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飼い猫ホクの愛情に孤独の壁はガラガラと崩れ去った

飼い猫のホクが急にいなくなったことを数ヶ月前に書いて投稿した。

いなくなって2ヶ月足らずのある早朝、まだ寝ている時にホクが私のお腹の上を歩いた。それで目を覚ましたのだが、ホクはいなかった。その前日、ホクがいないことを嘆き悲しみ、声を出して泣いていたのを聞いてくれたから、来てくれたのか、と思った。でも同時に、もしかしたら亡くなったのかもしれないなとも思った。

その日の午後に隣人が、ホクは見つかったかと聞いてきたので、その朝のいきさつを話すと、彼は急に暗い顔になって、ホクがいなくなった頃に近所の交差点でホクかもしれない白黒のネコが車にはねられていたのを見たと言う。もう一人目撃者がいて、その人も同じことを言っていた。このあたりは島を周る高速道路が近くに通っているが、かなり深い掘の向こう側なので、まずホクが出て行くことはないだろうと思っていたし、しかもこの場所に住んで5年にもなるので、彼がそういう危険な場所はもう知り尽くしていると思って安心していた。引越した直後ならそういうことがあってもおかしくないが、何で今になって、という気がした。いろいろ思うところはあったが、多分ホクは亡くなったんだろうと思う。

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ホクは、稀に見る自己中ネコで、えらく自信家でもあった。じぶんのやりたいこと、好きなことにしか興味がなく、餌をもらっているからと言って私に媚びるようなことはなかった。私から暖をとる目的以外では、体をベッタリくっつけて来るということはなかった。冬の寒い夜だけ、私の太ももの間に入って寝ることをしていたが、それ以外の時は別室で一人で寝ていた。私としては、一緒に体を寄せ合うことをしたかったのだが、そうしようとすると、いつも少し離れたところに落ち着いた。抱き上げても、少しの間は許してくれるが、長居してもらうためには、私がサービスしてアゴや顔のあたりをしっかりナデナデし続けないと、すぐに降りて、自分の位置に落ち着く。私としては好きで一緒に暮らしているのに、これほど境界線のはっきりしたやつを他に知らない。二人の愛の棲家、というよりは、二人で共同生活をやってます、という感じだった。ご飯がほしいときは、机の上のものを容赦なくどんどん突き落とす。いくらコラッと叱ってもカエルの面にションベンである。ご飯をあげるまで、彼はその追求の手を緩めない。私はいつもそういうホクに対して、「こいつー!」と思いつつ、こういうやつなんだから仕方ないなと諦めて受け入れていた。それでも大好きだったし、可愛くて仕方がなかった。

そして、彼はまた私の師匠でもあった。絶対媚びることをせず、しかも自信満々で自分のしたいことだけをするという、一見その自己中でしかない生き方は、つい人の都合に合わせてしまう私には学ぶところがたくさんあった。

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ホクが多分亡くなったということを受け入れはしたが、しばらくはとても悲しかったし、どうしてこの時期に私から離れたのかを知りたかった。冬至が近づく頃だった。この冬至は地球レベルで大きな変化を迎えている時でもあると感じていたし、冬至のイベントとして、催眠療法を使って友人にトランス状態に入ってもらい、互いの今の状態やこれからについて、高次のガイドに出て来てもらい、質問に答えてもらうということをすることにした。

私からの質問としては、ホクがどうしてこの時期に亡くなったのか、どうしてこの6年間私と一緒に暮らしてくれたのかが一番聞きたかったことだ。この6年間というのは、人生の中で二番目に厳しかった時期だ。精神的な死を迎えていた。この質問にはホク自身が出て来て答えてくれた。

ホクは、私が30年一緒に暮らしたパートナーと別れ、20年の天職を辞めようかと迷っていた時期に、肉体を持って生まれて来た。私にとっての死の始まりの時に彼は私の人生に現れた。そして、ホクが言うには、今、私は再生の時期に来ている。この時期に私は一人で生きることが必要なので、ホクは肉体を離れることで私の日常から去った。そして、これから毎日ホクの霊と交信するため祭壇を設けるようにと指示してきた。

えっ!これってまるでスターウォーズのオビワン・ケノビとルーク・スカイウォーカーの関係みたいじゃないか。年老いたオビワンはルークの目の前で、ダースベイダーに「私が死ねば今よりもっとパワフルになるんだぞ。」と言い置いてから、自らダースベイダーの一撃を受け、死を選ぶ。それ以降、彼は霊となりルークを指導する。これである。

以後、私はオビワンのホクと毎朝お話をしている。今朝、彼と話している最中にはっと気づいたことがある。私はずっと子供の頃から孤独で、孤立することで人から傷つけられないようにして自分を守り生きてきた。人に対して心を閉ざすことで安全圏を作り、その孤独の中で生きてきた。が、ホクは私の死と再生の時期を選んで生まれ死んでいき、その後も私の師として導き続けてくれている。こんな深い愛情が今まであっただろうか。おまえ、そこまでしてまで私のことを気にかけてくれてるのか。そんなにして、おまえの一生をかけて、私を応援してくれているのか!こんな深い愛情をもらって泣けて仕方がない。私の孤独の壁をぶち破って私の心に入って来る。

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私は、クォンタム・ヒーリング催眠療法(QHHT)という名の施術をする。その中で、クライアントのハイアーセルフとか高次元のスピリットガイド、つまり守護霊とか指導霊という存在に出て来てもらって、クライアントの声を通して、質問に答えてもらうということをする。だから、そういう存在には慣れてはいるのだが、私自身の守護霊とかハイアーセルフという存在に対して、ここ数年で不信感を抱くようになった。はっきり言って、彼らの言うことは、あまりに抽象的すぎて、この三次元世界の日常生活に具体的にどう役立たせればいいのか、わからないことも多い。だから具体的なツッコミをしないと、ラチがあかない。それだけでなく、私個人としては、私の死の期間中があまりに辛かったので、神も仏もないと感じるようになった。彼らが指導霊としていながら、どうしてこんなに辛い思いを長く続けてしなければいけないのか、と思うと信用を失ってしまった。ハイアーセルフというのは、結局は深いところの自分自身なので、自分を信用できなかったということでもある。と、頭ではわかっていても、心の中で、「あいつらお高いところにとまって勝手なこと言いやがって‥」とへそを曲げていた。

そういう状態にいた私にホクは指導霊となって今寄り添ってくれている。この三次元の人間社会においても、高次元の世界においても、私の人間や宇宙に対する不信感を打ち砕いてくれた。「おまえ、どこまで俺のこと好きやねん」と言いたくなる。生きていた時はそっけない感じで私といたのに、そんなに深い愛情を持って見守ってくれてたのか。もう孤独の壁の中にいることができなくなるよ、ホク。


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