アニオタでもエロゲオタでもない自分が『神様になった日』を全話視聴した感想(基本好評価)

画像1

神を殺して 世界を守るか
世界を狂わせてまで 神を生かすか 

(本編の内容とはほぼ関係ありません)


 どうも、流刑囚です。今回の記事はタイトルにある通りTVアニメ(深夜アニメ)『神様になった日』の感想となります。
 まず最初に軽く自己紹介めいたことを言っておきますと、こちらもタイトルにありますように、私は基本的にアニメやオタク文化にはほとんど興味を持ってません。深夜アニメはほとんど見ませんしましてやエロゲは15年ほど前にタイトルすら知らないケータイ(ガラケー)アプリで少しプレイしてみたもののあの会話文を読むのが苦痛で10分も持たずにプレイを断念しました。
 さて、そんな私がエロゲ界の老舗ブランドであるkey制作のアニメ、『神様になった日』をどう見たか、この文章はその記録です。



第1話~第2話


 まず全知の神オーディンを名乗る少女ひなが主人公陽太の前に現れ、「30日後に世界は終わるのじゃ!」と預言し、その預言に説得力を持たせるが如く超能力を見せつけるという第一話。全体としてはまずまずの滑り出しといった感じでしょうか。作画(影の付け方)や動画の動きなどはなかなか力が入っているのではないかと思います。ギャグも小気味よくて結構いい感じ。

世界の終わりまで 

あと30日


 第二話からはOP曲が流れるようになります。転調がスムーズでなかなか良くできた曲だと思います。映画と音楽ネタで幼馴染である伊邪那美さんに告白しようとします。この回もギャグが小気味よくて悪くないですね。ただピアノを弾くクライマックスでストリングスの劇伴が重なる演出はちょっと微妙かなと。そこはピアノだけで「凄さ」を表現してみせないと。今思えば終盤における劇伴の「アレ」な感じの片鱗がこの時点で既に垣間見えていたのかもしれません…
また第二話からはEDも流れるようになります。EDの映像は何やらSFっぽい背景を金魚が泳いでくというもの。なんだかとっても「意味深」ですね。
第一話~第二話に関しては全体としては可もなく不可もなしといった感じだったでしょうか。良くも悪くも本作のその後のハチャメチャっぷりはこの時点ではまったく想像できませんでした…

世界の終わりまで 

あと24日


第3話

 本格的にストットルがかかってきた(?)第三話。この第三話から第四話は、序盤のクライマックスと言っても良いかもしれません。個人的にも好きな回です。
ストーリーとしては妹の部活(映画部)の先輩の実家が営むラーメン屋が売上不振と借金でピンチ、ということで助けに行くというもの。「ラーメン発見伝」とか「愛の貧乏脱出大作戦」(若い人は知らないかもしれませんが…)を彷彿とさせるものがあります。原作者の麻枝さんは多分ラーメンがお好きなんでしょう。それにしても今回の陽太のセリフ、「まずね、負けを認めさせないといけない。人間ってプライドで生きているところがあるから…(後略」は全話見終わった後だとより一層心に深く響きます。
 なお、この第三話では本作のキーパーソン(?)である天才ハッカー鈴木少年が初登場します。きっとこの少年がその後描かれるであろう「世界の終わり」において重要な役割を果たすのでしょう…

世界の終わりまで 

あと17日


第4話

 このアニメの序盤クライマックスにあたる麻雀回ですね。人によっては全12話中このエピソードが最高、という意見もあるようです。
まず冒頭は前回登場した鈴木少年の場面から。「コオロギ博士」という人物の遺した研究成果について調べる鈴木少年は、どっかのCEOと件の共同研究者である博士とのインタビューを実現させます。その会話の内容は難解ですが、きっとこの研究が後に描かれるであろう「世界の終わり」、その命運を左右するんだろうなぁ…
さて場面は変わり成神家。ひなが勝手に応募した麻雀大会に出場することになった陽太はさまざまな独創的なルールを考案し大会に優勝しましたとさ。そして憧れのテレビタレントとしても活動してる美人弁護士ともお近づきになれましたとさ、というお話。ほとんど麻雀(?)に始まり麻雀に終わるという展開に度肝を抜かれた視聴者も多かったとか。私自身もかなり楽しめました。「チャージマン研みたいだ」という意見も散見されましたが、この「チャージマン研」という要素は本作を語る上で中々重要であったりもします。
 このように第4話まで(全12話中における前編)は「一体『神様になった日』とはどういうプロットのどういう作品なのか?」を視聴者に理解させるアウトラインを引く役割を担っていたということができるでしょう。滑り出しとしては中々いい感じですね。今後の展開にも期待大です。

