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BG2, ToB, 第9章、センダイの隊長とビホルダーのスペクテイターの会話

<センダイの領地にて。センダイは強力な女性ドロウ(ダークエルフ)、エガイザーグはその隊長、スペクテイターはドロウ族に仕えている1つ目玉のビホルダー。>

スペクテイター
「ああ、隊長殿!我が隊長殿よ!*」
エガイザーグ隊長
「はあ?なぜそんな呼び方を俺にする、ビホルダー?お前の態度は実にけしからんな…今にご主人に報告するぞ」
スペクテイター
「ああ、気にしないでください。私はずっとそうお呼びしたかっただけで。そんなにお怒りにならないで。ただ、ちょっと申し上げたいことがあるんです、このバールの子(主人公)があなたをペシャンコにしてミンチにする前に」
エガイザーグ隊長
「フン。そうなるとも限るまいが」
スペクテイター
「そりゃ…そうです。ともあれ、万一あなたが何とかバールの子を始末できたところで、あの欲深のセンダイが、さっさとマトロン・マザー*たちの所に出かけて、その栄誉を独り占めにするだけじゃないですか?」
エガイザーグ隊長
「それは…お前の言う通りだ、1つ目のお友だち。たしかにこれほどの偉業に値する栄誉は、俺自身が受け取りたいものだな。何かいい案があるかね?」
スペクテイター
「私はちょうど考えてたんです、あなたが<主人公>と一騎打ちで争ったほうがずっとよかろうと。そうすれば、あなたは完全にあなただけの力で彼女を倒したと主張できる。さすがのマトロンたちも反論できますまい。祝賀パレード、褒美のお金、新品の拷問具…すべてがあなたのものだ」
主人公
「素敵ね…私、ちゃんとした闘技場での一騎打ちは大好きよ」
スペクテイター
「ご心配なく…最後まで公正は保証します。私はたまたまちょっとしたギアス*の呪文を持ち合わせてましてね。この部屋のお仲間ともども敗者にあの世へ行ってもらうことにすれば、一切後腐れはない。で、あなたのご意見は?ギャンブルはお好きですかな?」
主人公
「大いに結構。その条件を呑むわ」
スペクテイター
「あなたがたの準備が整い次第、私はギアスを掛けましょう…戦いでどちらかが死んだ時、従っていた者らもみないっしょに死んでしまうようにね」
エガイザーグ隊長
「呪文を掛けろ、ビホルダー。俺たちはすぐに始める。<主人公>…覚悟しろ」
主人公
「いいですとも。さっさと片をつけましょ」


*原文「Oh, captain, my captain!」は、暗殺されたリンカーン大統領にささげられた有名な詩の冒頭(W・ホイットマン作)から。死者に呼びかけた詩の一節で呼ばれたから、隊長が気を悪くしたわけ。
*ドロウは女権社会で、マトロン・マザーと呼ばれる各部族の女長老たちがいっさいを取り仕切っている。また、ドロウは無慈悲で残虐を好むとされる。一騎打ちの賞品に拷問具が挙げられているのはそのため。
*ギアスは呪いのようなもの。たいがい、何かの条件によって発動されるようになっていて、掛けた本人以外は解除が不可能なものが多い。

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