ばんどう通信R5年05月号
こんにちは、坂東です。
いつもの通信を書こうと振り返ってみて気づきましたがGWって今月の頭の出来事なんですね(笑)
もうなんだか遠い昔の出来事のように感じておりますが皆様いかがでしょうか??
私は人混みが嫌いすぎるのでどこにも出かけず、細々と営業しながら1日だけ実家に帰って家族とBBQ、あとはスタッフ歓迎会をしたりと引きこもりをしておりました。
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1年半越しの切れ「味」
何度も書いてはいるのですが、「切れ味」って切断力のことではなく「切断力」や「切り開く力」や「素材に触れる鋼材」などの複合的要素が絡まって生まれる「味」のことを指します。
おんなじように研いだ包丁でも鋼材によって引き出される味が違う。そんなことを教えてくれた松阪の刃物屋さんに、1年半前に頼んでいた鰹節削りがようやく納品されました。
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かなりマニアックな話になりますがこの通信はあんまり話を簡素化しない、読みたい人だけ読んでくれればいい、と決めているので興味ない方はこの章は読み飛ばして次に行ってください(笑)
一般に刃物用と言われる鋼材はステンレス系・鋼系に分かれます。
そして鋼系も大手が開発している鋼材で大きく3種類。青・白・黄と色で呼ばれています。
黄=柔らかく不純物が多いが安価。家庭用
白=硬く非常に錆びやすいが、炭素量を多くすると抜群に硬くなる。儀式に使われる包丁なんかは大体白か玉鋼か。
青=ステンレスとは呼べないレベルでごく少量のクロムなんかを混ぜることで粘りと若干の錆びにくさを産む。粘ることで長く切れ味が持続するのでプロの間では最も人気がある印象。
で、各鋼材にそれぞれ炭素量の差で1〜3に分けられています。1が炭素が多く固い。3は少ないけどほぼ見かけない、というか3の場合いちいち謳われません。
青1とか白2とかいう言い方をして分類している感じですね。
ここまで長々と前置きを書きましたが、先にも書いた通り「プロ受けしてるのは現状青、それも炭素が多い青1」なんですね。
中には「一発の切断力を可能な限り高めたいから」という理由で白1を好むこだわりの人もいます。
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じゃあ、今回松阪の包丁屋さんに頼んだ鰹節削りの鋼材は何か?というと実は白2なんです。
自分も今までは「料理人になりたての駆け出しの若い子が買う包丁の鋼材」と思っていました。しかし「切った後の味」という観点で言うと白2が一番美味しい。だから白2なんです。と言うこだわりの作りです。
半年ほど前に月山さんにお願いして納品してもらった4本の包丁も全て白2。
プロなりたての人向けみたいな完成度の低い作りの包丁しか出回っていなかったイメージでしたがその鋼材で一流の仕上げをするとこうも違うのか、といまだに感動しながら使っています。
鰹節削りは台も大事
と、鋼材の話をしてきましたがまだ本題には入れません。次が本題なのでここも興味ない方は読み飛ばしてください。(笑)
鰹節削りって要はカンナで、当たり前ですが全てが鉄でできているわけではなく台は木でできています。
そして、「鰹節って木より固い」んです。
どう言うことかというと「どんなにこだわった刃を使っていても、鰹節が触れた台がどんどん凹んでいくし、台が凹むとうまく削れない」んです。
そして、湿度や気温によって微妙に毎日歪みが出ます。
「湿度ってそんな大袈裟な(笑)」と思うかもなんですが鰹節の削りって、業者さんにオーダー出す時は「0.01ミリ」とか「0.015ミリ」とか100分の1ミリか1000分の1ミリ単位くらいでお願いすること多いんですね。0.01の鰹節と0.02の鰹節は誰が食べてもわかるくらいの全くの別物なので。
なので湿度による歪みですら誤差どころではないんです。
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なので通常は「かんなの台を正常に手入れするための大カンナ」が必要で、さらに「かんなの台を正常に手入れするための大カンナを手入れするための特大カンナ」も必要で、さらに・・・・
とこだわりだすと無限マトリョーシカみたいに一生終わりません(笑
何が言いたいかというと、要は「鰹節って実はめっちゃ大変」てことです。
その手入れ用の道具まで含めて入手・教わってきました(笑
猫まんまの向こう側へ
で、やっと本題です。
一流の職人が切った、切り立てシュワシュワの生ハムって感動したことありませんか??
私は初めて手回し生ハムスライサーで切られたパルマハムを食べた時は衝撃を受けました。「なんだこれは!?」と。
そしてその後、「手回しなら電動スライサーより安いだろ」と思って調べたら手回しの方がはるかに高くてもう一度衝撃を受けました(笑)
(電動スライサーは選ばなければ4万円くらいから買えますが手回しは中古でも90万くらいから〜〜)
でもですね。
「極上のねこまんまの感動」は生ハムを超えうるんじゃないか?と今は思ってます。
鰹節削りのメンテナンスを習いに行った時、頭の中は「??????」状態。
鰹節ってこんな世界を見せてくれるのか。と。
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何度か試作を繰り返した結果、今の所の理想の仕上がりを。醤油の香りと塩気を「欲しいタイミング」で適切に演出するためにいくらとカラスミを使ってます。
1度の研ぎで削れる節が8人分が限界と思いますがなんとか行けそうなので。
6月以降、食べたい方はリクエストください。
追加料金なしのエクストラメニューとしてご用意いたします。
鰹節って研いだ後の削り出し、ワンストローク目とツーストローク目で「もう切れ味違う」と感じるくらい刃の切れ味低下がめちゃくちゃ早いのでおかわりはできません(笑)
肉ばんどう
5月末の肉ばんどう、お陰様で好評のうちに終えることができました。皆様ありがとうございます!!
但馬玄をメインに美味しい部位だけを取り寄せ様々な調理法で。
またどっかのタイミングで企画したいと思います。
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6、7月は
6月から岐阜の和良川の鮎がスタート。雲丹きしめんは引き続き。
天然鰻もぼちぼち、上がれば有り。
毎年恒例の「骨無し鱧」は6月はスルーして7月くらい?スタート予定です。
6月はいつもと比べて空席かなり多めなのでよければご連絡くださいませ。
終わりに
今月は鰹節だけでほぼいつもの文字数超える勢いで書いてしまったので他にも書きたいことあったんですがさらっと終わります(笑)
ではでは、今後とも引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
ばんどう
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