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9月20日の日記と、図書館の思い出

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#私小説

そんなわけで、僕の小さい頃は「どこに預けられていたか」というのが中心になる訳なのだが、一ヶ所、「図書館」というのがあった。ここは僕の両親の友人が館長をしていたので、仕事中の母が「ちょっと伸次をよろしく」と、その館長にひとこと声をかけて、僕は数時間、母が迎えに来るまでその図書館で過ごしたというわけだ。

ところで、その両親の友人の「館長」という地位なのだが、どう考えても僕の思い違いでしかない。その図書館は歴史のある徳島県の一番大きい図書館だったし、その彼はたぶん当時30代半ばだったはずだ。でも僕の記憶の中では、彼はその図書館で一番偉い人として振る舞っていたし、本を本棚に並べたり、受付で貸し出し担当をしているのは見た覚えがない。だから彼は館長だった。

その図書館には入り口のところに本物のSLがあって、男の子はそのSLで電車ごっこをするというのが相場だったのだけど、僕はそういう「男の子っぽい遊び」は興味がなかった。

僕は子供の本の部屋の本を端から端まで何度も読み返した。お気に入りは、ファーブル昆虫記、ルパンやホームズといった推理小説全集、偉人の伝記、星新一といったものだ。

ところで「子供に伝記を読ませるの」ってあまり良くないんじゃないかって大人になって感じたことがある。偉人の話を小さい頃に知ってしまうと、「人はこの世界で何者かにならなくてはいけない」というような考え方を植え付けられてしまうのでは、と。

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