世界の終わりまで 

あと13日


第5話

 原作者いわく、「第5話から物語が動き始める」とのこと。ただ残念ながらその割に個人的には面白さを感じられませんでした。
 ストーリーとしてはお母さんの墓参りに行きたがらない引きこもりがちな伊邪那美父を表に連れ出す、というもの。お母さんは病死する直前まで夫と娘のためにビデオレターを撮影していましたが、夫(イザナミ父)は「見るのが怖い」とビデオレターの存在自体を娘に隠していた。ひなと陽太は父娘に踏ん切りをつけさせるため、なんとかそのビデオレターを見せようとします。
 うーん、序盤、お父さんを外に出して外食させるところはギャグのテンポもよく楽しめたのですが、後半のお涙頂戴展開はありきたり過ぎて全く面白くなかった。ただネット上ではやや評判の良かった回らしく、こうした創作表現や物語に接した経験が浅いアニオタキッズにはウケたということなのかもしれません。見る人が見れば「これ週刊ストーリーランドの丸パクリじゃん」ということがわかるんですけどね。あ、一応動画貼っときます。

 ていうか構図からキャラの仕草まで丸パクリ…しかも元ネタのほうが良く出来てる…
筆者は小学生時代この週刊ストーリーランドも『天国からのビデオレター』もリアルタイムで見ていたのですが、この番組、この話からして「視聴者をあっと言わせよう、感動させよう」という意図の押しつけを感じてそこまで好きではありませんでした。
 20年経って元々好きではない作品の、さらに劣化コピーを見せられたということですね。
 またこの第5話におけるもう一つの問題はこのお父さんキャラでしょう。このお父さん、この5話以降全く登場しないのです。つまり「視聴者を泣かせるネタとしてのみ登場した存在」というわけであって、この『神様になった日』にもストーリーランドや『天国からのビデオレター』と同じような「意図の押しつけ」を感じてしまったものでした。
 全12話の中盤の出だしに当たる今回ですが、なんだか今後の展開にも不安が立ち込める出来となってしまっていました。
 あと劇中でひなが名探偵コナンのように声を他人に似せる能力を発揮しますが、これってその後種明かしとかされましたか…?
 まあなんというか、色んな意味で残念な回ですね。全12話中でも評価はワースト2くらいでしょうか。ワースト1は後々登場するのですが…


世界の終わりまで 

あと11日


第6話

 駄目だった前作からやや復調した回、といったところでしょうか。あくまで個人の感想ですが。
 冒頭、バスケットをしている回想シーン。キャプテン翼のような技でダンクシュートを決める陽太。えーと…これはギャグ描写でしょうか?それともベタに「すごいテクニックだ!」と視聴者に思わせたいのか?本作『神様になった日』、この辺から「ギャグ」と「シリアス」の境界がどんどん無くなっていくんですよね。そう、後述しますがこれこそが本作の最大の魅力なのです。作品の真の魅力が開花し始める。第6話そういう意味で非常に重要なターニングポイントとなる回です。
 回想が終わり本編開始、「夏祭りに行きたい」と言い出すひな、言ったそばから「神がかり的」に次々とアポを取り、一緒に行くメンバーを集めていきます。この回でこの作品全編を通してのレギュラーキャラが全員勢揃いします。(まあその後は大して活躍しな…)
 さて夏祭りです。色々な出店を回るメンバー。ひなは金魚すくいで金魚を一匹もらいます。さて、ここで勘のいい視聴者は気付きます。「この金魚、EDテーマの映像に出てくるやつだ!」と。そうこの金魚こそ後の展開に大きく関わる重要な伏線なのです。(…そうだっけ?)
そして一行はその後お化け屋敷へと向かいます。陽太の親友のナントカが陽太に「お化け屋敷で女性陣を怖がらそう」と提案。見事女性陣を怖がらせることに成功した2人、と、唐突に親友の暗い過去が仄めかされます。なんだろう、ギャグとシリアスの転換が激しい回です。
 そんなこんなをしているうちにひなが行方不明になってしまいます。暑さから逃れようと冷凍車の荷台に乗り込んだひなは、そのまま東京行の便に連れられて行ってしまったのです。「ひなには全知の能力しか(!)ない。それ以外はてんで子供だ…」と陽太も気が気ではありません。親友のバイクにつかまりトラックを追う陽太、それらしきトラックを見つけると冒頭の回想シーンにあったキャプテン翼のような技でトラックに飛び乗り、ひなを救出します。この一連の手に汗握るアクションはかの名作『彼岸島』を彷彿とさせるものがあります。もちろん名シーンです
 さて、この第6話からは前述の通り、「ギャグとシリアスの境界」が揺らいでいきます。これがちょっと躁鬱というか情緒不安定な感じで見ていてやや不安な気持ちにもなるのですが、この「予兆」はあながち的外れではなかったということが少し後に明るみに出るのでした…

