってきて、本当に色んな種類の人と知り合えたし、そんな知り合えたたくさんの人たちが、その後の僕の人生で色んな手助けをしてくれたし、たくさんのことを教えてもらったし、本当にこの接客業をやってきて良かったと思っています。

たぶん他の職業なら、こんな出会いはまずなかっただろうなって思います。本当に出会えた人たちは僕の人生の財産になっています。

あなたもこれから「イヤなこと」もたくさんあるかとは思いますが、それ以上に「いいこと」がいっぱいあるし「良い人」にもたくさん出会えますよ。それを楽しんで仕事をしてくださいね。

#コラム

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色んな質問に答えた本が出来ました。『ちょっと困っている貴女へ バーのマスターからの47の返信』 https://goo.gl/dZ32IW 立ち読みできます!
https://goo.gl/Q6mRvL

bar bossaに行ってみたいと思ってくれている方に「bar bossaってこんなお店です」という文章を書きました。→ https://note.mu/bar_bossa/n/n1fd988c2dfeb

この記事は投げ銭制です。この後、オマケで僕のちょっとした個人的なことをすごく短く書いています(大したこと書いてません)。今日は「やってしまったダブルブッキング」です。

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