人を動かす力

どうしたら人を動かすことができるのか。
誰もが悩んだことがあることかなと思います。

私は子育て支援や児童虐待対応をするソーシャルワーカーなので、こどもの行動、保護者の行動、関係機関の行動やあり方等々について、どうすれば人の行動を変えることができるのかと議論することが多々あります。

私が一番難しいと思うのは、人を「こうあるべきだ」という基準に従わせることです。私は分断の始りでもあると感じています。
「こうあるべきだと思って相手を見ることによって自らの中に葛藤を生み、目の前の人をそこに留めている」のだろうと思うのです。

それでも私たちは日々、こうあるべきだ、という視点で目の前の人やものごとを見ます。私たち自身が「こうあるべきだ」という価値観の壁のようなものに大きな影響を受けています。資本主義の中で価値あるものを効率的に生み出すためには「こうあるべき」に従い、打ち勝つことが正義になるからかもしれません。

「人を支えたい」と思うとき、「こうあるべき」という思いは超えようのない壁になります。
でも、「その人がどんな思いで日々を生きていて、何を守りたいと思っているのか、願いは何か。」を知ることができたら、相手を理解し、目の前の人のために自分自身が何ができるのかをもう一度考え直すことができると思います。
「言うとおりにできない、頑張れない人」が、ともにこの世界を生きる大切な仲間の1人であり、懸命に生きているのだとを知ることができれば、理解を深め、考え、行動する余地を生み出すことができるのです。
私たちが目の前の人に変わることを求める前に、自分が踏み出せる一歩、関わりしろのようなものを生み出せるように思います。
この理解と余白が人を動かすのだと思いますし、誰かの一歩をつくることがソーシャルワーカーの仕事であるのかなと感じています。

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