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お風呂はいつまで一緒に入るか

胸が膨らんでも生理が始まっても、
中学生になっても高校生になっても、
父親が脱衣所や風呂に入ってくるのが、
嫌だって言えなかった。
嫌と思っちゃダメだと思ってた。
嫌と思ったらそれこそ終わり、嫌と思うから嫌なんだ、とも思ってた。
(歪んでいる……)

娘に嫌われるかわいそうなお父さん、な態度をとって
イライラしたり落ち込んだりして、不機嫌を撒き散らすから。
それがめちゃめちゃ怖いし萎縮するし嫌だったから。
何言っても聞き入れてくれないから。
考えないように、諦めようとしていた。
嫌って思う方が変なこと考えてるんだろう、って言われたくなかった。

そもそもがモラハラ気質な人だったから、
父が不機嫌になったり怒ったり責めたりする理由を作りたくなかった。
理不尽だったから意味ないのにな、って今では思えるけど。


別に広い風呂じゃないんだから、洗い場に成人男性と二人は狭い。
なのに入ってくる。
わたしが湯船に浸かってるでもなく、出ようとしているでもなく、
髪洗ってるとか、さっき入りましたって時でも入ってくる。
カラスの行水だから、すぐ出るからって。

湯船に入ろうとしてる時に入られると、私までさっさと上がらないといけない。
すぐに髪体洗って湯船に入ってくるから。

まだ洗ってる時だと、とにかく父にシャンプーもリンスもボディーソープも渡す。
泡も水も飛び散るので避ける。
(↑これもう少し小さい頃に注意したら、髪が短いからとか急いでるからとか狭いからとか言って怒られた)
そして父が洗って浸かって出ていくのを待つように、自分は少しゆっくり洗う。


まだ塾に行ってなく、帰宅時間が父と被ったり被らなかったりする頃。
まだ父が普通に風呂に入ってきていた。
高校1年か2年の時。
その日は母にテストの結果か寄り道のことで怒られて言い合いをした後、
怒りながら泣きながらお風呂に入ってた。

バイクの音、家のドアが開く音、階段を上がってくる音がした。
帰宅した父がさっさと服を脱ぎ入ってくるだろうと思ったから、
浴室の扉に鍵(内側からかけられるストッパー)をかけた。
その時は特に入られたくなかったし話したくなかったし、
泣いてて怒ってるのは理由になるような気がした。
これをきっかけにもう入ってこないでほしいとも思った。

ただいまと言いにきたのか(無邪気演じるな気を使え相手の気持ちを考えろ空気読め)(お風呂入っている人にわざわざ扉開けてまで言いにくるな上がってからでいいやろ)
服を脱いで入ろうとしていたのか(まだ体洗ってんだろ洗い場狭くなるじゃん湯船に入るの待てよ)
どちらだったかは思い出せないが、案の定扉を開けようとした父は、開かないのに気付いた。

「○○ちゃん?」(書きながら辛いし脳内再生が気持ち悪い)
「入ってこんといて!」
優しく丁寧になんて言える状態では無かった。
勢いに任せて言わないと後が怖くて扉を開けてしまいそうだった。

「開かないんですけど」
「鍵閉めとんよ!」
ここで泣いてしまった。

いや、泣いて「しまった」ではないんだけど、ついこう言う考え方をしてしまう。
泣いたら弱み見せた、負けという感じ。女は感情的になって話し合いにならん、とか。
これについても色々言いたいことはあるけど置いときます。

父はため息を大きくついて脱衣所から出て行った。
ため息をつかれたことも、お風呂から上がった後何を言われるかも怖いが、
これでもう気を遣って私が入っているときには入ってこないだろうと思って、ホッとした気持ちもあった。

その日はお風呂から上がって着替えて脱衣所を出た後、寝室で服を脱いだままの父が目に入ったので、
上がったよ、と伝えると無言でお風呂に入って行った。
無言のイライラアピールは続くだろうけど、話しかけられて不満や文句を言われてしつこく責められるよりはマシだ。
何よりもう父はビビってお風呂に入ってこないだろうし、
冷静に考え直して高校生の娘が入っているところに黙って入っていくのはおかしいって気づくだろう。


残念ながらそんなことで変わる人はモラハラもしないし経済的DVもしないし自分の保身のために嘘はつかないし子供の学資保険も勝手に使わない。
この人は私の気持ちなんかまるで考えちゃいないしちょっとおかしいと気づいた。


翌日お風呂に入っていると父が帰ってきた。
一応扉に鍵をかけて体を洗っていたのだが、父は服を脱ぎ扉を開けようとした。
鍵がかかっていることに気づき、「○○ちゃん?」とノックしながら呼んできた。

浴室に鍵がかかっているのに、何故開けてもらえると思っているのか。
昨日ダメだったのに、何故今日は開けてもらえると思っているのか。
鍵をかけて締め出しているのは自分じゃないと思っているのか。

