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えねーちけーアーカイブス #113 ディープ・ダンジョン

 ながちろのオンライン作品を掘り出して再利用しようというNながしろさんH恥のK掻き捨てアーカイブス。第113回は「ディープ・ダンジョン」。

 団地に対する憧憬というのはどこから来ているのだろう。思い当たるところはいくつかある。
 生まれたところというのが駅前の商業地区と、そこから4kmほど南にある産業道路を中心とした工業地帯で出来ていて、いる子どもも生まれた場所によって毛色が違っていた。一番古い記憶がその「遊びに行った工業団地」になる。

 それから大学に入ってから、友人が共同生活をしていた多摩ニュータウンのあたり、というのも印象にある。あとは前にも取り上げた「母子受精」の団地のイメージも強い。人間が発展のために、明るい未来のためにつくりあげた都市の群れ、みたいな感じであろうか。知らんけど。まだなんか、未来に希望が持てていたころの残滓みたいなのが好きなのかもしれぬ。頑張って働けば明るい未来が待っている、みたいな。

 そうした未来"だった"場所で、いまの人々が感じるのは抜け殻的な切なさであり、たぶん「あはれ」の仲間だ。のあはれの場で多少なりとも未来の話をしようとする、というのがまぁ本作なんだろう。

 00年代前半に流行った「廃園」とか天使のイメージもかつてあった栄華にたいする「今」というイメージにおいては地続きなのかもしれんなあ。
 ファンタジーのようでいてちゃんと(生活している)世界の衰退を読み取っていたんであろう。

みなさんのおかげでまいばすのちくわや食パンに30%OFFのシールが付いているかいないかを気にせずに生きていくことができるかもしれません。よろしくお願いいたします。