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ありがとう映画界 映画ランキング2020

今年という時代は映画界のみならず様々な業界がその煽りを受けていたであろう。

私の勤めていた接客系の会社でも毎日の検温マスク着用、感染を気にしてgo toも使えなかったがそんな方も多かっただろう。

そしてくだんの映画業界は、公開延期となる作品はその期間がどんどんと長くなり結果未定か来年春の公開予定となっている作品が多い(キングスマン ワイルドスピード 007など)

そして最もここで苦境であり好機と考えたディズニーはムーラン ソウルフルワールドなど配信に切り替え逆に劇場公開にこだわったクリストファーノーランのTENETとで映画に関する対応の違いに明暗が別れる。ディズニーにとっては、NETFLIXから全てのディズニー作品を引き上げ自社ストリーミングサービスでディズニープラスでの勝負に出たことは、今後の映画業界の変化を昨年以上に体感させられる(昨年ではNETFLIXの映画業界進出)

とそろそろ自身の映画の話にいこう。今年は最初に見たときの衝撃インパクトの高さで選んだ傾向が強い

1位.ジュディ虹の彼方に
2位.羅小黒戦記
3位.劇場版鬼滅の刃 無限列車編
4位.イップマン完結
5位.海辺の映画館 キネマの玉手箱
6位.アルプススタンドのはしの方
7位.ワンダーウーマン1984
8位.82年キム・ジヨン
9位.ミットサマー
10位.パラサイト半地下の家族

また、2020年の過去の映画のリバイバルでよかった作品はジャンポールベルモンド傑作選より大盗賊

鬼滅は言うことがないだろう。長くなるので感想は、自分の一番この作品の解説が正確だと思った漫画家山田玲司先生の動画URLを乗せておくのでそちらをご覧いただきたい。

https://m.youtube.com/watch?v=Sn7JMeXDe1s

鬼を(魘夢)をやっとの事で倒した炭次郎の前に敵組織の中でも3番目の実力者

猗窩座が、乱入してくる。鬼=圧倒的理不尽と世界の残酷さ象徴でもあり炭次郎達は自分の無力さに涙する。というか絶叫する。我々現実の世界には資本主義が根付き、たとえ有名人の誰が死のうが 自分の信頼していた人が陰謀論者になろうが明日仕事がある。涙する暇などこのコロナ渦で誰も与えてくれない。そんな中自分の無力さを嘆き絶叫する彼らを見て泣くのを耐えられるのだろうか。

この映画の成功は冒頭のお館様の台詞で最初からわかっていた。再び立ち上がる

頑張ろう 負けない 耐えると言ったメッセージが強かった中で一度は敗れたとしても再び立ち上がる勇気を与えてくれた鬼滅には賞賛を送りたい。

羅小黒戦記も本当に素晴らしかった。

ジブリ的世界観やナルト的人物配置など既存の作品の要素を併せ持つもののだから良いわけでなくその中で新たに作られた世界観や設定などが楽しい。シャオヘイの成長物語を軸に1本の映画としての完成度もさることながら、シャオヘイと無限の関係をずっと見ていたいと思わせた時点でこの映画の虜となっていたのは間違いないだろう。

イップマン完結は、1作目のテイストで進んで行くものの舞台はついにブルースリーのいるアメリカ。中国人街を舞台に中国人ひいては白人優位主義にまさかの中国映画がメスを入れる。今や排外主義的ムードが醸成されているが当然人種差別が存在したのは今に始まった事ではない。日本人がチャイナマンと呼ばれたと言った話も聞かない話ではない。本作では白人優位で全てを語る海兵隊の鬼軍曹によって海兵隊内のカンフー(詠春拳)の使い手や中国人が差別を受け傷つけられるシーンが繰り返されたのちイップマンが彼らをねじ伏せることでカタルシスを得られる。

彼の拳にはあらゆる自国、民族、人種の存在や習慣に不寛容な人々の怒りが込められ最終作にして感動的なラストが待っている。正史と違うでも爽快で楽しい

ドニーイエン最後のイップマンの活躍をぜひ見て欲しい

海辺の映画館 82年キムジヨン ミッドサマー パラサイトは最初に見た衝撃の強さで選んでいる。

海辺の映画館はとにかく映画を追っているだけでも訳がわからないシーンが多いものの大林監督の確かな怒りが我々の心をえぐる。特に印象的だったのは桜隊のくだりだ。この映画は、閉館する映画館に集まった観客が様々な世界を映画の中に入って体感する物語だ。その中で桜隊(広島原爆で唯一被害にあった移動劇団 地方慰問での活動を行なったがこの被害に遭い9名中5人が焼死もしくは即死 残り4人ものちに死去)とメインキャラたちは出会う。広島原爆投下の数日前に彼女らに出会いこの結末を回避させようとするも叶わず。

