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シン・ちむどんどん(ヒルマニア的答え合わせ)

先日配信で試聴し、感想も投稿した『シン・ちむどんどん』を劇場で鑑賞した。また、鑑賞した翌日にヒルカラナンデスの中で告知があり、急遽、舞台挨拶つきで鑑賞することに。結果、CINEMA Chupki TABATAとポレポレ東中野を2日連続はしごということになった。2日めは、告知があった時13時すぎで、映画が14:20開始。中々無茶なスケジュールだったが、舞台挨拶のトークが、「沖縄ナンデス」配信も観ているヒルマニア的には自分の感想の答え合わせになっているところもあるので、今回はその辺を中心にネタバレありでお届けしたい。ヒルマニアといえば弁護士三輪記子さんの三輪メモが有名だが、今回はさすがにメモまではとれなかったが、記憶している限りで。

まず、ダースさんの辺野古キャンプ・シュワブでのラップ披露。沖縄ナンデス配信では、その後に鹿島さんが二階さんの物真似をやらされるシーンがあって、映画ではカットされていたなあ~でもそれは我々からは言いづらいなーと思っていたところ、舞台挨拶で鹿島監督が自ら「カットしました」と言及してくれた。さすが監督。

それから、タイトルにもなっている、『ちむどんどん』についての質問への対応が、各候補者の政治家としての姿勢をあぶりだすという重要シーンだが、「見てないです」即答のサキマ氏は論外としても、実際に観てる度合いは他の2者はそんなに差があるかどうかは分からないんじゃない?と思っていたが、これも挨拶で鹿島さんが同様のことを言ってくれた。ここはファクトがどうかというより、いかにうまく対応するかという、対応力が問われていたと思う。その点で、デニーさんが一歩抜きんでていたと。

サキマさんは、これも含め色々うかつさを露呈していて、やはり政治家には向いていないんじゃないかと思ってしまう。「2030年に普天間を返還します」と言いきってしまうこともそうだし、統一教会の件で食いさがる鹿島さんに車のウインドウを閉め際に「しっし」のジェスチャーをしてしまうこともそうだし。更に、ヒルカラナンデスでは、「誤解を招く」という表現の欺瞞や、「真摯」という言葉が虐待されていることが問題になっているが、この二つをサキマ氏は2つとも、しかも2度使っている。

一方、映画では前回の松川るいさん(今や「エッフェル姉さん」としてブレイク)好印象を与えたのは、下地ミキオさんだった。自転車で選挙を回る様子や、畠山理仁(選挙漫遊師匠)さんのインタビューに「誰の一票も同じ重さ」と語るところとか、スタッフの惚れこみ具体とか、監督の2人への接し方など。森さんいたいに半径5m以内に入ったら好きになってしまいそうな雰囲気を漂わせている。「IR事業を巡る現金受領問題で維新から除名処分」のテロップが出ていなかったら、ただのいい人で終わっていたところ。これも挨拶で鹿島さんが、「あのテロップは意図的に入れた」と披露して納得。

あと、今回、上映後、後の取材のシーンでダースさんがお腹に注射を打っていたことに対し、観客の一人から前田Pに対して「あれは誤解を与えないか。大丈夫か」という質問があった。私も気付いていたが、ヒルマニアであれば当然、ダースさんが糖尿病など複数の病気をかかえていて、投薬が必要であることを知っているので、特に違和感は覚えないが、それを知らない観客がいきなり見たら、ぎょっとする人も中にはいるかと思う。が、違法薬物ではないことはすぐに分かることだし、悪意のある人は別に何でも利用する可能性があるから、テロップ等を入れないことについては私はそのままでもいいと思う。

また、前回の記事で私は、「沖縄の現状を知ってもらうのに最適の映画」と書いた。しかし、事後の取材のシーンでダースさんが、「これは沖縄だけの問題ではない。日本全体の問題を扱っているんだ」と語っていたことに気付く。これはその通りで、五百旗頭監督の『はりぼて』や『裸のムラ』同様、富山や石川のことを扱いつつ、日本全体の問題を浮き彫りにするのと、本作は同じ構造であると思う。沖縄のことについて我々は知らなすぎる。それでこの映画を通して沖縄の置かれている現状を知った結果、ではどうするべきかということが次に問われる。まさにダースさんのラップのように、我々一人一人が問われている。そんな普遍的なドキュメンタリーだった。

最後に、エンドクレジットで二人が訪れた沖縄の食べ物の店がどれもおいしそうで、聖地巡りのために店のリストがほしい。提供してくれませんかね?

(追記) 下地さんのお花いっぱいの街宣ワゴンカーのお花、私も最初唐揚げに見えていた。舞台挨拶でそれが共有できて安心。

(再追記)今回、CINEMA Chupki TABATAを初めて利用した。同劇場は、目の不自由な人も、耳の不自由な人も、どんな人も一緒に映画を楽しめるユニバーサルシアターということで、字幕のない音声部分もすべて字幕がつき、更にイヤホンで音声ガイドも聞ける。私は音声ガイドは利用しなかったが、字幕を観て、聞きとりずらい部分も字幕でッフォローできたり、BGMのタイトルを表示してくれるのはありがたいと思った。また、小さな映画館にも関わらず、席はゆったりとした仕様で、非常にくつろぐことができた。機会があればまた利用したいと思う。

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