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20歳の頃、池袋WAVEのクラシック売り場で働いた

※日曜日は読む人が激減するので音楽のことを。

18歳の頃、イギリス発のネオ・アコースティック・ムーブメントっていうのが好きだったんですね。

それでそういう音楽を現地でもっと浴びたいなと思って、20歳の時、1989年にロンドンに旅立ったんです。

でもロンドンに行ったら、どこに行っても「ジャズで踊れ!」って書いてあるんです。

これをアシッド・ジャズ・ムーブメントと呼ぶのですが、かなりこの動きに感化されて、日本に戻ってきたんですね。

で、もう大学は中退しているし、どうしようかな、と考えて、「とりあえずWAVEで働こう。そこでいろんな人と知り合って何かを始めよう」って思ったんです。

若い方に説明いたしますと、とにかく東京の音楽シーンの中心はWAVEだったんです。

その時期のWAVE出身者や、WAVEに通ってた人たちが、後の渋谷系をはじめとした、東京の音楽シーンを作ったといっても過言ではありません。

それでまあWAVEのジャズ売場で働こうと考えて、面接を受けたんですね。

その面接中に「好きなアーティストは誰?」って質問されて、色々と答えていたのですが、「グールドも好きです」ってちょっと知ったかぶりしてしまったんです。

そしたらその面接の方が「あ、そう。いやね、今ちょっとジャズ売場は人がたりてて、とりあえずクラシック売場に行ってもらえないかなあ。後でまたジャズ売場に配置換えしてあげるから」って言うんです。

僕としてはとにかく憧れのWAVEに入れるということで、「わかりました」って即答してしまいました。

それで池袋のWAVEのクラシック売場で働くことになったのですが、当然、僕、クラシックって全然わからないんですね。

そしたら今はアリアというお店を経営してクラシック音楽評論家の松本大輔さんという人が、「これ、読んでおけ」って渡してくれたのが、たぶん松本さんが自分でまとめた「クラシックが簡単にわかるテキスト」だったんです。

それでまあなんとなくクラシックの流れみたいなものがわかって、指揮者やピアニストなんかの名前や位置づけみたいなのも把握しだして、まあやっと店頭で働けるようになりました。

WAVE、とにかくサンプル盤がたくさんあるんで、聞き放題なんです。

それで片っ端から聞いたのですが、モーツァルトが全くいいと思えないんです。

それを正直に他のスタッフに話すと、「ああ、林くんの気持ちわかるよ。そんな無理して聞くことないんじゃない。好きなのを聞けばいいんだよ」みたいなことを言われたんですね。

それからは、「聞いておくべき」みたいなのは無視して、好きなのだけを聞くことにしました。

それで好きになったのは、ブラームスとドビュッシーとラフマニノフとヴィラ・ロボスでした。

あと、スタッフのみんなが好きで、僕も好きになりたい、それを好きって言うとカッコいい、それを理解しているとわかってるって感じてカッコいいと、無理して聞いていたのが、バッハとストラヴィンスキーでした。

ちなみに今でもストラヴィンスキーは、よくわからないのですが、僕のその後の人生で、「ああ、この人の音楽の聞き方、カッコいいなあ」って感じる人はみんなバッハとストラヴィンスキーが好きでした。

いや、ストラヴィンスキー、すごくカッコいいのは理解できてるんです。

でも、「うわあ、好きだあ、最高~!」って感じで心が震えないんです。

それで結局、そのWAVEは2ヶ月で辞めてしまったのですが、いい経験ができた、いい思い出の職場です。

ちなみにそのとき、日芸のピアノ科の生徒で、WAVEでバイトをしていた「高杉くん」という男性がいまして、彼がDJをやっていて遊びに行ったりカセットテープを作ってもらったりと、色々と仲良くしていたのですが、もちろんWAVEを辞めた後はそれっきりだったんです。

そして、bar bossaを開店して、10年後くらいに、ある日突然、その高杉くんが来店したんです。それも中島ノブユキさんと一緒に。中島さんの大学時代の親友で、中島さんの作曲したのを高杉くんが演奏していたそうなんです。

そんな高杉くんは今、高円寺で清浄というすごく良いお店をやっていて、メル&リーヌというユニットで歌っています。

人生や出会いや音楽って面白いです。

#コラム #音楽

僕が選曲したCD、出てます。[Happiness Played In The Bar -バーで聴く幸せ- compiled by bar bossa] https://goo.gl/UYh4A5

bar bossaに行ってみたいと思ってくれている方に「bar bossaってこんなお店です」という文章を書きました。 

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