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最近ふれた音楽の話 #28 話題:山下達郎『パレード』、チューリップ『青春の影』、荒井由実『やさしさに包まれたなら』ほか

HELLO 福山雅治 2拍3連の妙メロ

モロ私は世代なのですけれど、分厚い歌本を繰っていて久しぶりにこの曲と出会いなおしました。福山雅治のことはなんとなくマルチタレントと認識しがちな近年の私でしたが、彼がいかにシンガーソングライターとして魅力的であるかを今更認識を改めました。もう、ファンにごめんなさいとしか言いようがありません。いえ、彼のファンは私のことなんか知らないしどうでもいいこと請け合いでしょうから謝り損です。もう謝らないぞ! 自己肯定感高めていこう(謎)。


パレード 山下達郎(ナイアガラ・トライアングル) 『NIAGARA TRIANGLE Vol.1』より リスニング記

ずっと前に、山下達郎関連の何かのボーナストラックで『パレード』を聴いて知っていて、いいなと思っていたんです。何のボーナストラックだったかまるで思い出せないんですけど。山下達郎じゃなくて関連の深い人の何かのCDだったかもしれない。思い出せないのです。ああ、気持ちが悪い。

それはいいとして、曲『パレード』はとってもとっても素敵な曲です。『NIAGARA TRIANGLE VOL.1』に収録されています。曲の前とあとに、何か意味深な部分がついているのです。曲の前は絢爛なピアノの序奏。曲のあとには、何かセッションしているような雰囲気のトラックがつないであるのです。それがむしろ思わせぶりでいいなぁ。お祭りの前と後を表現しているみたいで……と思いました。曲の本編のみをひたすらにヘビロテで聴きたいという人も世にはいるかな? 私はむしろ聴けば聴くほどに、この本編の前後についている部分に深くはまりました。

『パレード』はシングルになっていて、シングル版にはこの付加的な部分がないそうです(シングル版はまだ聴いていないのですが)。


青春の影 チューリップ リスニング記とプチ聴き比べ


『青春の影』はテレビCMでここ近年も使われていて聴き覚えがあります。チューリップを聴いていると随所でビートルズを思うのですよね。敬愛もあるでしょうし、もう体に刷り込まれ過ぎていて自作にも染み出してしまうのかもしれません。作曲ってそういうものですよねとも思います。自分が摂取してきたもののカクテルなのです。もちろん、自分の人生とまったく同じ人生を経験している人はほかに一人としていない(似ている人生はあったとしても、全く同じはありえない)ので、そうして摂取してきた音楽が自作にあらわれても、最後の最後の部分でやっぱりそれはオリジナルになるのです。もちろん、誠意をもってのぞむからそうなるのであって、悪意を持ってパクるとか、独自の作品をつくろうとする情熱を持ってやらないと半端な「何かに似ているだけのもの」になってしまうと思うのですけれど。

話がヘンに曲がってしまったのですが、チューリップは確かに随所にビートルズを思わせる要素がありますが、それを含めて途方もなくすばらしいオリジナルバンドです。私がこんなこと言うまでもありませんよね。


河島英五『酒と泪と男と女』を聴いて 心を持ってく擦れたサスティン


私の父の持ち物に河島英五のCDがあったんですよね。それほど音楽に執着の深い人ではない私の父ですが、河島英五はきっと好きだったんでしょうね。そのことについて話をしたことがあるわけではないのですけれどね。河島英五の曲に深い共感を覚える人はきっと私の父だけじゃありません。私もその一人で、完全にヤられてしまっています。サビの張り上げた声の鋭さに涙腺がぶわぁっとなります。高校のときの音楽友達にスゴく歌がうまい子がいて、その人もこの歌をうたっていたなぁ。まっすぐな歌をまっすぐに歌う友達でした。河島英五もまぎれもなくそういう人だと思います。歌い手、という虚像を演じない、仮面をかぶらない、素顔のまま無骨な生き様をさらし、つらぬき、提示する歌い手だと思います。私もそういう人でありたいのです。だからこそ、彼の歌が深く響くのでしょうね。


やさしさに包まれたなら ユーミンの長7度ステップ!

ユーミンの歌がメロディに革新をもたらしていると思うのですよね。たとえば『やさしさに包まれたなら』では、とてもオサレな印象をあたえるメロディの進行のさせ方がみられると私は考えています。どういうことなのか詳しくは小見出しのリンク先のブログ記事を参照してみてください。

魔女の宅急便につかわれた曲として、テレビ放映時にもたびたび聴いたこの曲。いま聴いても新しい響きがあります。編曲がいいのですよね。松任谷正隆氏。コンパクトに疾走しています。私の頭のなかに真っ先に流れるのは実はアルバム版でした。シングル版はテンポがゆっくり。


原田知世『時をかける少女』(1983)リスニング・メモ

原田知世の透き通るあどけなさ残る声が印象的です。彼女はその後数度にわたりこの曲をセルフカバーしています。一時期は歌わないでいた時もあったそうです。セルフカバーではだいぶ大人になってからの彼女のパフォーマンスが鑑賞できます。が、こちらの1983年のオリジナル音源もまた素晴らしいのです。あやうさ香る歌声もまた魅力ですし、編曲もとてもいい。演奏陣も良いのです、ベースとか……。編曲は松任谷正隆。で、そう、作詞・作曲は松任谷由実です。いい意味でユーミンが、主役の引き立て役になっている。というか、映画の本質や主題を見事に抽出しているのでは? といいつつ私はまだ映画を未鑑賞なので言えないですけれどね。でも、歌から逆に映画を連作できそうなくらい、歌も珠のようです。

真夜中のギター 孤独と詩情


この曲はずっと知らないでいたのですが、分厚い歌本に載っているのを目にして最近知りました。譜読みしてみるとやたらシンプルな出だし。むしろそれが引っ掛かりになったくらいです。繰り返し聴いていくほどにクセになります。やさしいイントロはモチーフの
「ギター」の表現ですね。歌詞はなかなか悲しく孤独です。編曲がとてもいいです。また千賀かほるの歌唱も良いです。声楽や舞台表現を学んだ方なのかな〜と想像。


歌本に載っていて目にとまったのは、実は作詞者が吉岡治だったからというのもあります。吉岡治は『おもちゃのチャチャチャ』を広く童謡として知られているかたちに補作詞した人です。それより前は歌詞が違っていて、いくらか大人向けの歌だったんだそうです。そちらは聴いたことがありませんが。

青沼詩郎

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