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あの子の小さな爪。

中学生の頃から好きだったあの子。
いつも爪だなんて見ないから気づかなかったけど、
ある日一緒に話してたらとても小さな爪だった。

それを指摘したら、「コンプレックスながっ!(なの!)」と方言丸出しで言い放ち隠してしまった。
そんな小さな爪さえも愛おしい、可愛らしく感じられてしまう思春期の魔法。今まで知らなかったあなたを知れた気がしてちょっぴり嬉しかったりもした。あの時は、わざわざ爪の話に触れたりしてごめんね。

*    *    *

普通じゃないという言葉がある。人と違うからコンプレックスだと感じることがある。

でも他の人とはちょっとだけ違うをかき集めて、私はあなたを認識しているんだと思う。それはあなた自身のことであったり、私との相対関係において生まれるものだったりする。

初めてハグをした人。
初めて一緒に夜更かしをした人。
とても長い時間をかけてお互いの関係を深めていった人。
一生懸命お互いを傷つけあった人。
同じ学校だった人。
同じ趣味を持っているキミ。
正反対の感想を持つキミ。
歌がとっても上手なキミ。
今は遠くにいるけど、それでもよく連絡をくれるキミ。
少し私より背の低いキミ。
誕生日が一日違いのキミ。
二重な私と一重のキミ。
そして、小さな爪のキミ。

もっともっと、僕の中のキミがあるけど、好きなとこ苦手なこと、いい思い出嫌な思い出、いろんなものが詰まっている。

似たような人はいるかも知れないけど、僕にとってのあなたはあなたしかいないのだ。当たり前だって鼻で笑うかも知れないけれど。

たとえ爺さんと婆さんになってもしわ寄せあって話てるんじゃないかな。
どちらが先に死んでも、わざわざお墓の前まで行って一緒におしゃべりしてるんじゃないかな。
天国に行っても、何となく再開してお茶してるんんじゃないかな。


自分の爪を眺めながら、普通とは少し違うが集まったあなたのことを、今日も私は想うのだ。


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