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なぜ身体は疲労を感じるのか。論文を用いて解説していく。

こんにちは!
整体師/パーソナルトレーナーをしています。
牛窪逸人と申します。

「なぜ、身体は疲労を感じるのだろう」

この質問や疑問を皆さんは自身で感じたり、お客様から聞かれたことはありませんか?

このnoteはセラピストやトレーナーなど身体に関わる仕事をしている方に向けて書いております。少し難しい内容を勉強したい方や身体の知識がほしい方はこの先にお進みください。

お客様向けのnoteも出していますのでこちらから確認お願いいたします。

今回は、疲労に関してのメカニズムや論文を用いて説明させていただきます。なぜ、人間は「疲れ」を感じてしまうのかを解説していきます。

トレーナーに関わらず、リラクゼーションセラピストなども疲労については理解しておかないといけないポイントですので、このnoteを読んで疲労がなぜ溜まるのかをしっかり話せるようになれるまで読み込んでください!!

では、いきましょう!!


疲労のメカニズムは、身体的および精神的要因が絡み合った複雑な現象です。疲労が発生する理由については、多くの研究が行われており、特に生理学や神経学の分野で重要なテーマとされています。以下に、疲労を引き起こす要因について、信頼性の高い研究を基に説明します。

1. エネルギー供給と代謝

エネルギー枯渇の理論では、運動や活動中に筋肉がエネルギー源(特にグリコーゲン)を使い果たすことが、疲労の主要な要因の一つとされています。運動強度が高まると、筋肉はグリコーゲンを急速に消費し、乳酸が蓄積されることで、エネルギー供給が追いつかなくなり、疲労感を感じるようになります。

参考論文:Bangsbo, J., et al. (2006). "Muscle lactate and glycogen in fatigue during intense exercise." American Journal of Physiology-Endocrinology and Metabolism.

2. 神経系の疲労

もう一つの大きな要因として、神経系の疲労が挙げられます。中枢性疲労(CNS疲労)は、脳や神経が活動を制御する能力が低下することにより引き起こされます。特に、脳内の神経伝達物質であるセロトニンの増加が疲労感と関連しており、持続的な運動やストレスの多い作業が神経伝達に影響を与えることが示されています。

参考論文:Meeusen, R., et al. (2006). "Central fatigue: the serotonin hypothesis and beyond." Sports Medicine.

3. 活性酸素種(ROS)と酸化ストレス

酸化ストレスも疲労の一因とされています。運動や過度な精神活動によって、活性酸素種(ROS)が過剰に生成されると、細胞がダメージを受け、疲労感が増します。抗酸化物質の不足やROSの除去がうまくいかない場合、筋肉や他の組織が影響を受け、疲労が進行します。

参考論文:Powers, S. K., et al. (2011). "Exercise-induced oxidative stress: cellular mechanisms and impact on muscle force production." Physiological Reviews.

4. 精神的・心理的要因

心理的要因も疲労に大きく関与しています。ストレスや不安、抑うつなどの精神的要因は、疲労感を増幅させることがあります。これは、ストレスホルモンであるコルチゾールの増加がエネルギー代謝や免疫機能に悪影響を与えるためです。精神的な疲労は、身体的疲労と相互に作用し、全体的な疲労感を強化します。

参考論文:Dantzer, R., et al. (2008). "From inflammation to sickness and depression: when the immune system subjugates the brain." Nature Reviews Neuroscience.

筆者としては、この心理的疲労を気が付かずに抱えている人が現代には溢れていると考えています。仕事のストレスもあると思いますが、例えば満員電車を想像してみてください。ぎゅーぎゅーに押し込まれて、周りの人との距離も近いとなると、かなりストレスが溜まりそうですよね。

コルチゾールの増加はダイエットや睡眠の質にも関与していることがあるため、この精神的な疲労を取り除くことが先決になると考えています。

5. 免疫反応と疲労

疲労はしばしば免疫系の反応とも関連しています。例えば、感染症や炎症が体内で起こると、免疫細胞が活性化され、サイトカインと呼ばれる物質が放出されます。これらのサイトカインは、脳に信号を送り、疲労感や倦怠感を引き起こします。これは、感染症や炎症が治癒するまで、体が安静を取るよう促す生理的反応と考えられています。

参考論文:Irwin, M. R., et al. (2008). "Inflammation, immunity, and fatigue in cancer and depression." The Lancet.

結論

疲労の原因は単一の要因に帰することはできず、エネルギー供給の不足、神経系の過負荷、酸化ストレス、心理的要因、免疫反応など、さまざまな要因が複雑に関係しています。これらのメカニズムが相互に作用し合うことで、私たちが感じる疲労感が発生します。疲労を軽減するためには、適切な栄養摂取、休息、ストレス管理が必要不可欠であることが、研究により示されています。

これらの観点から疲労の理解を深めることで、日常生活や仕事、運動中のパフォーマンスを最適化するための具体的な対策を講じることが可能です。

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