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ハーモニカになりたかった犬の話

こんばんは、ばんけんです

突然ですが

「ハーモニカに成りたい」と思ったので


今日は、その想いの丈を綴ろうと思います


ハーモニカなので

「鳴りたくなった」

と表現するほうが正しいのでしょうか?



あながち間違いではないのですが

「無機物に成りたい」という想いもあるので

これはまた別の機会の表現に使わせていただきます


なぜ「ハーモニカ」なのか

こちらから順を追って説明致しますと



先日、散歩をしている途中で

とある犬と出会いました


どうやら

日本1周中だとか
住所不定無職だとか

面白そうな文字面ばかりを並べた家を持ち歩いて生活しているようです

犬の家
声かける2秒前


「ばり面白そうやんけ」


私も犬として生きる身なので

もう、しっぽはフル回転で止まりません


すぐに声をかけることにしました


しばらくお話をすると

「お前めっちゃいい犬やんけ」

と、意気投合し

そんなこんなで
この犬を拾ってみる事にしました


@takutorip
拾わせていただきます



これだけを見ると
私が拾われたみたいですね


うれシーサー超えて
おかシーサーです





冗談はさておき

この犬についてのお話は長くなりそうなので
また別の物語に登場してもらいましょう



「割愛するなら、なんで犬出てきた?」

なんて、みなさまの頭の中に
浮かんでいる言葉も拾わせていただきますね




とくせいはものひろいです




この犬が、なぜ登場したかと言いますと



お世話をしていると

「ありがとう、これあげる」

と、何処からかハーモニカを持ってきて


私に渡してきたのです



なんて健気なワンちゃんなのでしょう






大変嬉しく想った私は

犬とハーモニカで会話をすることにしました


すると、


会話が成り立ったのです



これを目の当たりにした私は

「言葉なんて最初から、必要無かったんや」

そう思う様になりました





これが

私と犬と

ハーモニカの出逢いでした





ハーモニカの演奏方法は

息を吐く呼吸と
息を吸う呼吸で成り立ちます


自分の呼吸を

音色に代えることが出来る


とても素敵な楽器ですね




このハーモニカを演奏している時

私は

せかいとお喋りをすることを
歓迎されているかのように感じて


楽しくて仕方ありませんでした


くまさんのお話



それからというもの



私は

ハーモニカが奏でる音色に
ハーモニカが彩るせかいの色に

染め上げられていくのでした




ゲームをする時も


「プァー♪」


車を運転している信号待ちの時も


「プァプァ〜♪」



下北沢の駅前を歩いている時も


「プァ、プァ〜♪…プァ〜〜♪」


新宿の駅前を歩いている時も


「プァーー♪プァーーーーー♪」




ハーモニカの音色を
せかいに塗り歩きました



気分はスプラトゥーンです



事あるごとに会話が出来るかを試してはみたのですが


これが中々難しかったようで

やはり犬同士で
共鳴しただけなのか

もはや最初から
会話など出来ていなかったのか


真実は分かりませんが

私のハーモニカの演奏技術が足りないということは、明確に理解する事はできました



長渕剛様、恐るべし




しばらく経って
そろそろ人の声が恋しくなったので


ハーモニカを片付けたのですが



この現代社会では

人が奏でる言葉という音色が


電波という波に乗って

自由自在に泳ぎ廻る世界になったようで


良い音色も

悪い音色も


犬で在る私の耳は

少々大き過ぎたようで



誰かの音色と

私の音色が


ぶつかって不協和音を奏でた時に



「なぜ、私の口はハーモニカとして産まれてこなかったんだろう」




そう想った次第であります




この世界に人として産まれて

人で在る以上

同じ世界で生きる人との
コミュニケーションツールは言葉です



犬は「わん」と話し

猫は「にゃん」と話し

人は「うん」と話します


この

人の放つ声が

犬で在る私には

この世界の哭き声のように聴こえて仕方がなく


自分自身の哭き声を

ハーモニカに換えてしまえば



このせかいを

変えることができるのではないか



そう思ってしまいました







しかし、この哭き声も


時に、誰かにとっては鳴き声であり

時に、誰かにとっては泣き声であり

時に、誰かにとっては笑い声であり


時に、誰かにとって

強く、優しく、美しい声として


届ける事が出来るのであれば


私はもう


「ハーモニカに成りたい」と


想う事は無いでしょう






このせかいの誰かのこころに

この音色が

心地良く聴こえる音楽であることを願って



今日も私は声という楽器で

言葉という音色を

さざなみの音に乗せて



このせかいの詩を詠います






この世界に、哀福を。


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