マガジンのカバー画像

詩の体裁

7
詩の体裁を意識して書いた文章
運営しているクリエイター

記事一覧

33

妻からもらったネックウォーマーを装着し、文章を書き始めた。 12月7日は僕の誕生日。 おめでとうございます、ありがとうございます。 もう12月8日だけど、なんか気恥ずかしいのでこの時間差で。 あと誕生日なので、文脈を気にせず話題を飛ばしていいし、量も好きなだけ書いていいという許可を自分に与える。 いま着ているネックウォーマーはプレゼントのうちのひとつ。 シルクでとても肌触りがなめらかで、自然な感じでじんわりと暖かい。 首だけじゃなく顔までポカポカしている。 なお、ネック

てのひらに 名前なきまま

気になるバンドを高円寺まで なじみのない道を 知った顔で歩いていく 通りすぎたり 止まっている人たち 多くもなく 少なくもない 生活の営みが見えるほど だれかとの距離は近くもないのに ライブハウスの暗がりには 見たら思い出した顔 めんどうなわけではない 嫌いになったわけではない いまの気分の動きを求めていない ストーリーやルールに入ってこない それだけのこと ベーシストの足もとに ペットボトル置くのが合図 ひかり落とされライブは始まる バンドとステージと僕 目に

まだ走る、もう走れない

まだいける、まだいけない、もういやだ、そんなにいやじゃない。 今日も無難なデザインのランニングシューズで道路を蹴りつつ雑念は吹き飛ばない! 一本道を走りながら、いつ折り返すのだと思考を巡らせつつ距離を伸ばす日々。 フェスが重なったり天気が悪かったり、つまりサボった時期もあったものの、走ることは投げ出していない。 今までの最高記録は先週の金曜日に走った3.1km。最初は600m走って死にそうになっていた。我ながら大したものだ。 基本的に来た道をそのまま帰ってくるから、復路

夜の四隅

名もない料理屋を出て ベッドタウンのアップダウン 行きは下りが多かったから これから上りが多いのだろう 当たり前のこと 緩い坂をこぎ続けて右にカーブすると どこまで続くか分からない下り坂が出てきて 少し涼しくなっている風 切りすぎないように ときどきブレーキかけながら ここはどこの駅が近いのか どこからも近くないのか あたりは見ごたえのない団地 小さな居酒屋の集落がときどき現れて 現れて消え 現れては消えても まだ下り坂が続いている やっと坂を下りきった後の 小

国道とレイドバック

昼間の蒸し暑さに 暗がりが薄い蓋をしてくれている 歩いて帰ろうか 駐輪場に延泊させたまま あしたの昼は もやに溶けてみてもいいしな 少し大きい鞄を 右手と左手に持ち替えながら 骨盤が歪まないように 背中は丸まらないように まっすぐ歩いているぜっていう 自覚があると とても気持ちがいいんだよ 雨上がりのつかめない雲 輝いた気がして 気圧の奥底で叫ぶ声 いまどき聞きたくなって 指先の慣れた摩擦係数 耳をすませば 夜の9時半 気まぐれに 季節もレイドバックしている

句読点や改行が雨で流される世界

明日の降水確率が100%だったとして家から出なければ雨に濡れない確率はほぼ100%なのに、夕方シャワーで身体を濡らしてしまうことでタオルで全身の水気を拭き取らなければならない日々を皆さんいかがお過ごしでしょうか。 さらにわずかな可能性として、雨がご家庭のガラスや天井からしみだしてきたとしてもその水滴が身体にヒットする確率は天文学的な低さなのにも関わらず一日のリセットと引き換えに全身を濡らして乾かす行為をしなければならない生活を送らなければなりませんが。 いや待てよ、全身が

概念が満開だったけど、妻に聞いたら八重桜満開になった