ばんどう通信R6年01月号
こんにちは、そして1月も末ではありますが明けましておめでとうございます。ばんどうです。
前号の執筆はお節の制作・梱包直後で1みりも頭が回っておりませんでしたがお正月ゆっくりさせていただきおかげですっかり回復していたしました。
昨年にも増して精進してまいります。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
今年の一字
毎年年初に「その年の抱負を漢字一字で決める」というルーティーンを掲げていまして昨年の一文字は「捧 ささげる」でした。
なるべく自分のエゴを捨て、今まで自分の人生にいろんなものをくれた料理に対して感謝を捧げる一年にしたい、そんな思いでした。
さて、今年の一字は・・・と考えたところ決めたのが
「航 わたる」
今年の2月は名古屋に引っ越して7周年、5月で独立開業をして10周年の年になります。この10年、ずっと「自分の料理を突き詰めたい」と個人プレーを極めたいという思いだけが強く突き進んできましたが、さらなる先を目指すためには支えてくれるチームの力が必須かな、と。
そんなわけで「みんなで進む」というニュアンスのある一文字として「航」を抱負とすることにいたしました。
知識と解像度
「適切な知識や注意は、認知の際の解像度を引き上げてくれる」と思っています。どういうことかというと「このワインはいちごジャムのような風味と味わいが特徴で口に含むとまるでジャムを頬張ったような錯覚をするほどです」と説明を受けてから飲むと大半の人は「ああ!ほんとだ!」と「いちごジャムのような香り」を認識して楽しむことができます。
でもこれって「言われなくてもジャムの香りを知覚できる人」は実はそんなに多くないと思っていて、我々のような飲食に携わる仕事している人間・またはめちゃくちゃ食べることが好きで食への経験値が異常に高まっている人くらいしか「言われなくても知覚できる」ってあんまりありません。
私自身、漫画が小学生の頃から大好きなのでかれこれ30年くらい漫画を読んでるのですが解像度高く読むことができないというか、最近アプリで連載している漫画が非常に面白いと思っています。
なぜかというとアプリ連載の漫画には「コメント機能」というのがあって読者がコメントできて、かつそれを誰でもみることができるんですが「○ページ目の○コマ目のキャラの表情、アレの伏線じゃない?」とか「●ページの作画レベル、凄すぎない!?」とかコメントしてる人がいてそれを読んで振り返ってみると「ああ、確かに」と自分だけでは全く気づかなかった新たな視点を得ることができるからです。まさに「外から注意を促されることによって楽しむ際の解像度が上がる」体験を毎回することができるんですね。
で、話を料理に戻すんですが(笑)
ちょうど昨日の出来事です。1月2月は毎年予約も薄めなので、うちのスタッフに教育を施してお店のレベルを底上げする期間にもしようと思い、お店で提供される料理・食材・ワイン・日本酒などを働きながら学んでいくための仕組み作りをしています。
で、まさに昨日3種類くらいのワインについて学ばせたスタッフに営業後試飲をさせたところ
「!!??!え?今までも試飲はさせてもらってたけど今日は全部が引くほど味が違って感じてびっくりするんですけど・・・」
というリアクションを引き出すことができ。
人間は、自分が体験したことあることしか人に伝えることができない
と思っているので、スタッフ全員にこの体験をさせ、底上げしていきたいな、というのが今の私の目標の一つであります。(というかそもそもの妻が産休育休で抜けて以降のウチの採用育成計画の方針が「学生アルバイトを正社員並みのクオリティに引き上げるだけの育成ルーティンを作りあげる」なので4月から始めてようやくちょっと前進したか、という感じですね)
偏愛を掘り下げる
料理についての最近の個人的テーマは「自身の偏愛を掘り下げる」です。
というのも最近になって若い頃の自分の野望というかパッションというか「将来お店をやるとしたら、自分が美味しいと思って感動したものは全部出せる店にしたい。でも和食にも中華にもフレンチにもイタリアンにも感動するものはたくさんある。かといって安易に創作○○は・・・・」と思っていたことを記憶として、ではなく実感として思い出しまして。だとしたら「感動したもの・大好きなものの核となる部分をきちんと理解・抽出して構築しなおせば、そもそもジャンルがどうとかウチの店では出せない、とか関係ないのでは??」と。
ということで「子供の頃から大好きだったもの」や「初めて出会った時に心の底から感動したもの」を思い出し、集め、「ばんどうの料理として再構築する」という作業を最近はしています。
自身の中でのメインテーマが変わるとその他の料理でも意図しないというか今まであんまりなかったタイプの一皿が生まれてなかなか面白く思っています。
これ。蕪を鬼おろしにかけて仕上げるいわゆるみぞれ仕立てなんですが「蕪に火を入れすぎない」のがポイントで生っぽい香りと食感・大根よりも優しいほんのわずかな辛みがメインの椀種である焼魚の脂をより一層引き立ててくれるというか・・・。
2月は
天然河豚が身・白子共にいい感じになってきました。うちでは天然のオスは白子だけもらって、身はメスを手配してもらうという超わがままなオーダーを入れています。(笑)
卵に栄養を取られる普通の魚と逆で、フグはオスが白子に栄養を持っていかれるからガリガリで、メスの方が美味しいんですね。ということで丸っと仕入れてるのであちこちの部位をいろんな調理で楽しんでいただければと思います。
居酒屋ふたたび?アラカルト?
以前のイベントで好評だった居酒屋企画をパワーアップさせて復活させたいな、と。2月最終週が丸っと空いてるのでそこでちょっと遊ばせてもらおうかと思います。前回は料理内容が「居酒屋」という縛りに縛られすぎてしまった気がするので今回はもうちょっと色々やりたいかな、と。アラカルトでいろいろ、普段出さないようなものをお料理としてお出しできたらな、と思ってます。ご都合着くかたぜひ坂東までご連絡ください。
ばんどうアラカルトの日
2月
26月、27火、28水、29木
の4日間です。お時間はご指定ください。ご連絡お待ちしてます!
では、今月はこの辺で。
重ねてにはなりますが、どうぞ本年もよろしくお願いいたします!
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