世界の終わりまで 

あと9日


第7話

 第7話、妹(空だっけ?)がついに映画の脚本を完成させ、いよいよ撮影です。前回にと同じくレギュラーキャラが勢揃いし撮影が始まります。
 第7話、特にコメントもないのですが強いて言えば作画はよくできてますね。特に卵の表現はハイパーリアリズムの域に達しているかも。この作品、作画は結構力が入ってるっぽいんですよね。あと終盤に久々登場のハッカー鈴木が華麗なアクションでコオロギ博士の研究に関する手がかりをゲットします。そこにはひなと思しき少女の写真が…
 今回は良くも悪くも大して面白くない回なのでやはり特にこれと言ってコメントもありません。サッと流して行きたいと思います。

世界の終わりまで 

あと6日


第8話

 さて第8話です~。 
 ひなが両親の恩師であるコオロギ博士の孫だということを知った陽太はひなとその父親(つまりコオロギの息子)を再会させようとします。ひなはあまり乗り気ではないようですが、兎にも角にも2人はバスに乗って出発です。
 ひなの実家に到着した陽太は両親の態度から「もしかしたらこの人達にひなは見えていないのでは?ひなは実は実体を持たない存在なのでは…」と不安にかられますが全くの杞憂でした。この辺のギャグ描写はきれいに決まってますね。前回に見られたような「ギャグかシリアスかわからない描写」ではなく「計算されたギャグ描写」です。もっとも、この後の展開においては前者が後者を圧倒していくのですが…
 実は両親は目の前にいる女の子がひなであると認識していなかったのです。陽太がひなの存在を明かすと継母は酷く動揺します。それを父親は2人を海辺と連れ出します…
 海辺で犬と遊ぶひな。それを見つめながら父親は陽太にひなが脳や神経、筋肉の萎縮が同時に発生しやがて死に至る「ロゴス症候群」という先天性疾患を持って生まれてきたという重い事実を告げます。このロゴス症候群は治療法すらありません。父親と継母が知っているひなとは言葉を話すことも立つこともままならない存在であり、その介護は壮絶を極め、ついにはひなを手放してしまったのです。そしてひなの実の母親は、そんな子供を生んでしまったという負い目から(恐らく)自ら命を断ってしまったのです。
 そんな大人たちの対応を理解できずにいる陽太。それに対しひなの父親は「君は子供だからまだ理解できないだろう」と言い、そして医者である自分はひなに対しあらゆる手を尽くして治療を施し、しかしそれは実を結ばなかったこと、そして「奇跡は一瞬だから光り輝いて見える。だが結局は辻褄が合っていく」という意味深な言葉を語りかけます。この父親のセリフを耳にした視聴者は、これが後の伏線として非常に重要な意味を持つことを直感したことでしょう。そしてその直感は、結果として的中したとも外れたとも言えるのかもしれません…
 あと余談ですが今回のエピソードではひなの修道女コスプレの謎が解き明かされます。なんとその真相は「目立つ格好をさせておけば気付いて拾ってもらえるだろう」というものだったのです。すごい発想。さすが天才科学者コオロギ博士ですね♪