その直後、戦慄するのだ。桜隊の方の名前が文字列として映し出され何人即死 何人即死は免れるもその後死亡。人の死が一瞬にして数字にされる。

戦争とは人間の物語を終わらせるだけでなく何人死んだと数字に変換されてしまうのだ。今のコロナ状況とも重なるが、身近な人間が死んでも人数にしか変換されないのが戦争の恐ろしいところだ。これを主人公たちとしっかり絡ませて擬似的に行う。今や戦争体験を直接聞くことは非常に難しい中、こういった体験がフレッシュかつ戦争の恐ろしさを再認識することとなった。

そして今年、一大アメコミ作品ルネサンスであった2019年の余韻が残る1年になるかと思われるも、MCUは公開延期と配信も遅れてしまった。DCはハーレイクイーンの華麗なる覚醒に続き
女性ヒーローワンダーウーマン1984の公開がアナウンスされるも度重なる公開延期。

フランスの映画館ではムーランの度重なる公開延期と最終的にサブスクでの配信に切り替えたムーラン
に怒りを露わにしたスタッフがパネルを破壊した動画が話題となった。
映画館の怒りもっともだろう。007やムーランのパネルは公開延期になっても一旦展開し、ポスターは本当に公開されるのか半信半疑になりながら張り出すもの延期が繰り返された。
そして公開日の上から、公開未定の修正を行い今も展開し続けてなくてはならない。
いつムーランのような展開になるか分からない。

日頃映画を観ていない方は、分かりづらいことは承知だがこういった光景を日々目撃していた。
当然地方や、ミニシアターのように倒産リスクが少ないことはシネコンの利点だろうがこういった戦いが来年まで続かないことを切に願いたい。そして劇場関係者に感謝を述べよう。

話を戻すとそんな中で公開してくれたワンダーウーマンは最高という話なのだが。

前作で大切な最愛の恋人を失ったワンダーウーマンことダイアナはアマゾネス種族の王子。その特性から、歳をほとんど取らない。そのため彼が死んだ第一次大戦から60年も1人スミソニアン博物館のスタッフをしながら暮らしていた。

そんな彼のかつての恋人トレバーが突如復活。 
その原因と世界を巻き込む陰謀にワンダーウーマンの活躍が描かれる。

今作は現在公開中なのでほとんどネタバレせずに魅力を伝えるのはならダイアナ(演ガルガドット)がとにかく素晴らしい。これに尽きるしこれですでに5億点

だとよく分からないので、解説するとそんなスティーブとの切なすぎるラブストーリーが今作1番の見どころと言っていい。
そして彼が蘇ったのはボカして言うとチートなのだ。

その為彼とヒーローで居続けることへの葛藤が見せ場となる。
そして1984と付いているように80年代イケイケ資本主義世界がフィーチャーされている。この世界観を知っている方は楽しめること間違いない。
なんと言ってもフィットネスでエアロビでレオタードなのだ。これは映画ライター高橋ヨシキもうっとりすること間違いなしである。

今作でのワンダーウーマンでは、ワンダーウーマン自身はフェミニズム性を帯びていない。逆にだからこそこの作品全体にその要素を組み込んだとしてもくどくはなっていない。

一部の人が言っているキャプテンマーベルでいうポリコレ感というものはそこまで発生していない。

明るく楽しくそして切ない1本を新年のスタートにしてもよいのではないだろうか。

ここで作品解説と記事を締めたいと思う。
コロナ情勢は全く気が抜けないのが現状であり映画館も去年のようにしまってしまう可能性もある。

来年以降の最新大型大作の用意など非常に問題も残る。劇場でかけられる作品リバイバルばかりになったあの時(午前10時の映画祭)我々はまだコロナを舐めていた。

そしてシンプルかつ最もわかりやすく人が一番怖いと身をもって学んだだろう。
我々人間の最後の武器はやさしさだ。
たとえ今はそれを向けるのが難しい時でも立ち上がれ そして共に2021年を生き残ろう

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