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飛行機の光るおなかを眺める

夕方職場を出ると、ちょうど通り道にあるようで、頭上を割と高度の下がった飛行機が飛んでいく。もうだいぶ日が詰まって来ているので、安全のための灯りがよく見える。その灯りが、大きな音と一緒にぴかぴかチカチカ遠くなる。この、飛行機のおなかを眺めるのがなんとなく好きだ。飛行機は何度か乗ったこともあるけれども、空港でもなかなかおなかは見られない。あのライト、赤だけだと思っていたけどそうじゃないのね。主翼の左右で色が違うんですって。

私は生まれてこの方、関東圏から出たことがない。住処としてね。
ほいでもって、夫も実家が関東の人なので、帰省といってもやっぱり関東から出ることがない。
父方の実家が九州だけれども、父が生きていた頃は遠くてなかなか帰れず、父が亡くなってしまってからは、さらに遠いところになってしまった。旅行は嫌いじゃないけど、頻繁に行くほど旅好きでもなければ、そこまで色々と余裕があるわけでもない。出張のある仕事もしていない。だから元々飛行機は身近でない乗り物だったのが、このご時世でもっとそうなった。飛行機に乗るぞーとなれば、大なり小なりもれなくワクワクがセットでついてくる。新幹線もそう。いい大人なのに、空港でもホームでもついキョロキョロそわそわしてしまう。乗り物自体がもう非日常なのだ。

そういえば、引っ越す前もよく飛行機のおなかを見た。夕方の散歩に行くとか、夕飯の買い物に出るとか、子供と一緒のときが多かった。
当時はまだ我が子は1歳で、私が無駄にウキウキしながら「ほら、飛行機だよ」と言っても特別喜んでもいなかったが、少し大きくなって、空を飛ぶ音を聞きつければ、真っ先に「ひこうき!」と言うようになった。今どうやら飛行機に大変な憧れがあるらしく、ちょいちょい「ひこうきにのりたい」と言っている。乗せてあげたい気持ちは大いにあるので、色々落ち着いたら、一緒に旅に出てみようと思う。尋ねてみたい人も、場所も、たくさんある。

ただし、我が子の飛行機のイメージは、「1人乗りのプロペラ機」みたいなので固まっている気がしなくもない。ほら、幼児アニメの飛行機って大体あれじゃないですか。びゅびゅーんっと回転しちゃったりして。
さあ乗るぞ、というときになって、「違うこれじゃない」とならなければいいのだが。

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