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産業構造分析と資源ベース・モデル

はじめに

経営学を勉強しているとI/Oモデル(産業構造分析モデル)と資源ベース・モデルという理論を目にすることがある。

今回は、この二つのモデルの概要や違いについて話していこうと思う。

産業構造分析モデルと資源ベース・モデルの違い

産業構造分析モデルと資源ベースモデルの違いは、企業の業績に影響を与える変数にある。

産業構造分析モデルでは、その企業の属している業界が企業の業績に影響を与えると想定されている。

一方で、資源ベース・モデルでは、その企業が持っているユニークな経営資源が業績に影響を与えるとされる。

つまり、外部環境の影響を研究するのが産業構造分析モデル、内部環境の影響を研究するのが資源ベース・モデルということになり、この2つのモデルは補完関係にあるといえる。

I/Oモデル(産業構造分析モデル)の概要

先述の通り、産業構造分析モデルは、企業の業績はその企業が属している業界の影響を強く受けるという理論である。

この際に注意しておきたいのが、この理論を適用するための4つの仮定条件である。(以下の①~④)

①外部環境が、企業が高い収益性を達成するための戦略を決定するように促し、同時に制約も課す。

②同じ業界に属している企業は、どれも似たような経営資源を有しており、その資源に基づいて似たような戦略を追求している。

➂戦略実行のため企業が所有している経営資源は、競合他社へも移動可能である。そのため、優れた資源を持ち、それを活用した戦略を実行しても、短いスパンで競合他社に模倣される可能性が高い。

④企業の意思決定者は合理的で、収益極大化のような企業にとって最善の意思決定を行う。

以上の仮定条件を踏まえると、企業が良い業績を残すには、魅力的な業界に身を投じるか、経営資源を属している業界に合わせてどのように有効活用すれば良いかを知っている場合のみである。

企業が魅力的な業界を見つける方法は、マイケル・E・ポーターが提唱した5つの要因(ファイブ・フォーシズ)モデルというフレームワークなどがある。(このモデルについては別の回で述べる。)

資源ベース・モデルの概要

資源ベース・モデルでは、組織はユニークな経営資源とケイパビリティの集合体であると想定されている。

そして、時間の経過とともに企業の業績に違いが出る理由は、このユニークな資源とケイパビリティにあると資源ベース・モデルでは考える。

このモデルにおいても、注意しなければならない3つの仮定条件が存在する。(以下①~➂)

①すべての企業は異なる経営資源を獲得し、その獲得した資源の活用方法によってユニークなケイパビリティを確立すること。

②企業間での経営資源の移動可能性は低いこと。

➂経営資源とケイパビリティの違いが競争優位をもたらしていること。

以上の3つが資源ベース・モデルを考える際に必要な仮定条件である。  

もちろん、経営資源とケイパビリティを持ってさえいれば、競争優位を築くことができるわけではない。希少、模倣困難性が高い、代替不可能などを満たすものでなければ、競争優位を確立することは難しい。

最後に

今回は、産業構造分析モデルと資源ベース・モデルについて論じた。

モデルを考える上での仮定条件など、意外と覚えるのが難しい部分があったりするので、しっかりと学習していきたいと思う。

より詳しく勉強したいという方は、以下のリンクの教科書を参考にするのが良いと思う。


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