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北欧サスペンス『THE KILLING キリング』シーズン1 デンマークTVシリーズ 2020.5.30

スウェーデンの『ドラゴン・タトゥーの女』(小説と映画)と並び、北欧サスペンスブームの牽引車となった、デンマーク産のTVシリーズです。本国では、国民の3人に1人が観た、といい、その後ヨーロッパ、特にイギリスで大ヒット、アメリカでもTVシリーズとしてリメイクされています。

コペンハーゲンの空港に近い湿地帯で、若い女性が誘拐された事件が発生。遺体が湖から引き上げらた車のなかから発見されます。その車は、市長選挙まっただなかのハートマン候補陣営の公用車だったことから、事件は政治スキャンダルに発展していきます。

捜査の指揮をとるのは、殺人課のトップ刑事サラ・ルンド。実はこの日は彼女にとって、退官して再婚相手の住むスウェーデンに移住する最後の勤務日でした。歓送会までの時間に現場に行き、後任のマイヤ刑事に引き継ぐつもりだったのですが、思わぬ展開に引くに引けず、もちまえの職業意識も働き、気がつくとスウェーデン行きをすっぽかし、捜査の中心になっていたのです。

事件発生から解決までの20日間を、20回のエピソードで描いていきます。以下の3つの物語を巧みに同時進行させていきます。

まず、被害者の女性ナナとその家族。彼女の父親タイスは運送業を営んでいます。妻と、19歳のナナの他に、2人の男の子がいます。使用人も5、6人いて仕事は順調でそうに見えますが、スタッフには過去にありそう。この家族への波紋。

事件にまきこまれる市長候補のハートマン陣営。現職の経験豊かな市長に、革新的な政策をひっさげ、善戦中。20年来の選挙参謀の友人、恋人でもあるアドバイザーにもめぐまれています。事件は選挙陣営関係者の仕業か。議員自身も当日の行動に不審な点が。

そして、スウェーデン行きをどたキャンしたサラ・ルンドをはじめとする捜査チーム。サラには、スウェーデンにいる結婚相手からひっきりなしに電話がかかってきます。10代の息子も気がかりです。また、後任のマイヤ刑事にしてみれば、サラは邪魔な存在です。いかんせん実力があるので、彼女の助けはほしいところ。政治案件と化した事件、さまざまな圧力も。

捜査が進むにつれ、次々とあがってくる謎、混乱させる証言、容疑者が二転三転し、20話、展開に目が離せません。

一番の魅力は、主人公のサラ・ルンド。デンマーク・フェロー諸島産の手編みセーター(イギリス放送時はこれが話題になった)にジーンズ、髪は後ろに束ね、ほとんど化粧などしないやり手のデカ。猪突猛進、時間も場所も、相手の立場も考慮しません。その空気読めなさ、同調圧力にまけない態度が人気の秘密です。

サラを演じているのはソフィー・グローベール。他に、ハートマン議員役に、マッツ・ミケルセンの兄、ラース・ミケルセン、マイヤ刑事はソーレン・マイヤ。以上3人は、デンマークを代表する名優。デンマーク・アカデミー賞を何回も受賞しています。


2007年1月7日、本国放送
原題 Forbrydelsen
製作年 2007年
製作国 デンマーク
全20話
製作総指揮:ピヴ・ベルントゥ
出演
ソフィー・グローベール/ソーレン・マリン/ラース・ミッケルセン/ビャールネ・ヘンリックセン/アン・エレウノーラ・ヤーゲンセン/ニコライ・コペルニクス

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