夢の話

月夜だった。

私は恋人と約束がある。
映画を見に行くのだ。

歩いていくと、井戸がある。
昨日、また人が死んだのだそうだ。
「いくら埋めても落ちるんだよ。」と、作業員がこぼす。

さて、地下通路の入り口は狭い。
産道のような狭い階段を下りて、羊水のような生ぬるい水に入る。
水にもぐって泳いでいくのだ。
そして通路の出口はまた狭く、やっと頭を出すと

私の恋人の”妻”が立っていた。

彼女は私の親友でもある。
満月を背に逆光の彼女が上から私を見下ろしている。
表情が見えない。
ああ死神のような月だ、と、思った。

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