元営業の現発注担当が書いた受注ガイド

 私自身は長い事、営業としてずっとどうしたら自分から買ってもらえるか、契約してもらえるかを考えて過ごしてきたのですが、世は因果な物で今は自分が購入・発注の予算をいただき、テーブルの反対側で交渉することが増えています。リサーチ系のコンサル案件、スキーム設計、CFの点検等から、営業支援、融資相談、土木工事、土壌汚染調査、物品の購買まで色々と発注業務を担当させていただきました。

 今にして思えば、当時営業として考えていた事は正しかった事もあり、間違えていた事もあり、そして当時は見えていなかった様々な景色というものが今にして見える様になってきました。そこで今日は、双方の目線を踏まえて、どうしたら売れる営業になるのか、ということを少し考えてみたいと思います。

 こちらは例によって、社の購買ルールだとか取引基準だとか、その類の物は1文字も書いてません、(大体の上場企業は管理会計やってますよね、くらいの事は書きますが)あくまで発注の担当者が何をどう考えているので、どの様なアプローチをするのが良いのか、ということを考えてみたものですので、ご承知おきいただける方のみ先に進んでいたければ幸いです。

・多分話を聞けば売れる

 発注に回って一番最初の感想は本当にびっくりするほど話を聞いていない営業が多いです。「Aが欲しい」と言った時にマジでAが出て来ません。仕様書のP1にデカデカ書いても下手すると無視してきます。皆、売込の時、目が爛々と輝いてて、それは自分もそうだったんだろうなと反省しますが、それはそれとして話くらい聞けよとは思ってしまいます。中では言った事をやってもらえる先について、「手綱を取れる」という表現を使ってますが、こう思われた時点で相当受注に近い所にいます。発注は別にボランティアではないので、そちらの売りたい物を買ってあげる義理はないですが、こちらが買いたい物をしっかり納期通りにやってもらえるのであれば、多少のお付き合いくらいは可能です。ただ悲しいかな、その最低限度をやらない方が割と冗談でない程度にはいるので、用意できる/できないは別として、まずは相手が何を欲しがってるかよく聞く所から始めて欲しいと思います。

・何故後工程がわかる担当者が売れるのか


 基本的には殆どの場合、発注者は何か仕事を取りまとめる立場であって、パーツを外注していることが殆どと思われます。例えば土壌汚染調査を発注するのは、当然その後に土地をどうにかしたいとか、建物を建てたいだとかのやりたいことがあり、その実現の一過程として土壌汚染調査を発注しています。あるいは節税目的で保険商品を嵌め込むなら、申告の際の後工程が必ず付いて来ますよね。なので、ここで後工程を考えた仕事をしてくれるか、くれないかというのは物凄く大きな影響があります。例えば単に調べて結果を持ってくるのと、事前に出る可能性のある

ここから先は

3,877字

¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?