2021衆議院選挙までの政局予想

ちょっと生臭い話をしてみようと思いますが、その前に重要なファクトを。


◆コロナ死者数の増加

皆さん、コロナで人が死ぬという事に慣れてしまったのか、それとも感染爆発に目を捕らわれているのか分かりませんが、コロナの死者数が順調に増えています。直近の9月2日には65人が亡くなりました。このはっきりとした死者数の増加は8月頭から一カ月続いています。過去の1日の最悪の記録は、第3波の時の1月1日の248人と、第4波の5月18日の218人です。均してみると1日の死者数が3桁というのが、これまでの最悪の状況でした。

ここまでの経過からごく単純に死者数を外挿すると、1月後頃には1日の死者数が3桁に突入という事になりそうです。

これについては、感染・発症から死亡まで時間がかかることを考え、最近の新規感染者数の減少をみると、単純に死者が増えていくとは思えないかもしれませんし、事実そうかもしれません。ただ、そうではないパターンもありえます。

まず、最近減っているのは「新規」感染者数というところがポイントです。どういうことかというと、コロナ治癒者より新規感染者が多い間は、コロナ感染者数は増え続けるということです。経済学ではフローとストックという言い方をしますが、新規感染者・治癒者がフローであり、感染者はストックです。そして、死者はこの感染者というストックの中から生じてきます。つまり、「新規」感染者が減っても、感染者自体が減らなければ、死亡者も減らないということです。

死者数の増加が止まらないパターンがあると言いましたが、これは十分起こり得ます。新規感染者数はピーク・アウトはしましたが、高止まりする可能性もあります。大都市部では医療崩壊が進んでおり、対症療法も限界を過ぎています。

さらにマズいのは、人手不足で保健所が感染者の濃厚接触者の追跡調査を行えないケースが増えています。つまり、コロナに感染したけど発症してない人が野放しになっている数が増えているということです。この人たちは、さらに感染者を増やすことになります。最近のPCR検査での陽性率の高さから、これは間違いなく起きていると思われます。つまり、現状のデータ上の「感染者数」と実数との乖離が大きくなっている可能性が高いわけです。マズいのは、こうした人が高齢者やワクチン接種未完了者と接触するパターンです。


◆メディアの対応

今のところ、メディアは比較的落ち着いています。まだ、コロナ妊婦たらい回しや自宅療養者が亡くなったケースを報じる程度です。ただ、さっきの単純な計算が予測するように、来月の上旬にでも死者数が過去最高を更新でもした途端に、パニックになるのは目にみえています。


◆選挙

これを踏まえた上で、政局がどう動くのかシミュレーションしてみましょう。

菅総理が自民党総裁選に出馬しないことで、新総理が選ばれることになりました。今回の自民党総裁選挙の日程は9月17日告示、29日投開票とのことです。つまり、今月中の解散・総選挙は無くなりました。

これは自公政権にとって最悪のシナリオが待っている可能性を示唆します。総裁選の選挙をやっている途中か、その後の組閣頃にコロナ死者数が新記録を更新。新総理・新内閣の出鼻を挫きます。もちろん、そこから対策を出す間もなく、10月21日の衆院議員の任期満了まで粘っても、10月17日に総選挙が行われます。コロナでの死者数が最高値を更新し続ける中、というのが考え得る限り最悪のパターンでしょう。

この場合、自公政権が頼みにするのは、なんとも矛盾した話ですが、コロナ蔓延による投票率の低下です(笑)期日前投票が増えているとはいえ、まだまだ当日に選挙に行く人が多数派です。こんな時にまともに選挙なんかできるのでしょうか? もちろん、感染対策をバッチリ行うでしょうが、それはつまり投票まで大行列ができるということを意味します。そうなれば、無党派層の投票率は下がるでしょう。もちろん、与党側に投票を行いやすくする行動をするメリットは0です。こうした状況は放置されるでしょう。

コロナ下での投票というリスクや行列の大変さが勝つか、それともコロナ失政への怒りが勝つか、最後はそこにかかってきそうです。

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