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『東京の空の下オムレツのにおいは流れる』石井好子/暮しの手帖社

◎美味しい本 Day-1◎

Facebookで流行りの7日間ブックカバーチャレンジ。ご多分に漏れず私のところにもバトンが回ってきたので、ついでにこちらにも。
ざっくり7選も難しいので≪食にまつわる大好きなエッセイ≫というテーマで好きな本を7冊選んで毎日紹介してみます(なるべく頑張ろう…)。1日目は何といってもこの本。

『東京の空の下オムレツのにおいは流れる』石井好子/暮しの手帖社


もうこれは本当にめちゃめちゃ大好きで、まずこのタイトルと装丁が素敵すぎる(今は単行本は在庫切れで文庫が出ている様)。たいていの本はいつどこで買ったか覚えているのだけど、この本だけはなぜか記憶にないのが不思議で、でも書店で表紙を見たときに強烈に「うわ、好き!」と思ったことだけは確か。前作に『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』もあるが、初めて読んだのはこの『東京~』のほうだった。
中身はシャンソン歌手の石井好子さんが暮らしの手帖に連載された食べ物にまつわる随筆をまとめたもので、石井さんが食べたいろんな国の料理や、料理に関する思い出のエピソード等々がどんなふうに作るのかと共に記されている。で、その食べ物の描写がとにかく私のツボをついていて美味しそうなのである。「」「骨つきのぶつ切りのトリ肉」「こんがりとバタで炒める」「ブランデー少々ふりかける」…などなど、今と少し違う仮名遣いと石井さんの表現がたまらない。作り方もキッチリとしたレシピというのでなく、だいたいの量と手順をうたうように綴っているのが好みだ。
トリのノルマンディー風という煮込み料理をはじめ、いくつかの料理を作った。ほかにも作ってみたいものはたくさんある。買ってからもう何年も経つが、今でもふと思い出してページを手繰ってワインのお供に作ってみたり、のんびりとした時間が過ごせるときにはぱらぱらとめくる楽しみがある。読んでも食べても美味しい本。石井さんがいた爽やかなパリの空とその時々のごちそうが目に浮かぶような、とても素敵なエッセイ。

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