世界の終わりまで 

あと4日


第9話

  第9話となる今回、ついにその日がやってきます。そう「世界が終わる日」です。一体どんな展開になるのか、心して見ていきましょう。
 まず序盤なんやかんや唐突にハッカー鈴木の「不幸な過去」が明かされます。いやメッチャ不幸ですね。あとどうやらコオロギ博士の研究の正体とは「常温動作可能なチップ型量子コンピュータ」だったようです。う~ん。まあ「世界を変えてしまう」かもしれないけど「世界を終わらせる」ほどのものなんでしょうか。それが。ちょっと良くわかりませんが展開を追っていきます。
 量子コンピュータの存在を知った鈴木少年はそれを解析させてほしいとCEO(なんかよくわからないけど大企業っぽい)に直談判しますが断られ「捜索のみ」を命じられます。その返答に激高して食って掛かった鈴木少年はCEOの黒服の付き人にボコられます。
 渋々作業場(民家廃墟)に戻った鈴木少年はその量子コンピュータを追跡するため「情報の海」に飛び込みます。文字通りドッボーンと飛び込みます。いや~これまで誰も思いつかなかったであろう斬新なハッキング描写だ。すごいですね。
 情報の海の中で鈴木少年は一匹の金魚に出会います。そうあの金魚です。その金魚は鈴木少年の魔法攻撃(?)も寄せ付けぬ強者です。ついに第6話からの金魚の伏線が回収されるのか?…と思ったらすごいのは金魚じゃなくてその後ろにいた巨大なクジラでした。今度はそのクジラに攻撃を仕掛ける鈴木少年。しかしそれは無効化されてしまいます。どうやらクジラは攻撃に対する解除魔法(?)を使っているようなのです。そう、このクジラの正体こそコオロギ博士の開発した量子コンピュータだったのです(金魚は?)。クジラによって無効化される攻撃、そのすべての秘密を握っているのはあの金魚であるに違いありません(!?どういう理屈なのかはわかりませんが…)。鈴木少年は自らの存在意義をかけた渾身の攻撃を繰り出しますがそれも通用せずクジラの尾の一撃で吹き飛ばされてしまいます。吹き飛ばされてもなおクジラ(および金魚)を追いかける鈴木少年。そしてなんとか金魚の尾の先端に触れた瞬間、彼はまばゆい光に包まれるのでした…(で、結局金魚とクジラの関係は?)
 さて、第9話、まだ半分くらいしか進んでません。CEOの元に戻った鈴木少年はその量子コンピュータのチップがひなの頭の中にあることを報告します。コオロギ博士は自身の開発した量子コンピュータをひなの脳内に埋め込み、それによってひなはロゴス症候群から回復しそればかりか「全知の能力」まで身に着けたのです。鈴木少年、あの光の中でそんなことを突き止めてたんですね。「まさかひなの頭からそのチップを取り除くんじゃ!?」とCEOを問い詰める鈴木少年。「僕にも発言権はあるはずだ!」と主張するもCEOに「私は君にもひなにも差別はしていないはずだ」とよく分からない反論をされ黒服の男たちに連れて行かれてしまいます。物置きのような場所で「頭を冷やせ」と閉じ込められる鈴木少年ですが特殊アイテムであるグローブを使ってひなの量子コンピュータにメッセージを送ります。
 ところ変わって空たちの映画撮影現場、鈴木少年のメッセージを受け取ったひなは「世界の終わり」はやってこない、それは単に「自分ひとりの世界の終わり」であったということを告げるのでした……って、え?ん?と劇中の登場人物たちと同じく思わず声が出てしまいます。ここまで散々引っ張った「世界の終わり」ってそんな話だったんですか!?なんかだいぶショボ…これにはたまらず陽太も「なんでさ?よく分かんないよ!」と声を荒げます。視聴者としても同感です。(作者の意図…
 当惑する陽太たち(と恐らく視聴者も)を前に、ひなは「ハンコが押される」と意味不明なセリフを連呼し始めます。どうやら要するに「世界の支配層」(でいいんですよね?)がひなの頭の中をチップを取り出す決議を可決するハンコを押しているということらしい。う~ん、随分アナクロなやり方なんですね…というか欧米ではこういう場合ハンコではなくサインをするのが一般的では?
 と、そんなことをしている間に議決は完了し、その直後(近くで待機してたのかな…?)陽太たちの目の前に如何にも怪しい、マトリックスにでも出てきそうな黒服軍団が現れます。「その子を渡してもらおう」「他の連中に用はない」と黒服。「佐藤さん(ひなのことです)を連れて逃げて!」と伊佐那海さん。「ここは俺たちが食い止めねえとな!」と親友。「そうね、こいつらが悪い奴らだってことは分かるわ」と麻雀大会主催の美人弁護士。…って、お前弁護士だったら「あなた達になんの権利があるっていうの?」とか「法的根拠を示しなさい!」とかなんとかそれっぽいこと言えや。挙句の果てに「お前たち!」とか言って部下を召喚してるし、それに「おう!」とか応えて武器を構える部下たち、でもその武器単なる映画の小道具やで。と短時間にツッコミどころが多すぎて大分頭が混乱しています…
 それはそれとしてひなを連れて逃げ出す陽太。それっぽい感動的な挿入歌がかかります。「何故じゃ?なぜ逃げるのじゃ陽太!」「何故って君を守るためだよ!」「何故貴様に守られねばならぬ?」「ぼくが、ひなのことを好きだからだよ!」と雨の中告白する陽太。陽太はいつの間にかひなに恋愛感情を抱いていたようです。でも陽太さん、相手は小学生くらいやで。う~ん、なんだろう。こういうアニメを見てる人にとっては小児性愛的な展開はごく当たり前なんでしょうか?よく分かりません。
 「大好きだからだよ…」挿入歌もあいまった感動的な展開が続きます。しかしひなは「もう、ここらでよか…」と西郷隆盛のようなことを言い、逃げることを拒絶します。そう、「全知の能力」を持つひなは、もう地球上のどこにも自分の逃げ場がないということを瞬時に理解していたのです…
 そんなこんなをしているうちに黒服たちが追いつきます。やはり撮影用小道具では彼らを食い止めることはできなかったようです。陽太は抵抗も虚しく地面に組み伏せられ、ひなは連れ去られてしまいます。こうして、陽太とひなの夏は終わったのでした…
 さて、今回こうして「世界の終わり」の真相が(大分ガッカリな形で)明らかになったことにより「世界の終わりまであと○日」のカウントは無くなります(本当に何だったんだ…)。それにしてもこの話、ツッコミどころが多すぎてだいぶ長くなってしまいました。