驚いた。怖かった。そしてなぜか開けてしまった。
いや、そう思ったからこそ開けるしかなかった。

多分本気で、
浴室に鍵がかかっているのは間違いだから開けてもらえると思っている。
昨日ダメだったのは泣いていたからで、今日は開けてもらえると思っている。
鍵をかけて締め出しているのは自分じゃないと思っている。
もしくは、そうだよね?という無言の圧力。

本当に怖くて冷静な判断ができていなかった。
その時も、拒否できなかった今までも。

泣いても怒ってもないときに拒否できるほど、父を怒らせる勇気がなかった。
なんでもないですよ、あなたを怒らせるつもりはありませんよ、と笑顔で従うしかなかった。

ここで私の努力は終わった。


母は「お父さんにお風呂入ってこんといてって言ったん?」とお風呂を上がってリビングに来た私に聞いてきた。
「イライラしてたし泣いてたから、一人で入りたくて鍵かけてて、それでも入ろうとしてきたから。」と答えた。
母との言い合いのイライラがまだ残っていたのもあるけれど、
今まで拒否するタイミングを失ってたのが恥ずかしいことのように思えて、
普段だったら嫌じゃないんだけど、みたいな感じでさらっと答えた。


妹は、「どうしてお姉ちゃんは嫌って言わないの」と憤っていたらしい。
妹はいつからか一緒にならないように時間をずらして、早く入るか、入浴中か着替え中に父が帰ってきそうだったら父の後に入るようにしていた。
それから、父が浴室に入ってくるのも、着替え中に脱衣所に入ってくるのも断固拒否しだした。

そして母も、父に対して、子供が入浴中も、脱衣所で着替えているときも入らないで、と言ってくれたらしい。
(それに対して父は「娘たちはそれを望んでいるのか」「二人が本当に言ったのか」とか聞いたらしい。は??)
母も母で、父が怖かったのだろう。
もっと早く自分が止めるべきだった、と謝ってくれた。
止めて機嫌を損ねたら、もっと扱いが酷くなるかもしれないから、娘が嫌だって言わない限りは余計なことはしない方がいい、と思い込んでいた。
お風呂くらいなんてことないと思い込んでいた。


それにも関わらず父は脱衣所のドアを開けてきて、その度に妹がやめて、と抗議した。

「お風呂入ってる時だけじゃないの?!」
服脱いでるんだから脱衣所もだよ。言ったよ。
「手洗いたいんだけど!」
台所か1階のトイレ横の洗面台使ってください。
「歯磨きたいんだけど!」
少しくらい待てませんか。
「トイレ行きたいんだけど!」
1階のトイレを使ってください。なんのためにトイレ2個あるんだ。

などなど、結構長期間ごねていた。

そのたび母や妹も一緒になって止めてくれて、本当にありがたかった。
妹と私は入浴の入れ替わりで一緒に脱衣所にいることもあったが、着替え中に開けられようとするドアを押さえて、
「まだ入らんとって!」と言ってくれた。
自分の勇気のなさも、妹に助けられることも情けなく思ったが、本当に助かった。
一人では無理だった。
今思い出しても、父が(開けないでと散々言っているはずなのに)開けるドアを
手で押しとどめて閉めさせるのはキツい。

結局、入浴中で脱衣所には誰もいない時、脱衣所まで入ってくるようになったがそれは諦めた。
でも時々そのまま扉開けてただいまとかおやすみとか言おうとしていた。

着替えが終わったら髪を乾かす前に入っていいよと報告することになった。
そして娘が髪を乾かす横でホイホイ脱ぐ。


実は胸が膨らみ始めてから嫌だなと思ったけど、そのころは母も父も何ともない感じだったし、妹もそうだった。
その時を逃してから、ずっと言えなかった。
ませてるとか思われるのも、父親を嫌うのかと怒られるのも嫌だった。
何ともないフリをしていた。

しかも、ネットで調べても、
「大学生になっても一緒に入ってます」
「信頼してるし性的な対象じゃないから入れる」
と言う意見も少なからずあって、私の場合そういうことなんだと思い込むことにしていた。
必死でそういう事例をキーワードを色々入れて調べた。
そして余計に、一緒に入りたくないと言う感情が悪いもの、酷いもののように思えてしまっていた。


絶対に、第二次性徴が始まったら異性の家族と入らないように、
親から決めてあげてほしい。
自分も子供を育てることがあったらそうする。
そしてそもそも、自分で髪も体も洗えるし溺れる心配もない人は、
同性であっても家族と一緒に入る必要は無い

お風呂がコミュニケーションの場であっても、
それはお風呂じゃなくてもできるコミュニケーションのはず。
信頼している、仲がいい親子なら、親から一緒に入ることは拒むべき。


今回の話は父があんなで私もあんなだったから起きたことで、
他の人ならこんなめちゃくちゃなことにはならないと思うけど。

誰かの助けに、参考になればいいなと思います。

父に関しては、他にも違和感はずっとたくさんあったので、
またの機会に書きたいです。

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