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後部座席の子守唄。

私は後部座席が好きである。Twitterでも何かにつけて後部座席の話をする。

実はこれには元ネタがあって、それを知っている人はニコリと微笑んでくださってることだろう。

今日はそんな、平和を学んだ幼少期の話である。

***

「安心っていうのは車の後部座席で眠ることさ。前の席には両親がいて、心配事は何もない。でもね、ある時、その安心は消え去ってしまうんだ。君が前の席にいかなけりゃならなくなるんだよ。そしてもういない両親の代わりに君が誰かを安心させる側になるんだ。」

上の記事でふれられている通り、実はこの訳文の最終文は、オリジナルにはない。おそらく、ネットの渦の中で、様々な人によって付け足され解釈され、あるいは思いを乗せて、語り継がれたきたのであろう(またの呼び方をコピペという)。

それはさておき、この安心についての比喩表現、私にはとてもしっくりとくるのだ。じんわりと胸の中に溶け込み、心の底で落ち着く感じがする。

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グランミラー。

我が家の車、7人乗りの赤いプジョーに積められた父母と5人の子供達。

父は多忙な人だったので、言うほど数は多くはないだろうが、たまにある家族総出の非日常はとても楽しいものだった。

7人が揃っている時なんて、子供とはいえなかなか窮屈だし、一番後ろの席はよく揺れるので、一つ上の兄なんてよく、ケポってた(自主規制)。

だが、そんな窮屈でわちゃわちゃした空間は、今思えばかけがえのない宝であった。

グランミラーやビリージョエルがよく流れたいたのは父の趣味だろう。

旅行のときは、別の曲を流したり、子供たちが自由気ままに歌を歌っていることもあったが、やっぱりこの曲を聞くと、あの頃の安心感を思い出す。

何ともいえない、あの懐かしい空間。目を瞑れば、いつの間に体が揺れているよう。

寝静まった車内では、運転席と助手席で大人の会話が紡がれる。

それを毛布にして、幸せそうな寝顔で、互いに寄り掛かり合う子供達。


もう、すでに引退した赤いプジョーのお話は、またいつかしてみようと思う。







あなたの座っていた後部座席は、どんな音に包まれていましたか。

そして、今はどんな音を奏でていますか。

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