10話

 さて感動的な前回に引き続き第10話、『神様になった日』もいよいよ後半に突入です。果たして連れ去られたひなは?陽太たちに残された未来は?
 …なんですがこの第10話、そんなに面白くはありません。
 えーと、ひなが連れ去られた後、何事もなかったかのように再び始まった陽太たちの日常、そこに鈴木少年が現れます。面倒くさいので詳細は割愛しますが意味ありげな言動から陽太は彼がひなについて何か知っていることを察知します。ちなみにひなが連れ去られてからここまでで半年近くが経過しております。一方陽太とひなが一緒に過ごしたのは預言のタイムリミットである30日間です…
 なんやかんやと話した後、鈴木少年は陽太に一つの問いかけをします。「佐藤ひなに会いたいですか」と。
 う、う~ん、話全体の「雰囲気」はシリアスなんですが、そもそも鈴木少年は何故半年間もかけてこんな面倒くさい方法で意思を確認したんでしょう?全く意味が分かりません。ちなみに最終回まで見終わった後もさっぱりわかりません。ていうかこの作品自体全部見終わっても意味不明な点が多すぎ…
 さて意思を表明した陽太は鈴木少年に連れられてひながいるという施設へ向かいます。そして鈴木少年は陽太のために施設に潜入するための様々な裏工作をしておいてくれたようです。陽太は鈴木少年と別れ施設へと入っていきます。ちなみに鈴木少年の出番はここでおしまい、クランクアップです。いや~正しく「便利屋」といった感じのキャラでしたね♪
 その施設の中で陽太は変わり果てた姿のひなと再開を果たします…
 ロゴス症候群、それは第8話でも触れられたように「脳、神経、筋肉が萎縮し、立つことも話すこともままならず、治療も不可能な死に至る病」とのことでした。…なのですが、あれ?刺激に反応して飛び上がったり座ったりすることはできる…?この回、ひなが体操座りをする場面があるのですが、実は体操座りのような背もたれも肘掛けも使わない座り方は意外と姿勢保持のための筋肉を使います。多少モヤモヤしますが「ロゴス症候群は進行性の病気だから今はまだ多少の運動機能は残ってるんだな、でもやがてそれも…」みたいに自分を納得させて見進めましょう。
 さて、どうやらひなはこの施設に連れてこられる前、なにかとても怖い経験をしそのトラウマで男性恐怖症になってしまったようです。なんて可愛そうなひな…果たして陽太はこんな状態のひなを連れて帰ることができるのか!?次回、第11話「遊戯の日」乞うご期待!
 ちなみにこの第10話あたりからネット上では『神様になった日』に対して「つ○らない」「ひ○い」「○快」などといった到底理解し難い悪評が投げつけられるようになります。そしてその悪評は原作者兼脚本家の耳にも入り始めたらしく、何やら不穏な雰囲気が漂い始めます…


