ばんどう通信R6年07月号

こんにちは、ばんどうです。
年々暑くなっていきますね。「科学技術による、エアコンの効いた部屋にいないと真面目に命が危ない」だなんてもうちょっとしたSF映画の世界に突入し始めているな、と。
食材の時期や産地も年々変化しているように感じます。
みなさまいかがお過ごしでしょうか??


まずはお盆などの営業スケジュールお知らせ

基本的には「お盆休み」を取るつもりがありませんのでいつも通り営業しております。今の所今年のお盆は長期休暇っぽいカレンダーになっているせいか今の所予約少なく、こういうカレンダーの時は割と直前に「娘・息子・友人が帰ってきたんですが席空いてますか?」みたいな問い合わせが多く来るイメージでして一応そのつもりで用意はしていようかな、と思っています。
なのでお盆中は「あ、人が来たけどご飯どうしよ?」みたいな際は前日とか最悪当日とかでもご案内できる場合ありますのでよければご連絡くださいませ。

合わせて最終週もお席余裕あります。
ということでこっから本編?

見て覚える10年の修行は生産性が低いのか?

最近、Xを中心とするSNSで物議を醸しているのが下記のポスト。

これに結構賛否が割れていて、まあ皆さん思うところがあるようですが。
私はこれ、「職人は見て覚えたほうが良い」のか「ちゃんと教えたらもっと早く習得できる」のかの論争とは別の切り口で「自分に任せられた仕事をきちんとこなしながら周りを見ること」自体が一つの技術で、かつ飲食店で働く上では割と重要スキルなのに人によってはなかなか身につかないよね、そして「仕事をしながら先輩が何をしているか見ていないと、自分が成長できない」というのはその「見る技術」を習得する強烈なインセンティブになるよね、つまりある意味一種合理的よね、と思っています。

飲食店スタッフにおけるコアスキルは何か?

最近、昨年採用したスタッフ個々の間に、成長度合いの差があるなと思いその差を埋めるにはどうすべくか?ヒアリング面談を行いました。

優秀な人の方に。

就職による退職者まで含めてアポを取って「なんでできるようになったの?」「仕事中、何考えてるの?」と。

何人かにヒアリングする中で「サービススタッフとして成長する上で通過すべき、いくつかの標のようなもの」が浮かんできたのですがその中でも最重要と思われるものが二つ。
一つは「お店をよくしたいと本心で思っていること、よくするためにどうすべきか自分なりに考えていること」
もう一つはココまでの話の流れでお分かりかと思いますが「勤務中に、常に周りを見ること」

でした。「周りを見ること」をもう少し具体的に分解すると「作業中であってもなくても、3秒に1度は常に周り=坂東の作業状態と客席を見る」と定義できるようでした。

そして成長が芳しくないスタッフを「周りを見る」という観点で観察してみると、確かに見てなさそう。(今まで「周りを見ない」という発想が私の中にそもそもなかったのと、優秀な子は私と目があったら「用事がある」と察して呼ばなくてもすぐに駆け寄ってくるので用がない時は逆になるべくスタッフと目が合わないように意識していたので気づかなかった)

また営業後に「今日最初のお客様が見えてから最後のお客様が帰るまでの間に何があったか」を時系列順に説明させると結構あれこれ「見ていない」。「覚えてない」ではなく「見ていない」。

なるほど、と思って「見る」ことを教えるんですけど今までそれを自然にやってこなかった人たちにとっては、なかなか習得に至らない難しいスキルなんですよね。

うちは今まで「教えて覚えさせる」という形式をとっていたため「営業中に必要な個別作業スキルはAからZまでほとんど習得している」のに「仕事ができるわけではない」という状態が発生していたのですがその原因が「見るスキル」の欠如だったと発覚したわけです。

「優先順位をつけるのが下手」と思っていたのも「優先順位をつけるスキル」が不足しているのではなくその手前の「見てないから優先順位をつけるべきタスクを全てリストアップできていない」という・・・・・。

話を戻すと

天ぷら店の話に戻るとですね。
「美味しい天ぷらを揚げる」だけであれば、つきっきりで教えれば確かに上達は早いかもしれません。
ただしそれは「教えられている時と同条件の環境で、かつシングルタスクの状態であれば」なんですよね。

私は仕事において重要なのは「上振れしたとき及び平常時にすごい結果を出せること」ではなく「どんなに悪条件が重なって、信じられないくらい下振れしたとしても一定以上のクオリティをきちんと出せること」だと思っています。

正直、そうなると食材の状態が日々変わる、毎年変わる、お客様の食べる様子も日々異なる、話しかけられるかもしれない、イレギュラーがある日もあるかもしれない、そういったときにでも「一定以上のクオリティを出せる」のは「時間をかけて見て覚えたひと」だし、料理以外の「お客さんの様子」や「他のスタッフの様子」をきちんとクオリティを担保した上で把握し続けるには「修行時代から見る習慣をつける」のは必須なのかな、と。

ちなみにもう一つの

ちなみにヒアリングする中で出てきた「成長するために大事なこと」のもう一つ「お店をよくしたいと思っているか?」については文字数長くなってきたんでまた別の機会にでも。

鱧料理の最高傑作

先月号で「献立の組み方をベストアルバム方式に変えた」とお話ししましたが、それが功を奏しているのか、我ながら「人生で今まで食べた鱧の中でぶっちぎりで一番美味しい」鱧料理が出来上がりました。
これに関しては引き続き8月もお出ししていこうかと思っています。

2kサイズのはも、卵黄のソース、乾燥させたカシスのパウダー
1kサイズで「木屋町仕立て(2枚重ねて厚みを出す)」も試作したんですが2kで1枚、の方が圧倒的に完成度高かったです


食べた方皆さんが「これ、もう肉みたいな旨味だね」とか「黙って出されたら鱧だとは絶対にわからない」と一様におっしゃってくださってます。

2kサイズの特大鱧の骨を抜き、皮目だけパン粉をつけてパン粉・皮目側からの一方向からだけ火入れする。
ただそれだけ、料理名をつけるとしたら「鱧のパン粉焼き」ですが。
想像を上回る美味しさがあります。

10周年コース

独立して10年を記念して新しく始めた18000円のコース。ある程度旬のエッセンスを抜粋してコンパクトに仕上げることでいつものおまかせより少しだけお値打ちに仕上げさせていただいているのですが。
どうやら好評のようなので引き続きしばらく続けようかと思います。

八寸とか前菜盛りとか多分名古屋にきて以来やったことないんですがこのコースは入れることにしてます

通常の28000円の「おまかせ」コースがその月のベストアルバムだとしたらこちらは寿司屋さんでいうところの「おきまり」というところでしょうか。
どうぞ引き続きご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

終わりに

ということで今月はこんなところで。
先にも触れましたが8月はお席余裕あるのでお問合せお持ちしております。

坂東

この日は2.5kの鱧。まな板2枚繋げても長さ足りません。
最近の傑作の一つ。富士山麓のマッシュルームご飯。
甘海老のタコス
チョコレートと天然水のムース

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