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漫画絵の油絵模写 制作過程

先日好きな漫画の油絵模写をしました。
今まで油絵ではほぼ三次元人物の模写しかしたことがなく、二次元の絵の模写は初で試行錯誤しながらだったので、ここにログを残しておくことにしました。
使用した色の名前なども書いているので、油絵具を知らない方にはノイズだらけの文章だと思いますが…。こういうことを考えながらやってるんだな~と何となく読んでいただけたら幸いです。



完成図

先に完成図を出しておきます。漫画「トライガン・マキシマム」の1コマ(ウルフウッド)の模写です。それなりに似せられたと思います。
右上当たりの髪の部分が白いですが、これは光の反射で実際はもっと黒いです。どうしても上手く写らなかった…。

油絵模写完成図

制作過程

キャンバスはF4を使用。クサカベのファンデーションホワイトを塗り、キャンバスの目地を潰してツルツルにしたもの。ただ少し前に塗ったので多少黄変してしまっていました。他の絵具もすべてクサカベです。
先に画像があった方が良さそうなので、画像の下に制作過程を記載していきます。

アタリを描く

背景にいる男も今年のリブートアニメの同キャラです…

完全な無彩色か若干の青みのある画面にしたかったため、まずキャンバスの色合いを調整するために、画面全体にペインズグレー(若干青みのあるグレー)をペインティングオイルで薄く塗布。

その上から同じく薄く溶いたペインズグレーでガシガシ模写。ちゃんとあたりを取らず、大体このくらいか?と適当に模写していってしまったため、上手く画面に収めるのに苦戦して何度も描き直し…。ここで3~40分使ってしまいました。

なお、最初はバーントシェンナ+ウルトラマリン(黒になります)で描き始めましたが、輪郭に青みが感じられた方が良さそう・この時点で色むらがあっても無駄かなと思ったので、一色で模写に専念。

ベースの色を塗る

キャラ周りの背景は白一色なので、先にそちらを塗りました。硬い豚毛のブラシでオイルをつけずにチタニウムホワイト(強い白)をガシガシと。綺麗に塗っても面白みがないので、あえて筆跡が残るようにランダムな方向に筆を動かしています。ペインズグレーを塗ってあるので自然に色味が混ざってくれました。また歯も形を整えたくて先に少し白を入れました。

次に無彩色の黒にする髪をざっくり塗り。色は濃い黒のランプブラックを使用。こちらも豚毛で髪の流れを意識して塗り。

その次に首の下に少し入る白襟。ここには青みが入らないように少し拭ってからチタニウムホワイトを厚めに塗布。

元絵のコマでは首から髪の生え際まで白→黒のグラデーションになっているので、とりあえず白い方の首からグラデを試みます。

本来は線画である輪郭の黒をどう処理するかも悩んでいましたが、一旦保留して兎に角先に全体に色置いてみることに。

ということで、バランス狂いを修正しながらざっくり色乗せ。

髪:ランプブラック
肌:白(シルバー+チタニウム)+ランプブラック

髪と背景の境界は若干青みが欲しいので、白にペインズグレーを少し混ぜて一旦塗り重ねました。歯も同じく青みにして後から白さを上げようと。
また口内は勢いがあった方が良さそうなので、豚毛で縦の凹凸を強めに出しました。

それ以外の肌の部分は逆にあまり凹凸が残らない方が良いと思い、豚毛で色をざっくりおいてから、馬の軟毛筆で馴染ませました。

元絵をただそのまま模写するのでは油彩でやる意味がないので、どうしたら原作のイメージを壊さず要素を付け足せるだろう…と考えながら制作していたのですが、やっとこの時点で方向性が見えてきました。

細部を描き込む

あとは兎に角描き込み。

顎下の影や髪と目元の境界、傷と血の跡など、本来線のハッチングで表現されている部分は、代わりに筆跡と色ムラで表現してみることに。
顔の輪郭線は黒ではっきり描くと浮くのと、漫画らしい表現により過ぎてしまうので、顎・頬・首に若干立体感を出した上で、丁度良い具合に馴染ませてみました。
大きく目立つ歯もこの絵の重要なポイント。完全な白でツルツルに…とも思ったのですが、僅かに立体感も欲しかったので逆に縦方向の凹凸を強く出すことに。

完成

最後に涙を描いて完成!製作時間は約4時間でした。
写真がフィルターがかかった状態で撮ってしまったので全体が青みがかってしまっていますが、実際は一番上に貼った写真の色味が近いです。もう一度貼っておきましょう。

4時間、かつ初めての試みにしては結構良い出来になったと思います。本来縦長のコマで左側に余白はあまりなく、F4だと間が抜けてしまうかも…という不安もありましたが、案外良いバランスで収まってくれて良かったです。普段はマチエールも色ムラも出来る限り潰していく絵を描いているため、むしろそれを生かせる絵を描くのは新鮮でした。

長々とご覧下さってありがとうございました!
思いのほか楽しかったのでまたいつか挑戦したいと思っています。今度はヴァッシュの方で、この絵と対になるように出来たら良いなあと。


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