原作者のTwitter垢閉鎖まで

あと約7日



11話

 残すところあと2話、張り切っていきましょう!
 冒頭、ひなの一日の生活サイクルが紹介されます。う~ん、やっぱり思ったより動ける…しかも一応は喋れるのか…ちょっとモヤモヤしますがまあいいや。先に進みましょう。
 ひなの就寝後(多分)、介護士にウザ絡みして正論を突き返される陽太。陽太はひなを自分の家に連れ帰りたいのです。ただこの陽太、傍から見てて結構ウザい。しかも連れ帰ったところで日々の療育はもちろん万が一の時どう対応すんの?しかも「うちの研究所」とか嘘までついてるし…ここまで来ると単に自己本位なサイコパスなんじゃ…などなどモヤモヤが湧いてきます。正直「もう諦めたら?」と毒づきたい気持ちにもなりますがここはグッと抑えて見進めましょう。
 その後陽太と介護士との間で「哲学的ゾンビ」みたいなやり取りがあったりしますがその辺は大して重要でもないし割愛します。ただ介護士に論破された陽太の「現実がネジ曲がって見える…」とのリアクションは面白いですね。「ギャグとシリアスの曖昧な境界」それこそが本作の魅力です。
 さて介護士に論破され打ちひしがれる陽太、1人ベンチでうなだれていると着信が。その主は伊佐那海さんでした。「なにしてるの成神くん」「なんていうか、色んなことが信じられなくなって…」「自分を信じて成神くん」
 そんなやり取りを終え伊佐那海さんが電話を切った直後、今度は親友から電話が、そのやり取りを終え妹に電話を掛けるとそのやり取りのこれまた直後、両親からメッセージが。う~む、感動的なのはわかりますが、何故皆こんなにもタイミングが良いのだろう…?
 場面が切り替わり「介護士が知らないひなが好きな物ってなんだろう?」と考える陽太。そして彼は一つの結論にたどり着きます。「テレビゲームだ!」
 …ん?テレビゲーム?そりゃ確かにテレビゲームをしている描写はあったけど…そこはラーメンとか麻雀とか、過去にもっと重点を置いて描いたものを再登場させたほうが…
 そんな視聴者のモヤモヤ(何度目だ)などつゆ知らず、成神陽太、思い立ったら止まりません。さっそくネットでゲームを手配するようメールを出します。ていうか偽造データを使って潜入しているはずなのに名義は本名なのね…よくバレてないな…
 送られてきたゲームを設置する(のを眺めている)陽太に対し、介護士は「ゲームは害悪でしかありません。依存症になったらどうするんですか」と教育ママっぽい難癖をつけます。う~ん、これ、シナリオとしては介護士に悪役っぽい振る舞いをさせることで視聴者のヘイトを集めさせるという意図なのかもしれませんが、そもそもひなの現状ってゲームに依存「できる」ような状態でしたっけ?
 それに対し「1日1時間ならいいじゃないですか」と高橋名人みたいな反論をする陽太。渋々ゲームは認めさせるもののひなが上手くコントロールできないことに苛ついてしまいます。(やっぱりこいつに介護なんて無理なんじゃ…)それに対しひなはパニックを起こしコントローラーを投げ捨ててしまいます。(投げ捨てるだけの筋力はあるんだ…)
 そこへやってくる介護士、「よしよし怖いお兄さんだね」とひなをなだめ陽太にはその場から立ち去らせます。と、そこでいきなり介護士の回想シーンがスタート!(な…何が起こってるのかわからねーと思うが…)
