若い女の子のおかげで、80年代の音楽がやっとわかった

※日曜日は読む人が少ないので音楽のことを。

H&Mが渋谷に登場したとき、すごく話題になったの覚えていますか。僕、ミーハーなので、服に興味はないけど、立ち寄ってみたんですね。

そしたらすごくびっくりしたことがありまして、店内でかかっているBGMが「80年代」だったんです。

これ、別に誰かが決めたわけじゃないけど、お店のBGMって「最新のヒットチャートの音楽」とか「ヒップホップやテクノといった最新のダンスミュージック」じゃない限りは、「60年代から70年代の音楽」って決まっていたと思うんです。

例えば、飲食店のBGMって、ジャズやボサノヴァや、ソフト・ロックやソウルやAORなんかが普通は流れていますよね。それらってほとんどが「60年代と70年代」です。

もちろん異論もあると思うし、例外はたくさんあると思うのですが、やっぱりアメリカを中心とした大衆音楽って、60年代と70年代で完成したと思うんですね。

例えば「ビートルズばっかりかかっているチャンネル」ってありますよね。あるいは「ピアノトリオばっかり」あるいは「モータウンばっかり」がかかっているチャンネル。これらってやっぱりスタンダードで安定しているんだと思うんです。だからBGMになると思うんです。

でも、H&Mではずっと「80年代」が流れているんです。

 ※

80年代の音楽って、よく言われるように、「過剰さ」とか「虚飾」とか、そういう「やりすぎたゴージャスさ」だと思うんですね。

僕、リアルタイムでその80年代の音楽を体験しているので、その「やりすぎたゴージャスな感じ」をカッコ悪いなあって感じてしまうんです。

それよりも70年代の「内省的な感じ」とか60年代の「革新的な感じ」の方が、しっくりくるんです。

でもまあ、時代って回ってくるから、「80年代が流行っている」ってずいぶん前に知ったときも、「いやあ、それはキツいなあ。80年代は聞けないよなあ」って思ってたんですね。

でも、H&Mでガンガン80年代がかかっているのを聞いて、「ああ、そういうことなんだ」って意味がわかったんです。

マドンナとかシンディ・ローパーみたいな過剰な感じがこういうお店ではしっくりくるんだなあってやっと意味がわかったんです。

 ※

でも、僕自身はやっぱり80年代って聞けないなあ、安っぽいシンセサイザーの音とか、ベースでチョッパーしてる感じとか、シンセサイザー・ドラムの「ヂュンッ!」って音もキツいなあって感じてたんですね。

それが、最近、CHAIを聞いて、「あ、80年代ってカッコいい」ってやっと心の底から理解できたんです。

CHAIってトムトムクラブが好きらしいんですね。


ああ、なるほど、こういう感じって「今っぽい」し、「可愛いよなあ」ってやっとわかりました。

これ、以前も、cakesに書いたのですが https://cakes.mu/posts/4327 、おじさんが一生懸命、若い女性の感覚を学ぼうとしているのって、僕は「支持する」んですね。

「最近の若い奴らはダメだ!」って言って、なんでもかんでも否定している頑固オヤジより、若い人たちに「今、何、聞いてるの?」って質問して、「じゃあ、自分も聞いてみよう」ってとりあえず試してみるおじさんの方が僕は「良し」と思っているんです。

それで、今回はCHAIに教えてもらったなあ、やっと80年代がわかってきたよ、って胸をなでおろしている48歳の冬です。

あ、CHAIはこんな音楽です。是非!

#コラム

色んな質問に答えた本が出来ました。『ちょっと困っている貴女へ バーのマスターからの47の返信』 https://goo.gl/dZ32IW 立ち読みできます!
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bar bossaに行ってみたいと思ってくれている方に「bar bossaってこんなお店です」という文章を書きました。→ https://note.mu/bar_bossa/n/n1fd988c2dfeb

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