 (以下回想シーン)シングルマザーとして娘を産んだ介護士。しかしその娘は障害を持っており、母娘はすぐに引き離されてしまいます。そして治療は行われたものの、母のもとに戻ってきた時には既に…そんな介護士を絶望から救ったのは研修で訪れた児童療養施設でした。介護士は娘と同じような境遇の子どもたちを救うことで心に空いた穴を埋めようとしているのです…
 そうだったのか…あの介護士にそんな過去が…ヤツがひなに執着するのにはそんな悲しい理由があったんだな…(どっちかと言うと執着してんのは陽太の方では…?)
 さて唐突すぎる回想シーンも終わり、またゲームをするひなと陽太。相変わらずひなは上手くプレイすることができず、苛ついた陽太は小うるさく口を出してひなをパニックに陥れます。(陽太には学習能力がないのか…ていうかひなもよく長時間姿勢保持して座ってられるな…)
 良かれと思ったことが上手く行かず「ぼくがやっていることは正しいんだろうか…」と不安にかられる陽太。(うん、正しくないね)一方介護士はひなにプラネタリウムを見せ好意的な反応を引き出します。(おplanetarianやん)(ていうかひなはやっぱり喋れるのね…)
 ここまでまるで良いところのない陽太ですが、今度はレギュラーキャラの似顔絵カードを作りひなの記憶を呼び戻そうとします。(そんなに絡みあったっけ?)そしてひなの就寝中にはその真横で1人ゲーム機に向かいレベルアップに励みます。(安眠妨害では…)そこに「消灯時間ですよ」とやって来る介護士。「分かってます」と陽太。「眩しいでしょ」と介護士「テレビの明るさを落としますから」と陽太。「でも物音が…」「最近のコントローラーはそんなに音を立てないんですよ」(…駄目だこいつは…これで論破したつもりなのか…?)「ひなの代わりにレベルを上げておけば、ゲームオーバーにはならない…!」(いやそういう問題か…?)
 えーと、トンデモ展開はまだまだ続きます。翌朝ひなの病室にやって来る介護士「寝てないんですか…?」「言ったでしょ。ぼくはそんなに長居できないって。だから、ひなのためならずっと寝ないでいますよ」…う~ん、作り手側としては「努力する主人公」を描いたつもりなんでしょうか?なんか陽太が迷惑極まりない人物に見えるような…
 で、ゲームは上手くいくようになった(それってひなにとって重要なことなんでしょうか…)ものの、介護士は「陽太の報告書がでたらめである」ということに気付いてしまいます(まあそうなるわな)。
 その日の夜、いつものようにでたらめな報告書を送る陽太のもとにsecurity officerを名乗る人物から一通のメールが。「Who are you?」そう、陽太が身分を偽って施設に潜入しているということがついにバレてしまったのです。
もう少しでいい、時間がほしいと陽太は「I need more time」と返信します。しかし返事は…
NO
This is bad」(やはり駄目か…)
badbadbadbadbadbadbadbadbadbadbadbadbadbadbad
badbadbadbadbadbadbadbadbadbadbadbadbadbadbadbad
badbadbadbadbadbadbadbadbadbadbadbadbadbadbadba…
(?????!?)
ん?んん!?ちょっと演出がアヴァンギャルド過ぎて意味が分かりません
 そして意味不明なまま今回はおしまい。次回最終回です。

12話(最終回)

 さて、神様になった日もいよいよ最終回。なのですが…この放送直前、原作者がネット上での不評に耐えきれずTwitterアカウントを消去してしまう珍事が発生しました。う~ん、なんだろう。クリエイターとして自分の名前で作品を発表するのであれば、そこに寄せられる批判は甘受すべきなんじゃないか。無論逆に好評であれば自分の名の下にそれを誇ってよいわけですし。それに詳しくは後述しますが本作は割とセンシティブな題材を採った作品であるわけで、それも込みで批判は事前に覚悟しておくべきだったんじゃないかと…まあどうでも良いですが。それでは見ていきましょう。

 まず冒頭、ベッドの上に座りジャムパンを食べるひな。うん、この時点でややモヤモヤしますがもう一々気にしてたらキリがありません。ていうかパンも自分の手で持って食べれるよね?それを穏やかな表情で見つめる陽太ですが身分を偽っていたことはもう既にバレており、介護士に退去勧告をされてしまいます。せめてあと半日だけでもひなと一緒にいたいと頼み込み、なんとか承諾を得ます。
ひなを連れて帰ることを諦めかけた陽太ですがその時ひなは陽太の妹である空の名前を呼びます。これはいけると思った陽太、似顔絵カードを見せ誘導尋問っぽいことをしながらひなにレギュラーキャラの名前を言わせていきます。ホラ、ひなの記憶には陽太たちとの思い出が残っていたのです!(ていうか割と普通に意思疎通できるのね…ロゴス症候群…)しかし最後の一枚、陽太の名前だけを言おうとしないひな、苛ついた陽太はまたしても声を荒げてしまいます。(何度目だ…)そしてひなは陽太の似顔絵カードを投げ捨ててしまいます。
 そこに「時間切れです」やって来る介護士。「もうちょっとだけ」と懇願する陽太。ですが警備員に連れ出されてしまいます。「いやだー!」と喚く陽太ですが警備員にボコボコにされます。(暴行、傷害では…)
 ついに施設の外に出る陽太。介護士とひなが何故か見送りに来てくれています。すると突如ぐずりだすひな「たりない…よーた!」ついにひなは陽太の名前を口にします。「たらなくなったららめ!」「よーたたらない!」そう、ひなは先程は陽太が目の前にいたのでカードを投げ捨てたのであり、実は陽太のことを覚えていたのです!(すみません…ここ筆者もよく意味を分かってません…例のアヴァンギャルド演出か…?)
 介護士の腕を離れ、自分の足で立ち上がり、よろめきながらも一歩一歩陽太の元へ向かっていくひな。なんて感動的なシーンなのでしょう!(クララ…)
 そして涙ながらに抱擁する2人。こんな感動的な場面を見せられては介護士もひなを連れて帰ることを容認するしかありません!(まだ尺半分以上あるぞ…)
 ひなを家に連れて帰った陽太。もちろんみんな大歓迎です。そして陽太の親友はそんなひなとバスケットボールをすることを提案します。そう第一話で陽太たちの元にひながやって来たあの日のように…(いや普通に考えたらできるわけありませんわな)
 まあなにやら感動的な挿入歌が流れる中、ひなは自分の脚で立ち、ボールを握り、なんとダンクシュートまで決めてしまいます!(ロゴス症候群設定どこ行った…)
 さあそして次は途中まで進んでいた映画撮影です。ひなが元気だったころ着ていた修道女コスプレを再現し着せてあげるみんな。(すみません。感動的なシーンなのでしょうがちょっとここ気持ち悪いです…みんなかつて元気だったころのひなの幻影に縋り付いてるみたいで…)
 映画撮影が始まります。ひなが陽太の方に向かって歩いていくというシーン。また先程の「クララが立った!」みたいなことを繰り返します。う~ん、なんかやっぱり気持ち悪い。そもそも今のひなは「映画撮影」のことなど理解していないでしょう。それを周囲がおだててひなが自分達の思った通りに動いてくれたら感動って…これって障害者を「自分達を感動させるための道具」として扱っているということなのでは…これで感動できる人っているんでしょうか…?
 で、感動的な映画撮影も終わり夜景を見る2人、「僕たちはお互いを選びあったんだよね…」みたいなことを重度障害女児に向かって語りかける陽太(すごく気持ち悪い…)。そして「決めた!ぼく大学を受け直すよ!そしてひなを助けられるような研究者になりたい!」と決心する陽太。(…いやそれまでの介護はどうすんだよ…ていうか研究成果が出る前に死ぬのでは…)
「そうなると、ぼくはひなとずっと一緒にいることになるけど良いかな?」「ひなはよーたがすき!」(何度も繰り返しになりますが、この辺の描写は背筋が寒くなるほど気持ち悪いです…池沼美少女を介護しつつグフフ…的なオタクの妄想を見せつけられてるような感じ。ていうかロゴス症候群って全然軽症じゃねえか…)
「ただ漠然と生きてきたぼくに、生き方を指し示してくれた君は本当の神様なのかもね」(いやだから障害者を“感動の道具扱い”することを単なる美談にするなって…)
 そして映画上映会の日がやって来ます。上映も終わり、「ひなが死んでいるのでは…」的なミスリードもあったりしますがただ寝てるだけでした。(なんだこれ)で、第一話冒頭のインタビューに繋がり、「奇跡は起こらないかもしれないでも…」みたいなモノローグを経て感動のフィナーレです。おしまい♪
 なのですが、う~ん、この『神様になった日』、11話までは「笑えるバ○アニメ」という感じだったのが最終回にして「笑えないバ○アニメ」になってしまいましたね。ネットでは「24時間テレビみたいだ」とかいう意見がありましたが障害者を祭り上げるカルト教団のようだと思いました。ご都合主義も気持ち悪いです…全12話中ワースト1に駄目な回がこの最終話でした。


総評

 う~ん、ネット上では不評が多い『神様になった日』ですが、個人的には(5話12話を除いて)全体的にはそれほど悪くなかったかな、と思います。昔からある「難病もの」に『チャージマン研』的な近未来SFと『彼岸島』的なシュールアクションを大胆にぶち込んだ作品といいましょうか。個人的にはかなり楽しめました。色んな伏線を仄めかしておきながらそれをぶん投げる大胆さも悪くない。ただ、原作者が意図していたように「感動する」「泣ける」かというとそれも違うかなと…元々ギャグのセンスはあると思うので、次回作では往年のクレージーキャッツやドリフターズのような「作り込まれた笑い」で勝負してみるのも良いかもしれません。しかしこれだけの文章を書くのは結構疲れますね…


 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?